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2021年04月18日

『名探偵コナン 緋色の弾丸』初日の映画館を見てわかった「鬼滅」「エヴァ」との明確な違い

『名探偵コナン 緋色の弾丸』初日の映画館を見てわかった「鬼滅」「エヴァ」との明確な違い



新型コロナウィルスの感染拡大の影響による一年の延期を乗り越えて公開された『名探偵コナン 緋色の弾丸』。

2021年4月16日金曜日に無事初日を迎え、その後、最初の週末を迎えました。そこで、私はその初日と最初の週末の“コナン”の様子を見るために劇場に向かいました。今回、向かった映画館はTOHOシネマズ新宿。過去に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を公開した時には40回以上の上映回数を確保し、大ヒットスタートの一翼を担った“震源地”となった映画館で、私もその中にいました。

『シンエヴァンゲリオン劇場版』公開の時も、月曜日という変則の初日であり、競合作品も多い状況でありながら、20回以上の上映回数を確保して、こちらも映画を大いに盛り上げました。こちらでも私はその中に身を置いていました。

そして、今回、『鬼滅』と『エヴァ』の時の風景を思い出しながら『コナン』の初日・最初の週末の風景を確かめにTOHOシネマズ新宿へと向かいました。そしてわかったことは“コナン”というコンテンツ、ブランドの在り方、観客層のタイプの違いでした。

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意外だった『コナン』の初日と最初の週末の風景

以前、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の初日の様子を書かせていただきましたが、その時には『劇場版鬼滅の刃無限列車編』と比べても、上映回数の差(約半分)を感じさせない熱狂を感じたと書かせていただきました。

上映回数が半分ほどでしかも月曜日、さらにまだ緊急事態宣言中だったという2重3重のハンデをものともしない『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の盛り上がり方には年甲斐もなく興奮を覚えました。

そのイメージをいただいたまま2021年4月16日(金)、『名探偵コナン 緋色の弾丸』公開初日のTOHOシネマズ新宿に向かいました。今回TOHOシネマズ新宿が『緋色の弾丸』に割いた上映回数は40回を超えるもので、『鬼滅』並みの規模感の公開体制です。



流石というか、やはりというか『コナン』の観客を一切取りこぼすことがないように、大きく勝ちに行く姿勢を取っているということを感じました。

しかし、いざ映画館に赴いてみると、そこで見た風景は“静かなで穏やか空気”に包まれた映画館でした。『鬼滅』や『エヴァ』の公開初日の時にあった入場組、退場組、チケット購入組、グッズ購入組の観客の長蛇の列はなく、静かな平日の映画館そのものでした。

「なるほど、平日の“コナン”はこうなるのか!?」と思いつつ、初日は他の劇場も見ながらも帰宅しました。

そして17日土曜日、最初の週末に改めてTOHOシネマズ新宿に向かいました。色々言っても『コナン』は子供と子供連れがメインターゲットとなる映画ですから、土日となれば様相は大きく変わるだろうと思いながら映画館に入ると、そこは前日16日金曜日とあまり変わらない“穏やかな空気感”が続いていました。

インターネット上のチケットの売れ具合、そして劇場案内の最新の混み具合の表記から見ると、明らかに空いている上映回はなく、どの上映回も相応に埋まっています。

一部、報道などで漏れ伝わってきた数字からすると『緋色の弾丸』はもしかしたらシリーズ最大のヒット作、興行収入100億円を突破する可能性も見えてきています。

つまり映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』自体はものすごく混んでいる映画なのです。1日に40回以上の上映回というのもの決して構え過ぎではないほどの混み具合です。

その一方で、劇場内では人の滞留がなく、穏やかな映画館の風景が拡がる。このギャップ感はどこから来ているのでしょう?

発展の違いが生んだ空気の違い



『コナン』と『鬼滅』『エヴァ』は映画ビジネス的な側面で見れば同じくらいにその時期の“目玉”となる期待のビッグタイトルであることは変わりありません。

しかし、今回の映画館の様子を見て感じたことは『コナン』はメジャーの流れの中でファンのすそ野を広げてきたタイトルなのだなと言うことです。

もともとライトに入ってきたファン層が、やがて安室透や赤井秀一、怪盗キッドの熱烈なファンとなり、結果として『コナン』にもディープなファン層が生まれるようになりました。

しかし、支持するファン層の幅が拡がり続けるタイトルとなった『コナン』ではありますが、メインはあくまでもライト層のファンで、作品への極端な過熱が少なく、それが私が初日・二日目で目にした映画館の“穏やかな雰囲気”に繋がったのだと思われます。

これに対して『鬼滅』『エヴァ』はマニアックな支持層から徐々にすそ野が広がり、やがてメジャー化し、ビッグタイトルになっていったものです。

興行収入日本最高記録の400億円に届こうかという『鬼滅』や、すでに興行収入70億円を超えてきている『エヴァ』を捕まえてマニアックなもの(もっと言えばカルト的なもの)とするのは妙な感じがします。

しかし、作品の出自を見直すとやはり『鬼滅』と『エヴァ』はメジャー化したマニアック(カルト)なタイトル=ファンの熱量が高いタイトルだと言えます。『鬼滅』と『エヴァ』という二つの映画が映画館での極端な過熱を生んだのはファンの熱量の高さが大きな原動力になっていたと言えます。



今回同じ映画館で初日の風景を見たことで、『名探偵コナン 緋色の弾丸』と『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の三作品はその混雑具合から、どれも多くの観客を集める(集めるであろう)大ヒット作であることは間違いないと思いました。

しかし、目の前に広がる映画館の雰囲気から、それぞれの映画を支えるファン層・ファン心理、想いの熱量の表し方には大きな違いがあるのだということを肌で感じることができました。

誤解のないように言いますが、これはどちらが良いかどうかということではありません。

ただ、大ヒット作と一言で言ってもその“支えられ方”は千差万別なのだなということです。

今回初めて“映画の混み具合”“映画館の盛り上がり具合”を見るためだけに映画館に足を運ぶと言うことを試してみましたが、ビッグタイトルの支えられ方のファンの想いと熱の表し方の違いをはっきりと見ることができ、大きな収穫となりました。

(文:村松健太郎)

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