日本版の魅力は“意外性”にアリ!『50回目のファーストキス』






こんにちは、八雲ふみねです。


今回ご紹介するのは、現在公開中の『50回目のファーストキス』。
あのハリウッドの名作を山田孝之&長澤まさみでリメイクしました。



八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.159







ハワイでコーディネーターとして働きながら天文学の研究をしているプレイボーイ弓削大輔はある日、カフェで出会った藤島瑠衣という女性に一目惚れする。


しかし翌日、同じカフェで再会した彼女は、大輔のことをまるで覚えていなかった。実は瑠衣は、交通事故の後遺症で、記憶が1日で消えてしまうという障害を抱えており、彼女と暮らす父と弟の手でその事実は隠されていた。


事情を知った大輔は、彼女が自分のことを忘れてしまうことを承知で、毎日一途に愛を告白し続ける…。





ハリウッドを代表する傑作ラブコメディを日本人的観点で作ったら…。





2004年に本国アメリカで公開され、全米初登場1位を記録したロマンティック・コメディ『50回目のファースト・キス』。
アダム・サンドラーとドリュー・バリモアのカップルがとても魅力的で、いまでもラブコメファンからの支持が高い一作です。


その傑作ラブコメディを、邦画リメイクする。


このニュースが流れた時、オリジナルを知る人なら誰しも衝撃が走ったのではないでしょうか。
リメイクして大丈夫?
大好きな作品だから、大切な思い出のまま取っておきたい。
オリジナルのファンであればあるほど、様々な思いを持つ人が多いかと思いますが、コレが意外にも面白い。


「意外にも」なんて…。若干失礼な表現になってしまいましたが、本作の面白さは、この“意外性”にアリ!なんです。


まず、監督・脚本を務めたのは、いま“もっとも忙しい監督”と言われている、福田雄一監督。
コメディ路線で快進撃を続ける福田監督ですが、なんとラブストーリーは初挑戦。
しかしオリジナル版の良さを残しながら、自身の個性を最大限に発揮した脚本力はさすがの一言。


そして演出についても、ハリウッドの名作に臆することなく福田節を炸裂させながら、見事、笑って泣けるハートウォーミングなラブストーリーを生み出しました。




“安定”と“意外性”が共存する、俳優たちの演技




キャスティングについては、多くの福田組常連俳優たちが顔を揃えています。


主人公の大輔を演じるのは山田孝之、そしてヒロインの瑠衣役に長澤まさみ。
10年ぶりの共演となる2人ですが、この組み合わせが本作の成功を導いたといっても過言でないほどのナイスカップル。


山田孝之と言えばそのカメレオン俳優ぶりで観客を驚かせる存在ですが、本作ではちょっぴりチャラいけど恋に一途な男性を熱演。
あまりのイケメンぶりに改めて惚れてしまう女性ファンも多いことでしょう。


そして長澤まさみはハワイの海と太陽がよく似合い、実にチャーミング。
大輔と瑠衣のちょっとした下ネタトークも、彼女が演じるとカラリと健康的な印象になってしまうのも魅力のひとつではないでしょうか。


オリジナル版のアダム・サンドラーとドリュー・バリモアに負けない相性の良さで“ラブ”のパートを担って、ドラマをしっかりと牽引しています。


そんな2人を取り囲むのが、ムロツヨシ、勝矢、太賀、山崎紘菜、大和田伸也、そして佐藤二朗という個性的なキャラクター陣。
とりわけ福田組の顔とも言えるムロツヨシ、佐藤二朗は“安定”のコメディセンスを発揮するとともに、ウェルメイドな演技で役者としての幅の広さも見せつけます。


そして意外性と言えば、瑠衣の弟・慎太郎役を演じている太賀。
予想外のハジけっぷりで、新たな福田ワールドへと観客を引き込みますよ。







ちなみに、俳優陣による丁々発止な演技合戦に「このお芝居はアドリブなのでは…」と思ってしまう人もいるハズ。
しかしそれは大きな誤解で、役者のアドリブのように見えるお芝居もすべて、福田監督の“アドリブ風の”演出力がなせるワザなのです。

これも観客からすると、“意外性”にあふれた事実かもしれませんね。



<作品情報>



50回目のファーストキス

2018年6月1日から全国ロードショー

監督・脚本:福田雄一

主題歌:平井堅「トドカナイカラ」(アリオラジャパン)

出演:山田孝之、長澤まさみ、ムロツヨシ、勝矢、太賀、山崎紘菜、大和田伸也、佐藤二朗 ほか

©2018「50回目のファーストキス」製作委員会

公式サイト http://www.50kiss.jp/site/


八雲ふみね fumine yakumo


八雲ふみね

大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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