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深川麻衣の魅力|“どこまでも自然体”、『おもいで写眞』公開を機に改めて考える



映画『おもいで写眞』より

2016年に乃木坂46を卒業し、現在はドラマや映画に多数出演するなど女優として目覚ましい活躍を見せている深川麻衣。2021年1月29日公開の映画『おもいで写眞』で自身2度目の映画主演が決定、2月14日からスタートする大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)には和宮役を演じることが発表されるなど、女優として順調なキャリアを築き上げている。

なぜ深川は映像の世界で重宝されるのだろうか。『おもいで写眞』の公開を機に、改めて彼女の女優としての魅力を考えていきたい。

深川が切り開いた” 元乃木坂46””女優としてのキャリア



ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』より


ここで本題に入る前に深川のアイドルとしてのキャリアと振り返りつつ、卒業後足を踏み入れた女優としての活躍を見ていきたい。

深川はアイドルとしては遅咲きの20歳で乃木坂46に加入した。最初はアンダーグループと呼ばれるいわゆる補欠メンバーからのスタートだったが、3rdシングル「走れ!Bicycle」からは選抜の常連として活躍。穏やかな性格と包容力のあることからメンバー内はおろかファンからも”聖母”の愛称で親しまれた。



2016年に14thシングル「ハルジオンが咲く頃」を最後に卒業することを発表。同曲で深川はセンターに抜擢され、有終の美を飾った。6月には初のソロ写真集『ずっと、そばにいたい』(幻冬舎)を発売。柔らかな深川イメージがそのまま写真に収められたかのような彼女らしい写真集となっていた。

乃木坂46卒業後はテンカラットへと籍を移し、本格的に女優として活動することを決めた深川。乃木坂46時代にも、Sexy Zoneの佐藤勝利主演ドラマ『49』(日本テレビ系)や乃木坂46が主演の『初森ベマーズ』(テレビ東京系)など女優として出演していたものの、出演時間が限られていたり、端役だったりと、深川の演技がそこまで注目されることは少なかった。



女優として本格始動して初めてのドラマ出演となったのは『プリンセスメゾン』(NHK)。その後、映画『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初主演を飾ると、役者としての仕事が一気に増えていく。連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合)を筆頭に、『まだ結婚できない男』(関西テレビ)や主役を務めた『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京)、映画『愛がなんだ』や『空母いぶき』など、主役としての活躍は多くはないが、バイプレーヤーとして頼もしい活躍を見せている。



2021年は『おもいで写眞』で2度目の映画主演、そして『青天を衝け』への出演など、話題に事欠かない状況だ。これは深川が女優として認められつつあるということでもあるだろう。

というのもアイドルを経て女優へとキャリアを進めた人の中で、成功したと言えるのは最近では前田敦子や川栄李奈の名前が真っ先に挙げられる。乃木坂46の卒業生に限れば、西野七瀬や若月佑美の活躍が目覚ましい。そのなかでも深川は地道にではあるが、確実に女優としての階段を登り続けている印象を受ける。2021年の活躍次第では川栄らに並ぶ活躍を見せることがあるかもしれない。

このことを踏まえて次章以降では深川の女優としての魅力についてじっくり考えていきたい。

深川麻衣の女優論

深川の女優としての魅力は何かと聞かれたら、私はこう答えることにしている。

「自然体」

そう、深川はこれまで数々の映画やドラマに出演を果たしてきたが、彼女の演技に共通しているのは決して気張ることなくどこまでも自然体ということだ。アイドルから女優へと転向した場合には、どうしてもアイドル時代の個性が全面に押し出されてしまい、アイドルというフィルターを通して見られるという状況が起こってしまいがちだ。元アイドル女優に対する違和感はここに起因することが大いにあると考えているが、深川の出演作を見てもその起こるべき違和感が一切ない。映像の中に違和感なく溶け込めているのである。



映画『パンとバスと2度目のハツコイ』より


そのことを特に感じたのは、深川が初の主演を務めた『パンとバスと2度目のハツコイ』だ。この作品で深川は「第10回TAMA映画賞 最優秀新進女優賞」を受賞し、女優として高い評価を受けることとなった。深川が演じたのは“こじらせ女子”と称される独自の恋愛観を持った女性の市井ふみ。初恋相手である湯浅たもつ(山下健二郎)との偶然の出会いから、自身の恋愛観にもがきながらも不即不離の関係性が続いていくというストーリーだ。

本作ではありがちな恋愛映画のような恋愛描写は一切なく、深川演じるふみの内面を通じて、心情の変化が繊細に描写されていることが特徴。深川は物語の流れに身を任せ、あくまで映画の中にいるふみとしてあくまでも自然体に演じている。そして主役ではあるものの、物語に過度に干渉することはなく、作品そのものを引き立てているように感じられるのだ。深川は自然体でそれができてしまうのだから実に頼もしい。



映画『愛がなんだ』より


また、安藤サクラ演じるヒロインの福子の姪・香田吉乃役を演じた『まんぷく』や初の茶髪にして色男に目がない役柄に挑んだ『愛がなんだ』といった脇役や端役での出演においては、特に深川の自然体な女優としての魅力が存分に発揮されているように思う。無個性といってしまえばネガティブな印象を与えかねないが、それでもなお女優としての深川は逆説的ではあるが没個性的という個性を持ち合わせているのではないだろうか。それは没個性的であるがゆえに、演じる役柄に応じて、柔軟に役に入り込むことができるということでもある。



映画『水曜日が消えた』より

例えば、深川は映画『水曜日が消えた』や『空母いぶき』でも端役とはいえきっちりと入り込み、限りなく作品の背景と同質化したうえで、作品を引き立てることができる。主役脇役問わず、どのポジションにおいても自分の立ち位置を把握したうえで、自然体にできてしまうのが深川の役者としての強さだ。

深川は「どんなボールでも打ち返せるくらいの柔軟性がお芝居をする上では大切だと思うので、型にはまり過ぎないように意識しています」(引用:webマガジン『&M』)と演技に対するこだわりを語っていたが、彼女のこの姿勢こそが自然な演技となって現れているのだろう。

これは深川が乃木坂46で確立したポジションにも通じるところがあるだろう。深川は乃木坂46の中で自分のポジションを把握したうえでバランスを取りながら、常にメンバーやグループ全体のことを考えながら活動していた。役者という仕事に対する深川の姿勢はここから来ているのかもしれない。



一方で、もう一つ主演を務めた「日本ボロ宿紀行」では、女優としての奥深さを見せつけていた。「孤独のグルメ」や「昼のセント酒」でもお馴染みの共同テレビジョンと吉見健士が顔を合わせた本作。深川は演歌歌手の桜庭龍二(高橋和也)のマネージャの篠宮春子役として出演した。

「プリンセスメゾン」や「まんぷく」、「まだ結婚できない男」での深川は『パンとバスと2度目のハツコイ』にも通じる自然体な魅力が現れている作品に位置づけられるが、『日本ボロ宿紀行』では深川らしい温かみのある演技に加えて、喜怒哀楽の激しい役どころに挑戦している。

深川演じる春子は、自暴自棄に陥った龍二に対して大きな声で怒鳴りつけたり、時には酒癖が悪く周囲に迷惑をかけてしまったりと、感情の揺れ幅がとにかく大きい人物で、繊細な演技よりも役としてどれだけ再現できるかが求められてくる役柄だ。深川にとっても初めての役柄への挑戦だったにも関わらず好演を見せ、女優として新境地を切り開いた。特に静から動への表情の変化は見事としか言いようがなく、演じているもしくは演じさせられているといった感じは全く感じさせない。深川が本作で見せた”激情“は、乃木坂46時代から彼女を知っているファンからしたら驚きもあったのではないだろうか。

深川はどこまでも自然体な女優だ。だからこそどんな役柄においてもフィットできる。元アイドルというレッテルを外して、一度彼女の出演作を覗いてみてほしい。いやそのレッテルを外さなくとも、作品を見終わった後には彼女の女優としての魅力に気づかされることだろう。

女優・深川麻衣の展望-『おもいで写眞』『青天を衝け』など話題作に出演



映画『おもいで写眞』より

2019年から20年までの間にドラマと映画合わせて6作に出演し、女優として着実に経験を積み上げてきた深川。2021年はすでに『おもいで写眞』と『青天を衝け』への出演が決定しており、彼女への期待の高さが伺える。

深川が主演を務める『おもいで写眞』は、おもいで写眞を通して人生の豊かさや年を重ねることの美しさを描き出した作品だ。本作で深川は頑固でまっすぐな性格の主人公・音更結子を演じている。熊澤尚人監督は深川に対して笑顔を封印することを求めたそうで、深川は監督の要求に悪戦苦闘して挑んだことを『映画オフィシャルブック おもいで写眞 深川麻衣』内で明かしていた。チャームポイントの笑顔を封印し挑んだ本作は深川の役者としての真価が問われることになりそうだ。



そして先日『青天を衝け』への出演が発表され、大きな話題となった。深川が予てから演じてみたいと話していた大河ドラマへの出演。初出演にして深川が演じるのは、悲劇の皇女としても知られる和宮という重要な配役だ。『まんぷく』に出演した際には国民的ドラマ枠ということで、幅広い層から深川の存在を知られることにつながったが、『青天を衝け』でも同様の効果が期待できるだろう。まずはこの2作品の演技が2021年以降の深川の未来を左右しているといっても過言ではない。

2021年は彼女にとってさらなる飛躍の年となることは間違いないだろう。

(文:川崎龍也)
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