2020年 映画産業分析:コロナに耐えた東宝&配信を巡る「2つ」の現象
新たな興行の柱を模索する必要
これらの作品が大ヒットしてくれれば、ある程度『鬼滅の刃』の穴を埋めることができるかもしれません。しかし、それでも洋画メジャーの抜けた穴が大きく、配信シフトが加速すればコロナ収束後も完全には元に戻らないかもしれません。日本の興行界はそうなった時のことを考え、これまで以上に知恵を絞り、扱う作品も多様なものにしていく必要があるでしょう。具体的には、近年躍進著しい韓国映画や、『羅小黒戦記』が話題になった中国アニメーションなどは、ハリウッド映画に代わる興行の柱として期待できるかもしれません。
昨年、カンヌと米国アカデミー賞を制した『パラサイト 半地下の家族』が47億円を超える大ヒットを記録。『はちどり』や『82年生まれ、キム・ジヨン』も話題となり、Netflixでは韓国ドラマが大人気です。韓国映画の映画興行のポテンシャルは大きいのではないかと思います。
中国アニメ『羅小黒戦記』も日本国内で興行収入5億円を突破し、高い評価を獲得しています。その影響もあったのか、中国の3DCGアニメーション映画『ナタ転生』の公開が早くも決定しています。中国アニメーションの質の高さが認知されれば、これも新たな興行の柱となれるかもしれません。
2020年の苦しみは、2021年も続くと予想されます。この長いトンネルをいつ抜け出せるのか不透明ですが、映画館で映画を見る楽しさを忘れずに、しっかり感染対策して劇場に足を運びたいですね。時代は暗いですが、こんな時こそ映画は必要とされるはずです。
(文:杉本穂高)
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