映画コラム

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2019年03月01日

『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!

『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!



3:アニメーションのクオリティがとにかくすごい!
コミックの質感を表現しきっていた!


本作はアニメーションとしてのクオリティも最高峰!「こんなの見たことがない!」という喜びと驚きに満ち満ちており、ひと時たりとも退屈することはないと断言できます。

何よりの特徴は、3DCGアニメでありながら、コミックの質感を再現した“手書きのタッチ”にも見えるということ。この特殊で革新的な技術を配給会社であるソニー・ピクチャーズは特許出願しており、それも大納得の「コミックのキャラクターがそのままアニメで立体的に動いている!」という、本当に(重ねて書きますが)今までに見たことのない映像がこれでもかと押し寄せてくるのです。

ソニー・ピクチャーズ アニメーション史上最大となる180人のアニメーター(CGアニメーターとして日本人である若杉遼氏も参加)を総動員したものの、1人のアーティストが1週間かけて仕上げられるのは実際の映画におけるわずか2秒のみ、ショット数も大抵のアニメ映画の2,3倍は多くなり、結果として1フレームを完成させるためには通常のアニメ映画の4倍の時間がかけられたのだとか。大変な労力を伴い製作されたことに見合った、驚異の映像が完成しているということは、誰の目にも明らかでしょう、

アクションが大迫力であるということはもちろん、キャラそれぞれが“生きている”と思えるほどに豊かな動きを見せ、「コミックでしかできないはずの表現をアニメで再現する」というアイデアと超絶技巧にも感動しきり。まだまだ映像および映画には新たな可能性があるという希望も持てる、細いところまで作りに作り込まれた、瞬きすることも惜しいほどの映像のジェットコースター……!これを劇場の大スクリーンで観ることということ、それはただただ「幸せ!」になるとしか言えないではないですか!



4:製作は『LEGO ムービー』のあのコンビ!
その作家性も存分に表れていた!


本作の製作をフィル・ロードとクリス・ミラーというコンビが務めており、フィル・ロードは脚本を共同で執筆しているということも重要です。このコンビは『くもりときどきミートボール』などのファミリー向けのアニメ映画のほか、『21ジャンプストリート』という大人向けの実写映画の監督も手掛けており、関わった作品のほとんどが高い評価を得ているのです。



本作『スパイダーマン:スパイダーバース』も、「フィル・ロードとクリス・ミラーの作品だ!」と強く思える内容になっています。その作家性をかいつまんで言えば、エンターテインメント性がとにかく高いこと、おいしい展開や見せ場を良い意味で過剰なまでの物量で繰り出してくること、長ったらしい説明などせず超高速の編集で手っ取り早く見せるシーンがあること、お決まりの展開をあえて避ける“外し”が多いこと、ちょっと辛辣でブラックなギャグが伏線としても見事に回収されること、概ねで“オタク”なキャラクターが大活躍するということ、そして(詳しくは後述しますが)ふさぎ込んでいた主人公が自分の本当の役割や可能性に気づき、そして自己実現をしていくという物語が紡がれているということです。

そのコンビ作品にあるサービス精神や物量で攻める映像表現は“ドラッギー”と表現できるほどで、『くもりときどきミートボール』のなだれのように食べ物が襲ってくるシーンはいろいろな意味でとんでもなかったですし、『21ジャンプストリート』では文字通りにヤバいドラッグを吸った時に本気で頭がおかしいとしか思えない(超褒めています)狂った映像が繰り出されていたこともありました。

『LEGO ムービー』はレゴへの深い愛情と理解がある、大人も感涙必至のエンタメ性とテーマ性を兼ね備えた傑作であり、(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)主人公が担う役割は『スパイダーマン:スパイダーバース』と似通っているところもありました。



とにかく言えるのは、「フィル・ロードとクリス・ミラーが関わった作品は確実に面白い!」ということ。彼らが製作または製作総指揮として関わっているアニメ映画『コウノトリ大作戦!』『レゴバットマン ザ・ムービー』『スモールフット』などでも、それはほぼ共通。これらの作品を合わせて観ると、以上に掲げたこのコンビの作家性を強く感じることができるでしょう。(『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では途中で監督を降板してしまったこともあり、その作家性があまりうまく生かされていないように感じてしまいましたが)

なお、本作では3人のクリエイターが共同監督を務めるという、ちょっと変わった製作体制になっています。『リトルプリンス 星の王子さまと私』で脚本を務めたボブ・ペルシケッティ、『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』の監督であるピーター・ラムジー、『リベンジ・マッチ』や『22ジャンプストリート』で脚本を担当したロドニー・ロスマン(脚本もフィル・ロードと共同執筆)とそれぞれがアニメ映画で実績のある人物であり、彼らの手腕をこれ以上なく引き出したフィル・ロードとクリス・ミラーの貢献も賞賛されてしかるべきでしょう。

余談ですが、2018年に公開されたフィル・ロードとクリス・ミラーが製作に関わった実写映画『ブリグズビー・ベア』は、全ての映画オタクが号泣必至の感動が待ち受けている、優しい作品であると同時に過酷な現実を描くことからも逃げていない素晴らしい作品になっていました。こちらも合わせて観てみてほしいです。



※『ブリグズビー・ベア』の解説記事はこちら↓
□『ブリグズビー・ベア』が大傑作である5つの理由!『スター・ウォーズ』のあの人が誘拐犯にキャスティングされた理由とは?

さらに、フィル・ロードとクリス・ミラーが脚本と製作を務めた最新作『レゴ ムービー2』が、2019年3月29日に早くも公開予定となっています。こちらも前作に負けず劣らずの高評価を得ている作品であるので、ぜひチェックをしてみてください!




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