「全裸監督シーズン2」レビュー完結編&「全裸監督」を観終わったらこの作品を観て欲しい
去り行くヒロインと傾国の美女
「全裸監督シーズン1」で村西のミューズとして登場したのが黒木香。「全裸監督シーズン2」では村西との公私に渡るパートナーとなると同時に、サブカルチャーの面でも存在感を増してタレントとしてブレイクしています。
時には村西を上回る認知度を見せることもあり、このことが村西と黒木の間に微妙な空気を生んでしまいます。
そして、村西が衛星事業に本格進出したことが契機となり村西と黒木は別離を迎えます。
代わりに登場したのが、後に“村西にとって傾国の美女だった”と表される乃木真梨子。
後に本当に村西夫人となる人ですが、黒木に憧れ、村西のもとにやってきた女性です。
黒木が周りの女優たちにも慕われていた中での、村西の心変わりが周りの人間が離れていくことを加速させてしまいます。
森田望智の後半へいくほど不安定さを感じさせる表情と、自身なさげだったところから凛とした顔つきに変わっていく恒松裕里の熱演は見事です。
どうしても作品的にヌードや濡れ場などの“体当たり”演技に注目が浴びてしまう「全裸監督」シリーズですが、実際には激動の時代の流れの中で強く自分を出していこうという女性の姿を描いていて、そういう面での女優陣の熱演はもっと評価されていいかと思います。
最も近い傍観者と裏主役
玉山鉄二演じる川田は原作となった「全裸監督 村西とおる伝」の著者・本橋信宏がモデルになっているとされ、物語の語り部的な視点の持ち主です。しかし、作品の過剰量産体制、そしてその利益のほとんどを衛星事業に投資しようとする村西の姿勢を見て早々に離反してしまいます。このことで村西は新たに“ダイヤモンド映像”を立ち上げ、よりワンマン体制になってしまうのは皮肉なことですが、この視線は醒めているのに最後まで村西を見届け続ける川田の存在は玉山鉄二の好演もあって、暴走気味な「全裸監督シーズン2」の物語を地に足のついたものにしています。
そして、「シーズン2」で裏主役に躍り出たのが、満島真之介演じるトシでしょう。
半分裏社会の住人のような形で物語に登場、村西に“アダルトビジネス”の世界を見せた人物でしたが、「シーズン1」ではあることから袂を分かち、収監までされてしまいます。
その後、ヤクザの組員となっていたトシですが、村西との奇縁は途切れず、「全裸監督シーズン2」の後半ではすべてを握るキーマンにまで成長していきます。
物語の中での成長具合いでは二人のヒロインと共にこのトシがダントツです。
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