映画コラム
『タイタニック』ローズはなぜ最後に「捨てた」のか?その理由を全力解説
『タイタニック』ローズはなぜ最後に「捨てた」のか?その理由を全力解説
7:ラストでローズは亡くなったのか?
本作のラストシーン、それは「ウェディングドレスを着た若い頃のローズが、タイタニック号で亡くなった人々が祝福の拍手をしている中で歩き、そして時計がある大階段にいるジャックの元に向かう」という、言葉にならないほどに美しいものでした
この解釈には2通りがあり、「ローズはベッドで亡くなり、ジャックたちがいる天国へと行った」か、もしくは「ローズは亡くなっておらず、その時に見た幸せな夢」のどちらかと言われいます。
実は、このラストシーンのDVDのチャプター名は「かなえられた夢」、原題は「A Promise Kept(約束は果たされた)」となっています。そして、劇中の「約束」を鑑みれば、やはり「ローズはベッドで亡くなり、ジャックたちがいる天国へと行った」という解釈のほうが有力だと思うのです。
その約束とは、冷たい海水の中で凍えていたジャックと交わしていた「今夜、こんなところで死ぬんじゃない」「無事に助かって、たくさんの子どもを産む。彼らを育て、歳をとって、温かいベッドで死ぬんだ」「僕のために、絶対に生き残ってくれ。何があろうと最後まで諦めないでくれ」ということでした。
ローズはジャックが亡くなった後も、彼の「(助けはいらないと言ったことに対して)そうだね、闘うのは君だ」という言葉そのままに、自分の意思で闘い、望んだ人生を手に入れたのでしょう。それは、ローズがいつも共に旅をしている、乗馬をしたり飛行機と一緒の姿をとらえた「夢を叶えた写真」でわかります。
そして、最後には「温かいベッドで死ぬ」というジャックとの約束を守り、そしてジャックと再会するという夢をも叶えた。だからこそ、ローズはたくさんの乗客から祝福されていたのでしょう。
しかも、ラストシーンにおける時計は、タイタニック号が沈んだその時刻である、午前2時20分を指していました(中盤の、同じ場所で「本当のパーティー」に誘われた時の時刻は午後9時)。
ここからも、ローズは「あの約束の時間の場所に向かった」、転じて「死の世界へと旅立った(でも幸福であった)」ことが示されていると思うのです。
(文:ヒナタカ)
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