特撮向上委員会
『魔進戦隊キラメイジャー』田口清隆監督回への期待と『ウルトラマンZ』への思いを語る
『魔進戦隊キラメイジャー』田口清隆監督回への期待と『ウルトラマンZ』への思いを語る
『魔進戦隊キラメイジャー』が、またまたやってくれました。
エピソード32と33の監督を田口清隆監督が担当するという、うれしい事件が起こりました。
田口監督は数々のウルトラマン作品、そして現在放送中の『ウルトラマンZ』でもメイン監督をされています。
ちなみに僕は生粋の東映っ子でして、幼少期にウルトラマンシリーズが放送されてなかったということもあり、円谷作品はあまり通ってきてないんですが、それでも田口監督の名前は知ってます。
坂本浩一監督も東映作品、円谷作品共に携われているので前例がないわけではないんですが
、やはりこういった会社の枠を超えての交流というのは、ファンにとってうれしい次第であります。
先ほど円谷作品はあまり通ってきてないと書きましたが、実は『ウルトラマンZ』を放送開始された当初からずっと見ております。
にわかの薄い知識を晒すのは申し訳ないと、ここでは一切書いてきませんでしたが、ストレイジの活躍、しっかり見させていただいてます。
そしてすっかりハマってしまってます。
これは多分共感してもらえないと思うんですが、仮面ライダー、スーパー戦隊で育ってきた自分にとって、ウルトラマンシリーズを視聴するというのは、どこか浮気してるような、後ろめたさみたいなものを少し感じてしまうんです。
いいように言えば硬派、悪く言えば食わず嫌い。
でも僕みたいな人は、多くはないかもしれませんが、確実にいると思います。
そして逆に、ウルトラマンしか見ないという方もいることでしょう。
そんな中、なぜ僕が『ウルトラマンZ』は見ているのか。
今からちょうど6年前に『日々ロック』という映画が公開されました。
ザ・ロックンロールブラザーズというバンドの青春ストーリーなんですが、この映画の熱量がものすごく、見終わった後も熱冷めやらぬといった感じで、ツイッターに「日々ロックの映画が面白い」と呟いたところ、日々ロックの脚本されてる方からメッセージをいただき、「今度僕が本書いてる劇団の公演もあるんでもしよかったら遊びに来てください」と誘っていただきました。
まさにその方が、後に『ウルトラマンZ』で脚本とシリーズ構成をされる吹原幸太さんでした。
そんなこともあり、ポップンマッシュルームチキン野郎さんの公演『独りぼっちのブルースレッドフィールド』を見に行かせてもらいました。
それはそれは面白くて、吹原さんは映像でも舞台でも何でも、面白い脚本を書ける天才なんだと思いました。
しかも同い年の同学年。
同じクラスだったら、自分の才能のなさに失望しているところでした。
そんな吹原さんがいずれ特撮作品も書いてくれないかな、そんな作品があったら絶対に見るのにな、とか思ってたら、『てれびくん』のDVD作品『ビビビのビビルゲイツ』を吹原さんが担当されることを知り、感激しました。
コメディタッチの「ビビるゲイツ」は、短い時間ながらもしっかりと『仮面ライダージオウ』の世界観になっていて、これはメインライターを担当されるのもそう遠い未来じゃないな、などと勝手に期待していました。
しかし残念なことに、今年の5月、若くしてこの世を去られてしまいました。
『ウルトラマンZ』の脚本を担当されることは亡くなられた後に知りました。
僕が見たかった吹原幸太の特撮作品。
結果として遺作になってしまった『ウルトラマンZ』。
この作品を、僕はどんなことがあろうとも眼に焼き付けなくてはいけないという使命感に勝手に駆られました。
放送が始まった『ウルトラマンZ』は例年以上の盛り上がりを見せ、僕も含めたウルトラマンファンではなかった人たちをも取り込み、上質な特撮と緻密に練られたストーリーが、週を追うごとに僕を虜にしていきました。
そして吹原さんらしい、しっかりとした会話劇も随所に見られ、吹原節がしっかりと作品に刻まれていることに安堵しました。
『ウルトラマンZ』は本当に面白くて、ストレイジの面々のキャラの立たせ方や、整備班のドラマ、特空機の描き方が本当に秀逸。
それから過去作のオマージュも散りばめられてるんですが、僕みたいに過去作を勉強してない人にもちゃんとわかるように、ウルトラマンの公式チャンネルで応援配信と題して、元ネタや関連する過去作を流してくれています。
過去作の怪獣の上手な流用の仕方により、怪獣にもしっかりとフォーカスが当たるところはウルトラマンシリーズの発明です。
さらに、宇宙海賊バロッサ星人が、宇宙海賊つながりで『海賊戦隊ゴーカイジャー』の決め台詞の「派手に行くぜ」を引用したりと遊び心も満載。
そんな作品の中心を担っている田口監督が「キラメイジャー」にやってきたわけです。
面白くないはずがありません。
これを書いてる時点ではエピソード33はまだ放送されていませんが、きっと田口監督流の巨大戦が見れることでしょう。
これからもこういった交流をどんどんしていっていただき、特撮界全体がもっともっと盛り上がっていって欲しいなと思っています。
そして吹原さんが残した『ウルトラマンZ』も、未来につながって欲しいと願わずにはいられません。
(文:篠宮暁)
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