映画『夏への扉 ーキミのいる未来へー』レビュー:30年を駆け抜ける新感覚!時間旅行SFストーリー
研究者としてロボット開発に没頭する宗一郎(演:山崎賢人)が、とある事件をきっかけに罠にはめられ30年後まで冷凍睡眠させられることに。2025年の東京では、共に育った義理の妹・璃子(演:清原果耶)が謎の死を遂げていることを知ってしまう。
璃子を救うため、再度1995年に戻ることを決意した宗一郎。璃子を救えるのか、無事に元の未来へ戻ることはできるのか?タイムリープものとは一味違う時間旅行もの。新しいSFの形に、新鮮なドキドキを味わえます。
この物語のキーパーソンともいえる存在は、主人公・宗一郎の愛猫であるピート。窓辺でくつろぎながら、ふと雪が降っているのをみとめるや否や、家中の扉を開けてまわれとせっつく習性のあるこの猫が、なんとも可愛いのです。
常に宗一郎のそばで彼の一挙一動を見守り、ピンチの際にはその身を呈して助けに入る存在。ピートの目線はたびたび私たち視聴者の目線と重なり、宗一郎の感情の揺れや璃子の悲しみに寄り添います。最初から最後まで、物語を通してピートは宗一郎や璃子の傍らにいてくれている。ピートがいるからこそ、私たちはより物語の世界へ没入できるのでしょう。
そして、この物語には”猫ではない”ピートの存在も。2025年まで冷凍睡眠させられた宗一郎が目覚めた先には、なんとヒューマノイドと呼ばれる精巧な人形ロボットがいたのです。
藤木直人演じるロボットのピートも、宗一郎のピンチを助けてくれる頼れる存在。このふたりの掛け合いが、なんともコミカルで面白いのも見どころのひとつ。
この『夏への扉 ーキミのいる未来へー』は、謎の死を遂げてしまった璃子を助けるために奔走する宗一郎の物語だ。それと同時に、ある大きな目的な成し遂げるためには、たったひとりの力では何もできない事実をあらためて教えてくれる物語でもある。
猫のピート、ロボットのピート、その他多くの人の手を借りて、宗一郎は動く。たったひとり、璃子を助けるためだけに。ふたりの目指す未来を、ぜひ映画館で見届けてほしい。
(文:北村有)
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