「ナイト・ドクター」第3話レビュー:「だから君自身がどうしたいのか、君自身が決めろ」(※ストーリーネタバレあり)
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波瑠主演のフジテレビの連続ドラマ「ナイト・ドクター」が、2021年6月21日(月)より放送開始した。
“昼夜完全交代制”を試験的に導入した病院を舞台に、夜間救急専門の医師チーム「ナイト・ドクター」の奮闘を描く本作。“月9”ドラマ初出演となる波瑠が強い信念を持つ主人公・朝倉美月を演じる。
本記事では、その第3話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。
「ナイト・ドクター」第3話レビュー
北村匠海演じる桜庭瞬について、新たな事実が二つ分かった。
ひとつは、桜庭と本郷(演:沢村一樹)は昔からの知り合いだということ。桜庭が幼い頃から、いわば父親代わりとして一緒に水族館に行くなど交流があったようだ。
そしてもうひとつは、桜庭たちが働く病院の経営を取り仕切る「栢桜会」の会長・桜庭麗子(演:真矢ミキ)の実の息子が、桜庭瞬であること。生まれつき心臓に疾患を持つ息子の身を案じ、「もうこんなに危険な職場には置いておけない」と瞬に対しイギリス留学を言い渡す。
いくら大病院の息子で、これまで大切に育ててきたからといって、そう簡単に海外留学を提案して「はい行きます」とはならないと思うのだけど……。心臓疾患のせいで、幼い頃から「やりたいことを我慢してきた」桜庭にとって、ある意味、今回も思うようにいかないのかと歯痒い心境に陥ったことだろう。
前回2話の終盤、実は変質者だと分かった患者に襲いかかられた美月(演:波瑠)を、身を挺して守った桜庭。幸い、そこまで傷は深くなかった。しかし、事件のことを知った桜庭の母・麗子は黙っちゃいない。息子に対し、いきなりイギリス留学を言い渡したのもこの件があったからこそだが、桜庭からすると、心臓疾患に関係のない出来事のせいで大好きな職場を離れることになるなんて、納得いかない展開だろう。
そう、桜庭にとって、この病院で働くことは夢だった。憧れの本郷の元で働けることが何よりの喜びだったのだ。それは、桜庭が幼い頃に本郷とともに訪れた水族館での出来事が関わっている。
イルカショーを見ていた本郷と、幼い頃の桜庭。すると突然、客席が騒々しくなった。なんと、男の子が喉に食べ物を詰まらせ、窒息しかけている。慌てる母親を落ち着かせながら、その場にあるもので冷静に処置をする本郷。桜庭も、「そこにある箸を取ってくれ」と言われ手を貸す。
すべてが解決した後、本郷は桜庭に言う。「よくやった」ーーこの言葉を胸に、桜庭は医師に対しての憧れを強めるのだ。
「目の前で苦しんでる人を救えるってすごいことだよ。その人の未来を一瞬で変えられちゃうんだからさ」
憧れの対象である本郷の元で働く。夢が叶ったにも関わらず、またもや、生まれ持った心臓疾患のせいで道が断たれようとしている。やりたいことも夢も目標も、この病気のせいで何とか折り合いをつけ諦めるしかなかった。なかなか整理のつかない複雑な心境は、桜庭の心臓がドナーによって移植されたものであることも関係していた。
「僕の体は僕だけのものじゃない」
「僕の心臓は移植されたものだから」
「誰よりも清く正しく、自分の命を大切に生きなくちゃいけないんだ」
物語の終盤、桜庭にとってのドナーはおそらく、美月の母であることが仄めかされる。その事実を鑑みると、桜庭は確かに自分のためだけじゃない人生を生きるべきだとも思えてくる。けれど、本郷は言ってくれた。桜庭に対して直接の言葉ではないけれど。
「誰も君の人生の責任まではとってくれない」
「それがどんなに優秀で素晴らしい親であってもだ」
「だから君自身がどうしたいのか、君自身が決めろ」
桜庭は、自分の人生をどう生きたいのか、自分で決めてもいい。たとえ人からもらった心臓で生かされているのだとしても、何のために生きるかは自分で決めてもいいはずだ。直接もらった言葉ではないにしろ、憧れである本郷が言った言葉で確実に励まされただろう。
心臓の手術のために1週間の休みを余儀なくされた桜庭。しかし、努力を忘れない彼ならば、職場から弾き出されることはないーー少なくとも、今の仲間たちがいる環境ならば。
「ナイト・ドクター」第3話ストーリー
朝倉美月(波瑠)が患者の斎藤篤男(赤ペン瀧川)に襲われた。桜庭瞬(北村匠海)は斎藤を突き飛ばすが、刃物で傷つけられる。幸い桜庭は軽症で、斎藤は成瀬暁人(田中圭)、深澤新(岸優太)に取り押さえられた。
事件は『あさひ海浜病院』などを束ねる『柏桜会』会長で、桜庭の母親、麗子(真矢ミキ)も知るところとなった。救命救急センターに現れた竜子は、息子の身を案じて桜庭にイギリス留学を言い渡す。救急医の初歩的な処置も満足に出来ないのでは、その方が良いと合意する本郷に桜庭はショックを隠せない。
美月にそれでも良いのかと促された桜庭は本郷に継続を頼むが、足手まといになるような者は必要ないと再び突き放されてしまう。さらに、主治医、宮本守(東根作寿英)の診察を受けた桜庭は、一週間ほど休みが取れないかと問われる。今休んだら救命から追い出されると桜庭は意気消沈。そんな桜庭に美月は暴漢から救ってくれたことを感謝して救急医療の参考書を渡し、応援していると励ます。
そんな時、急患が運び込まれ、美月たちの処置もむなしく亡くなってしまった。無保険なので早期治療を受けられなかったのだろうと推測する成瀬。本郷も医療だけでは救えない命もあると言う。
桜庭は患者の生まれながらの恵まれない境遇を思った。そして、桜庭は美月たちになぜ自分が救急医を目指すことにしたのかを話す。次の日、救命センターに出勤した庭は、次週の勤務シフト表から自分の名前が消えていることに気づく。麗子の指示だと言う本郷は、桜庭に転科届けを渡した。
(文:北村有)
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