43歳独身OL、日米双方で大騒動!それが『オー・ルーシー!』
©Oh Lucy,LLC
こんにちは、八雲ふみねです。 今回ご紹介するのは、4月28日から公開の『オー・ルーシー!』。
カンヌやハリウッドが注目する新進気鋭の日本人映画監督が手がけた、日米合作映画です。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.153
節子は43歳の独身OL。職場では空気のような存在で、一人暮らしの部屋はモノであふれかえっている。
たいした楽しみもない毎日を送っていたが、姪の美花の代わりに怪しげな英会話教室で金髪のウィッグを被り“ルーシー”になった瞬間、節子の人生は一変!自分の中に眠っていた感情を呼び起こされたかのように、節子はハグしてくれた英語教師ジョンに恋をし、彼を追いかけて一路カリフォルニアへ。
人生に不器用すぎる節子の暴走気味の旅の結末とは…。
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心の自由を求めてもがくヒロインの姿をユーモラスに描いたヒューマン・コメディ
英会話教室のアメリカ人講師に恋をした43歳の独身OLが、東京とカリフォルニアで巻き起こす騒動を描いた『オー・ルーシー!』。
世の中の生きづらさに悩む主人公が、自由奔放な姪っ子やアメリカ人男性との交流を通じて生きる喜びを見つけていく、ヒューマン・コメディです。
メガホンを取ったのは、ロサンゼルス在住の平柳敦子監督。
※平柳敦子監督の「柳」の字は木へんに夘(=栁)が正式表記です。
日本とアメリカとの文化や考え方の違いをコミカルに綴る様子には、平柳監督が17歳で単身渡米した当初に感じたカルチャーギャップも盛り込まれているのでしょうか。
特に英会話教室でのシーンをはじめとする英語が下手な日本人の描写が秀逸で、話そうとすればするほど空回りする彼らの焦りっぷりに「私も似たような経験、あるわ...」と思う人も多いかもしれません。
その一方で、金髪のウィッグを被り、外国人のようなファーストネームを名乗ることで、本来の自分から解き放たれて“変身”出来る。そんな風にちょっとした環境の変化がきっかけで、タガが外れたように自分自身が大きく変わってしまったという経験がある人は、きっといるハズ。人は誰でも自分のことを知ってほしいし、自分自身を表現したい。自由を求めてもがく主人公の“心の叫び”は、誰もが胸の中に忍ばせているものなのかもしれません。
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日米豪華キャストがとびきりのケミストリーを生み出す
日米豪華キャストの競演が大きな見どころにもなっている本作。
主人公の節子を演じるのは、寺島しのぶ。常に人生に疲れた表情を浮かべて煙草をプカプカ、“イタイ女性”のようにも見える節子。しかし寺島しのぶが演じると、どこか目が離せないチャーミングさが漂います。
共演には南果歩、忽那汐里、役所広司と日本を代表する実力派俳優が集結。
さらには『パール・ハーバー』などの代表作で知られるハリウッド俳優のジョシュ・ハートネットがアメリカ人英語教師ジョンを演じ、日米それぞれの個性がぶつかり合ってさらに作品世界を盛り上げています。
日本人が監督し、日本人が演じているのに、作品から漂う空気感は“洋画”というのもとても新鮮で、インターナショナルなテイストにも注目ですよ。
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ジョンかトムか?女優陣&監督が赤裸々に答える“理想の男性像”とは?
本作の完成披露試写会には、寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里、平柳敦子監督が登壇。
八雲ふみねが司会を務めました。
カンヌ国際映画祭で日本人監督作品として10年ぶりに批評家週間に選出されるなど、各国の映画祭やアワードでも高い評価を受けている本作。アメリカの“裏アカデミー賞”とも呼ばれている「インディペンデント・スピリット賞」では主演女優賞と新人監督賞にWノミネートされ、授賞式には寺島さんと平柳監督が出席。
あの『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンドと賞レースを争うことになった寺島さんは「マクドーマンドさんと話せたことが宝物」と優しい表情で授賞式を振り返り、
そんな寺島さんを見て「本人からは言いづらいので…」と前置きしたあとで「マクドーマンドさんは寺島さんの芝居をとても褒めてらっしゃったんですよ」と、平柳監督がすかさず裏話を披露。
またイベント終盤では「恋人にするなら、ジョシュ・ハーネット演じるジョンか役所広司演じるトムか?」という二者択一の質問に、なんと全員が「誠実なトム」と回答。
やっぱり国を問わず、ちゃらんぽらんな男性は「No!」ということなのでしょうか、ね。
<作品情報>
オー・ルーシー!
2018年4月28日からユーロスペース、テアトル新宿ほかにてロードショー
監督・脚本:平柳敦子
出演:寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里、役所広司、ジョシュ・ハートネット ほか
公式サイト http://oh-lucy.com/
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com
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