映画コラム
『ブレイブ -群青戦記-』から連想される国産タイムスリップSF映画!
『ブレイブ -群青戦記-』から連想される国産タイムスリップSF映画!
まだまだいっぱい!
タイムスリップSF
『ブレイブ―群青戦記―』は学園ごと過去へ飛ばされますが、同じ傾向で未来へ飛ばされてしまうのが楳図かずおの名作漫画「漂流教室」で、これも大林宣彦監督のメガホンで1987年に映画化されていますが、さすがに恐怖色の強い原作と、キッチュな怪奇テイストを好む大林監督との相性はよくありませんでした。
その大林監督を師と仰ぐ小中和哉監督は、まさに少年ドラマシリーズの影響を受けて映画監督になったツワモノで、『東京少女』(08)
『篤姫ナンバー1』(12)『僕が処刑される未来』(12)、またTV「いいね!光源氏くん」(20)などタイムスリップをモチーフにした作品を多数手がけています。
(また彼は『なぞの転校生』98、『七瀬ふたたび』10も映画化しています)
『戦国自衛隊』、『時をかける少女』を発表した1980年代角川映画は長編アニメーション映画『時空の旅人』(86/原作・眉村卓)では、高校生たちを乗せたマイクロバスがタイムマシンと化して、東京大空襲から過去へ過去へと遡っていき、やがて“本能寺の変”直前の織田信長と対面します。
同じく眉村卓の「名残の雪」は少年ドラマシリーズ「幕末未来人」の原作ですが、その後これを原案に修学旅行中の3人の高校生と新米教師が幕末の時代にタイムスリップするTVドラマ「幕末高校生」(94)が作られ、さらには2014年にはその映画版も作られました。
2020年はアルバイトの若者が源氏物語の世界へタイムスリップする『十二単衣を着た悪魔』も記憶に新しいところで、この作品に出演していた伊藤沙莉は、TV「いいね!光源氏くん」(20)の主演でもありました。
TVといえば、黒島優菜扮する現代女子高生が戦国時代の足軽になる「アシガール」(17)や、かたや江戸時代の花魁(岡田由実)が現代の東京に現れる「江戸モアゼル~令和で恋、いたしんす。~」(21)も含めて、本当にタイムスリップものは定期的に作られていますね。
あと最近のヒット作といえば、古代ローマ時代の浴場と現代日本の風呂が繋がっているという奇想天外な設定で、現代日本にやってきた古代ローマ人の冒険を描いたヤマザキマリの漫画を原作とした『テルマエ・ロマエ』2部作(12&14)でしょう。
日本人の阿部寛が主人公のローマ人ルシウスに扮しているのですが、これが全く違和感ないという映画の奇跡!?
いやはや、タイムスリップひとつとっても、まだまだいろいろなアイデアが湧き出てくるものですね。
(文:増當竜也)
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(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社