『終わった人』 、舘ひろしの“情けない”姿も女ゴコロをくすぐる!?
こんにちは、八雲ふみねです。今回ご紹介するのは、現在公開中の『終わった人』。 八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.160
大手銀行の出世コースから子会社に出向し、そのまま定年を迎えてしまった田代壮介。仕事一筋の人生を歩んできた壮介は時間を持て余す日々を送っていた。
「どんな仕事でもいいから働きたい」と再就職先を探しても、これといった特技もない定年後の男がそう簡単に職を見つけられるはずもなく。妻や娘からは「恋でもしたら」と、けしかけられる始末。
しかしある人物との出会いから、すでに止まってしまったかのように思えた壮介の運命が動き出し…。
ホラー映画の名匠・中田秀夫監督がコメディ映画に初挑戦!
“定年”をテーマに描き、同世代から絶大な支持を受けた内館牧子のベストセラー小説を映画化した『終わった人』。
仕事に未練を残したまま定年退職し、家族からジジィ扱いされながらもガムシャラにもがく主人公が、故郷の旧友たちとの友情や妻との絆に心救われるハートウォーミングなストーリーです。
メガホンを取ったのは、『リング』シリーズや『仄暗い水の底から』などで知られる中田秀夫監督。
数多くのホラー作品を手がけ、日本のみならず世界中を恐怖のどん底へと突き落としてきた中田監督ですが、実は、ご本人はとてもチャーミングでロマンティスト。
メロドラマがお好きで、今回は内館牧子の原作に惚れ込み、自ら申し出て映画化が実現しました。
若い女性とのロマンスなど遊びゴコロがあふれたコミカルなシーンが満載で、中田監督らしい人情喜劇となっています。
こんな舘ひろし、見たことがない!ちょっぴり“情けない”姿も女ゴコロをくすぐります!?
キャストには主演の舘ひろしをはじめ、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼など、魅力的な顔ぶれが集結。中でも特筆すべきは、やはり舘ひろしの存在感でしょう。
「あぶない刑事」シリーズや『西部警察」など、拳銃を片手に颯爽を犯人を追いかける姿は、スタイリッシュでダンディそのもの。私も舞台挨拶の司会でご一緒させていただく際など、あのキラースマイルを間近で拝見するだけで、あまりのカッコよさにドギマギしてしまうほどです。
しかしこの映画の中には、隙のない“ダンディ舘ひろし”はいません。
スクリーンに映し出されるのは…。
普段ならステキに着こなしているバスローブなのに、どこかショボくれた雰囲気でカプセルホテルで寛ぐ姿。お腹を突き出してスポーツセンター内をドタバタとジョギングする姿。そして、定番のカッコよさを醸し出すはずが、どこか滑稽に見えてしまうサングラス&スーツ姿。どれもちょっぴり“情けない姿”のハズなのに、それでも女ゴコロをくすぐってしまうのは、やはりミスター・ダンディのなせる業!?
さらにもうひとつの注目ポイントは、主人公を取り巻く女性キャラクターたち。
黒木瞳演じる“妻”、臼田あさ美演じる“娘”、そして広末涼子演じる、主人公が恋する年下の女性。味わい深い演技で、作品世界をしっかりと支えています。また対峙する相手によって変化する“夫”、“父”、“男”という主人公の“横顔”も見逃せませんよ。
タイトルは『終わった人』ですが、実は「まだまだ終わってませんよ」というメッセージが込められた本作。定年を迎えた夫婦の物語であると同時に、その子ども世代も共感でき、幅広い層が楽しめる作品です。
<作品情報>
終わった人
2018年6月9日から全国ロードショー
監督:中田秀夫 脚本:根本ノンジ
原作:内館牧子「終わった人」(講談社刊)
主題歌:今井美樹「あなたはあなたのままでいい」
出演:舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、ベンガル、清水ミチコ、温水洋一、高畑淳子、岩崎加根子、渡辺哲、田口トモロヲ、笹野高史 ほか
©2018「終わった人」製作委員会
公式サイト http://www.owattahito.jp/
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com
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