『るろうに剣心 最終章 The Final』レビュー:「宿命の映画」
シリーズ最大級の熱量『The Final』
映画『るろうに剣心 最終章 The Final』は原作のおいて”人誅編”とされるエピソードをもとにこれ以上ないほどストーリーを濃密に凝縮、シリーズ最大級の熱量を込めた作品となりました。
実は私は『京都大火編』と『伝説の最後編』を連続上映(『伝説の最後編』は当時本邦初上映)するイベントで2部作通して見ています。サプライズで佐藤健、武井咲らが登壇するなど一種異様な熱気をはらんだ当日のことを今でもよく覚えています。
今回は機会に恵まれマスコミ関係者試写で『The Final』を見たのですが、試写室という限定された空間、当時の一ファンとは違う、作品の品定めをしなくてはいけないライターとしての目線で見たにも関わらず、映画の持つ異常な熱量を見事なまでにやられてしまいました。
この熱量は『京都大火編』『伝説の最後編』連続上映の時に映画館で感じた熱量と比べても、勝るとも劣らないモノで、このことは、『The Final』が1本の映画で前2部作に匹敵する凄まじい熱量をはらんでいることを意味しています。
その核となるのはやはりアクション。1対1、1対多数、多数対多数、そして東京を火の海にする市街戦。ありとあらゆるバリエーションのアクションが劇中で展開されていきます。『京都大火編』でも少し描かれましたが『The Final』での市街戦の迫力は凄まじく、控えめに言って阿鼻叫喚といっていいほど町が火の海に飲み込まれます。
大友監督はアクション監督の谷垣健治に”感情が見えるアクション”をオーダーしたとのことですが、それは見事なまでに焼き付けられたと言えるでしょう。冒頭に展開される雪代縁とその同志よる“人誅”の時間は、剣戟だけでなく砲撃や爆破シーン、壮絶な肉弾戦と多種多様な形のアクションが繰り広げられます。一方のクライマックスでは縁のアジトでの最終決戦が描かれます。ここでは1対多数、多数対多数の高速バトルが展開されます。
前作まででも日本映画史上屈指のスケール感が話題になりましたが、今回は総製作費50億円、撮影に7カ月を費やし、12都道府県・43か所での大規模ロケーションを敢行しています。また、大掛かりのセットも複数建て込み、その一部はアクションシーンの中で見事なまでに崩壊していきます。
『るろうに剣心 最終章』2部作はIMAX、4DX、MX4D シアターでの上映も決定しているので、より一層、作品の熱量を感じたい方、スケール感を感じたい方は劇場のフォーマットについてもあれこれ考えてみるのも楽しみ方の一つなのではないでしょうか?
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(C)和月伸宏/集英社 (C)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会