山田洋次監督が現場で大爆笑!その理由とは?『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』徳永ゆうき インタビュー
(C)2018「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」製作委員会
5月25日より公開の映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』。『男はつらいよ』の山田洋次監督がメガホンをとり、熟年夫婦の周造(橋爪功)×富子(吉行和子)、長男夫婦の幸之助(西村まさ彦)×史枝(夏川結衣)、長女夫婦の成子(中島朋子)×泰蔵(林家正蔵)、次男夫婦の庄太(妻夫木聡)×憲子(蒼井優)の8人に子どもたちを加えた平田家の騒動を描く家族コメディ、待望の第3弾。今回は、長男・幸之助の妻・史枝が家を飛び出してしまいます。一家の柱を失った平田家はどうなってしまうのかーー?
今回、シネマズでは、『家族はつらいよ』シリーズで、毎回平田家にうな重を届ける調子のいい鰻屋の店員を演じている演歌歌手の徳永ゆうきさんにお話を伺いました。
「歌いながら原付を運転するのは難しかった」
──徳永さんは、『家族はつらいよ』第一作からずっとご出演されていますが、最初に出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
徳永ゆうき(以下徳永):山田洋次監督は日本を代表する映画監督なので、映画に出演できるというのが、本当にうれしかったですね。両親にもすぐ連絡したんですが、「おお、お前すごいな」と一緒に喜んでくれました。
──演じるのが鰻屋さんだとわかったときは、どう思われましたか?
徳永:「鰻屋でどんな感じで登場するのかな」と思ったんですが、バタバタしている中でちょっとクスッと一笑いできるような役で、僕も大阪出身で笑っていただけたらうれしいというのがありましたので、そういうシーンでの登場でよかったなと思いました。
──第一作目に登場されたときは、原付に乗って『男はつらいよ』のテーマ曲を歌うシーンがありましたね。
徳永:あれは、当初台本には歌うことは書いていなかったんです。現場で監督から「徳永くん、寅さん歌えるかい?」というお話があって、知っている曲でしたし、断るわけにはいかんなと思って(笑)、「大丈夫です」と話して、歌いながら原付バイクを運転することになりました。
──現場で演じる中で、苦労されたことは?
徳永:原付きの運転ですね。映画の撮影をするために免許をとったんです。一作目の原付で道を下っていくシーンでは、山田監督が入念にリハーサルをされて、上がっては下って…というのを何度も繰り返しました。ただ、現場で歌うことが決まったあとは、歌に集中しすぎたら「速度が速い」と怒られまして、次に速度に注意してゆっくり進んだら、今度は「遅すぎる」って言われまして(笑)、歌いながら原付を運転するのは難しいねんなって痛感しました。現場では、監督が「ここはこうだよ」と自ら指導してくださって、僕は役者の経験もまだまだ浅かったので、とにかく監督の言うとおりにできるようにと努めていましたね。
──第一作目で苦労された運転、第三作目では慣れましたか?
徳永:二作目では運転しなかったんです。それで、一作目で運転してだいぶ空いての三作目だったので、運転の仕方とかエンジンのかけかたとか「どやったっけな?」と思って、スタッフさんに聞きながら思い出していったんですが、やっぱり難しかったですね。
──シリーズの中で、山田監督から現場ではどんな指導がありましたか?
徳永:今作でも歌いながら原付を運転したんですが、何を歌うかという相談を監督から受けました。煙が出てくるもので何かないかといわれて、「これはどうでしょう」といろいろ提案もして、結局、監督から鹿児島のおはら節はどうかということであの歌になったんですが、「この顔であの声だから面白いよね」と言っていただいて、これは「ありがとうございます」なのかは微妙かもしれませんが(笑)、うれしく思いました。
山田監督を爆笑させて「よっしゃ、一本とったな」
──今回の撮影で思い出に残っていることはありますか?
徳永:山田監督を大爆笑させました。今回、平田家でちょっとしたボヤというか煙が出て、鰻屋の僕が火消しに行くんですが、顔にすすがつくのを黒い粉を吹きかけてつけてもらうんですが、リハのときにやってもらったら顔が真っ黒になりすぎて誰かわからない状態になってしまったんです。そのときぱっと監督を見たら大爆笑していたので、「よっしゃ、一本とったな」と思いました(笑)。監督があんなに笑ったのを見たのは初めてでした。
──『家族はつらいよ』シリーズでは、毎回平田家がドタバタを巻き起こしていて、徳永さん演じる鰻屋さんはトラブルの真っ最中に平田家を訪れていますが、徳永さん自身から見て、平田家というのはどんな家族だと思われますか?
徳永:普通にうらやましいと感じますね。毎回、家族会議のシーンが出てきますが、ああいうことが最近の家庭ではあるのかな?と思います。僕の実家は大阪なんですが、僕が上京して姉や兄も結婚してそれぞれの家庭を持っているので、みんなで話しあったり怒鳴りあったりというのはなかなかなく、平田家は見ていて微笑ましいしうらやましいなと思います。なかなか、今はもうない家族像ですよね。
──家族会議のときに、平田家はいつも鰻の出前をとっている感じがありますよね。
徳永:うな茂としてはありがたいですね。なんで、鰻なんだろうなとはいつも疑問なんですけれど、いつか中華とかうどんとかになったら、僕の出番もなくなるので(笑)、平田家に鰻を頼んでいただいてうれしく思います。ただ、あの家に行くと「トラウマなるんちゃうか」って感じの思いをよくするんですけれど(笑)。
──特に二作目で平田家を訪れたときの鰻屋さんは、相当怖い思いをされていた感がありましたね。
徳永:そうですね。二作目に関しては原付の運転がなくて走って逃げたんですが、午前中の撮影で午後には足が筋肉痛になっていました。リハーサルと本番で道を何往復もして下ってまた戻り…の繰り返しでしたね。
──徳永さん自身、鰻はお好きですか?
徳永:大好きです。「なんでこんな高いねん」と思うんですけれど(笑)、土用の丑の日になると食べていましたね。
「時間があるとカメラ片手に“撮り鉄”に行っています」
──この第三作目で主人公となる平田家の長男の嫁の史枝は、毎日家事に忙しい中で、フラメンコ教室に行きたい…など夢見ています。徳永さんもお仕事でお忙しいと思いますが、そんな中で息抜きとして楽しんでいることはありますか?
徳永:鉄道が大好きなので、息抜きはもっぱら鉄道ですね。ゆっくり座って揺られながら車窓を楽しんでいます。僕は「撮り鉄」というジャンルで写真を撮るのも好きなんですが、特に予定をたてずに行動しちゃうタイプなので、休みの日は朝起きたら、行き当たりばったりで日帰りで地方に行くこともあります。ただ、電車に乗れたらそれでいいので、観光地に行っても駅舎の外にあまり出ないんですよ。だから、行った話をすると、「行ったなら、(観光地に)行ってこいよ」ってだいたい怒られるんですけれど(笑)。
──休日に出かけるときは、前もって行き先を決めておかないでその場で路線図を見て…という感じで?
徳永:そうですね。路線図を見て行き当たりばったりで「新潟行こう」と思って、新幹線の切符を買ったりします。ただ、行ったときと同じ道を帰ってくるのがあまり好きじゃないので、新潟についたら、今度はまたそこで路線図を見て「直江津行こう」って直江津に行って、着いたら今度は直江津から長野に出て新幹線で帰ってくる…みたいに、一筆書きじゃないですけどちょっと遠回りしながら帰ってくるのが好きです。
──もう全国の路線をかなり網羅されたんですか?
徳永:いや、まだまだですね。出身の関西と上京した関東はいろいろと乗り潰しましたけれど、地方は乗りきれてないところがいっぱいあります。仕事で地方に行くときも常にカメラを持っていて、泊まったホテルの近くで撮り鉄していますね。「朝9時出発」というときに、朝6時に起きて近くの駅で入場券を買って入って撮影をしてから、みなさんと合流する…みたいな感じで、時間さえあればカメラ片手に撮り鉄に行っています。
──インスタグラムにも鉄道の写真をアップされていますよね。一眼で撮影されるとのことでですが、もう相当な枚数写真を撮ったのでは…?
徳永:はい、撮影するときは一日で何百枚も撮るので、トータルでもう一万五千枚くらい撮ってるんじゃないかと思います。みなさんからは「同じところで撮って飽きないのか」ってよく言われるんですが、全然飽きることはないですね。
徳永ゆうきさん インスタグラム
https://www.instagram.com/tokuchan_1113/?hl=ja
──鉄道でいろいろなところに出かけるのがお好きということで、今回の映画でも、登場人物たちが旅に出る場面もありましたが、今、特に行ってみたい場所などはありますか?
徳永:北海道の知床に行きたいですね。自然豊かなところなので。僕は都会で生まれて育って、なかなか自然と触れ合う機会がないので、野生の動物とかも見られるかなというのと、暑がりなので、気温が低い涼しいところに行きたいなと思います。
──現在、演歌歌手のお仕事に加えて映画出演など、活動の範囲が広がってきていますが、今後の展望、やってみたい役などを教えてください。
徳永:本業は歌い手なので、皆さんにいい歌を届けられるようにというのがまず一つの柱としてあります。と言いつつも、今は演歌をみなさんに聴いていただく機会がなかなかなく、歌番組も少なくなってきているので、僕のことを知っていただけるようにいろいろなことに挑戦してきたいです。キャンペーンなどで回っていると、「鰻屋さん、今回もよかったよ」とか『家族はつらいよ』を見て声をかけてくださる方もいるのですごくありがたいと思っています。鉄道が好きなので、駅員さんとか車掌さんとか鉄道関係の役があればやってみたいですね。
──最後に、公開を楽しみにしている「シネマズby松竹」読者に向けてメッセージをお願いいたします。
徳永:『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』、僕も鰻屋さんとして出させていただいていますが、今回は、富子さんと周造さんではなく史枝さんと幸之助さんが中心になったドタバタ劇なので、おなじみの家族会議もありますが、また今までと違った流れで楽しんでただけると思います。この作品は僕のお父さんにも見てほしいんですが、一家の柱がいなくなって、今までやってもらっていたことを自分たちでやる大変さを見られるかと思うので、全国のお父様方に奥様にやってもらっていることを体験してみるきっかけになっていただけたらうれしいです。また、立川志らくさんが初登場で、今までとは違う志らくさんが見られると思うので、そのあたりもチェックしていただいて、一人でも多くの方に見ていただけたらと思います。
──ありがとうございました。
(取材・文:田下愛)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。