映画コラム

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2020年04月24日

地方色豊かな鉄道と人間の映画『RAILWAYS』シリーズで、心の旅を!

地方色豊かな鉄道と人間の映画『RAILWAYS』シリーズで、心の旅を!

新型コロナ・パニックの影響でなかなか外出もままならない昨今、旅行に出かけるというのも今はちょっと……というご時世ではあります。


とはいえ、人の心は無限大。その気になれば日本のみならず世界各地、それこそ宇宙でも異世界でも未来も過去へも行くことができるもの。

そして映画こそは、そんな旅へ誘うツールとして大いに機能してくれることでしょう。

今回は日本各地の鉄道を舞台にささやかながらもふくよかなる人間ドラマを繰り広げていく『RAILWAYS』シリーズをご紹介したいと思います。

いずれも見終えて心が洗われる好シリーズです!

中年男の第2の人生を描く
シリーズ第1作





2010年に公開されたシリーズ第1作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』はサブタイトルからして一目瞭然の、中年男性の第2の人生を描いたものです。

主人公は大手家電メーカーの経営企画室長で、取締役への昇進が内定するなどエリート・コースまっしぐらの人生を歩んできた筒井肇(中井貴一)。

そんなあるとき、故郷の島根県に住む母(奈良岡朋子)が倒れ、また同時に会社の同期(遠藤憲一)が自動車事故で死去したことを知った彼は、久しぶりに戻った故郷で“バタデン”こと「一畑電車(島根県東部を走る世界最古級の電車)の運転士になる」という子供の頃の夢を思い出し、一念発起して一畑電車株式会社に中途入社します。

ここでは自己を抑えて会社のためシビアに尽くしてきた中年男が「このままでよいのか?」といった人間的葛藤に目覚め、第2の人生をやり直すという基本ストーリーの中に、妻(高島礼子)や娘(本仮屋ユイカ)との確執、また肇と一緒に入社した若者(三浦貴大)の心の傷などが描かれます。

こうした人間ドラマを大らかに優しく包み込むのが、バタデンおよびその走る風景などで、こうした地方鉄道ならではの特色を活かして繰り広げていくのが、その後も続く本シリーズの基幹ともなっていきました。

ちなみに本作の錦織良成監督は島根県出身で、地元にこだわりながらの製作活動を果敢に続けています。

かくして、齢50前後にして人は人生をやり直すことができるのか? という命題に対する一つの提示が、本作をもって成されているのでした。

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熟年夫婦の心のすれ違いを描く
シリーズ第2作





前作の好評を得て作られたシリーズ第2作『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(11)は、雄大な北アルプスの立山連峰を望む富山地方鉄道を舞台に、もう若くはない夫婦の愛と絆が描かれていきます。

定年退職を1か月後に控えた運転士の滝島徹(三浦友和)は、妻の佐和子(余貴美子)から結婚を機に辞職していた看護師の仕事に戻ることを宣言され、思わず口論になってた佐和子は家出。

些細なことからすれ違ってしまう熟年夫婦、それぞれの想いとは……?

ここでは三浦友和と余貴美子、ベテラン演技派のふたりによるコビネーションがお見事で、彼らと同世代男女の観客のニーズに見事に応えた内容となっています。

私はこの時期、三浦氏にインタビューしたことがありましたが、彼は若い頃に山口百恵(現・三浦夫人)と共演して人気を博していた数々のコンビ映画の当時のファンが、今も劇場に見に来てくれるような大人のラブ・ストーリーをやりたいと語ってくれていて、その結実の一つが本作でもあったようにも思えます。

監督は前作で助監督を務めていた蔵方政俊でこれが映画監督デビュー作となりましたが、さりげなくもキメの細かい演出に好感が持てます。

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疑似家族の絆を描く
シリーズ第3作





シリーズ第3作『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』(18)は、前2作とはまた一味変わったテイストでユニークな挑戦がなされています。

天涯孤独の身であった晶(有村架純)は結婚した子連れの男性・修平(青木崇高)が突然死したことで、彼の故郷・鹿児島へ連れ子の駿也を伴って、肥薩おれんじ鉄道の運転士として勤務する義父・節夫(國村隼)のもとへ。

やがて晶は鉄道好きな駿也のために、修平が子どものころの夢でもあった鉄道運転手を決意し、肥薩おれんじ鉄道の入社試験を受けるのでした……。

ここでは血のつながりのない3人がひとつ屋根の下で暮らしながら、新しい家族のありようを模索していきます。

肥薩おれんじ鉄道は鹿児島県川内市と熊本県八代市を結ぶ路線の運営を担うという、営業エリアが複数の県をまたがる珍しい第3セクターの鉄道会社。

南国の郷土色豊かな風景と、ベテラン國村隼のいぶし銀の個性、そして有村架純の可愛らしく健気な運転士ぶりの対比が魅力的に映え渉っています。

監督は『キトキト』(07)『旅立ちの島唄~十五の春~』(13)『バースデーカード』(16)などの秀作を着実に発表し続けている吉田康弘。もちろん本作も彼の新たな代表作の1本です。

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いかがだったでしょう。この『RAILWAYS』シリーズ、日本各地の鉄道の個性と魅力をふんだんに見せこみながら、ささやかながらもふくよかな人間ドラマを展開させてくれる好シリーズです。

こうした地方色豊かな鉄道映画を通して、心の中で旅しながら、なかなか外に出られない現状の鬱屈などをさわやかにはらしてください。

また次の新作も大いに期待したいところです。

(文:増當竜也)

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