あなたに役立つ映画・ドラマのプラスαがあるメディア「シネマズプラス」
冒頭で「あなたが父親か確かめに来た」と安洛に突きつける絆。これに安洛は狼狽していたが、結局なんともはっきりしない言い訳を並べただけだった。
その後の安洛は、絆を遠ざけようとしたり絆の声が聞こえただけで“フリーズ”状態になったりとどうにも落ち着かない。どう見ても絆の存在に心をかき乱されていて、やはり父親なのか?そうでなくとも絆の母親と何かあったのか?と見ていてどうにも疑いたくなった。
そんな中、総事係(そうじがかり)ことサイバー総合事犯係が挑むのは、芸妓の“舞菊”こと奥村麻衣をめぐる事件。
麻衣と会社社長のツーショット写真がネットに流出。安洛がIPを特定して投稿者を見つけ出すが、その投稿者であるカメラマンの寺西が刺されて死んでいるのが発見され、殺人事件へと発展してしまう。
その後、寺西が盗撮写真をネタに恐喝を行っていたのが明らかに。ならば恐喝の被害者が口封じのために殺害したのでは…と自分たちの捜査を打ち切ろうとする安洛。しかし、彼の判断に反発したのは絆。事件の裏に隠れているに違いない人の情にまたも彼女はこだわった。
「パソコンの中に引きこもって人に触れなかったら、人の情なんて絶対にわからない」と安洛に現場に出るよう促す絆。最初はとりあわない安洛だったが、絆から彼女の母親がすでに亡くなっていると聞かされて驚く。そして、何か思い直したのか一転して捜査を再開した。
その後の捜査で、寺西のパソコンを遠隔操作して社長との写真を流出させた犯人は麻衣の幼馴染・石山翔太であると判明。麻衣と石山は恋人同士らしく、彼は麻衣に芸鼓をやめさせたくて写真を拡散させたのだった。さらに、石山は犯行当夜寺西のアパートの近くにいたことがわかり容疑者として連行されるが、取り調べに黙秘を貫く。
なぜ石山が黙秘しているのか? その理由を見つけ出そうとする安洛と絆。結果、置屋の女将・涼花に妹がいたとわかる。そして、ついに安洛が現場へ赴いて涼花と対面。25年前に起きたある傷害事件の隠された真相を明らかにする。
この傷害事件で逮捕された人物こそが寺西を刺した真犯人。それは、置屋の“男衆(おとこし)”である田沼徳夫。石山は事件当夜に寺西のアパートに向かう彼を見たことを隠そうとしていたのだった。
実は田沼は麻衣の父親。かつて麻衣の母であり涼花の妹だった芸鼓・春菜と恋におちたが、それに怒った春菜の贔屓筋が暴漢に二人を襲わせた。そして、春菜を守ろうとした田沼は相手を殴って死なせてしまった。
刑期を終えた後、涼花に頼み込んで男衆となり、素性を明かさず麻衣のそばにいた田沼。しかし、麻衣の出生の秘密を寺西に握られ、口止め料を支払いにいったところ、寺西が「次は舞菊に買い取ってもらう。金じゃないもので払ってもらうがな」と言ったのに激昂。思わず彼を刺してしまったのだった。
田沼に対して「それでよかったのか。父親らしいことを何もできないのに」と問いかけた絆。父親が誰かわからず苦しむ彼女からすると、彼の選択がどうにも疑問だったのだと思う。だが、田沼は「自分は舞菊という芸鼓に仕えてただただ見守っていることができた。それ以上望んだら罰があたる」と言いきった。傷害事件を起こしてしまい、麻衣の母を幸せにできなかった彼にとっては、名乗らず見守ることこそが精一杯の父親としての愛情だったのだろう。
田沼は潔く犯行を認める。そして、連行される直前、お座敷に出る麻衣の背中に切り火をして送り出した。この切り火は厄除け、邪気祓いのための風習で、最後まで娘を守ろうとした彼の人生をなんとも物語っているかのよう。田沼を演じた飯田基祐の秀逸な演技もあって、なんとも心にしみいる場面だった。
今回、「事件を解くには人の情が重要な要素だと判断した」という安洛。これまで現場捜査をしてこなかった彼がなぜ絆の言葉を受け入れて方針を変えたのか、その心の奥は結局わからずじまい。ただ、実際事件の裏には田沼や涼花、石山らの麻衣を思う情が隠れていて、安洛や絆がそれを理解したからこそ事件解決につなげられたといえる。どうやらこの安洛という男、人の情を心底嫌ったり軽んじたりしているのではなさそうだ。
サイバー捜査がテーマである本作。確かにこの2話でもパソコンを駆使した捜査が行われたが、それと同時に京都祇園を舞台にした抒情的なドラマも展開。デジタルな捜査の面白さだけでなくアナログな情緒も大切にしているのが感じられた。
犯罪解決のために大切なのは情報解析なのか人の心なのか、それともその両方なのか。本作の着地点がどういうところになるのかを、今しばらく見守っていきたい。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)テレビ朝日
PR | 2022-07-15
「バーチャルシネマ」とは?仮想空間で楽しむ映画エンタメを体験してみた!
シネマズ 編集部
2022-08-07
<独占>「鎌倉殿の13人」新納慎也インタビュー「初登場シーンは最期へ向けた壮大な前フリだった」
木俣冬
2022-07-04
「ちむどんどん」前田公輝インタビュー:暢子への恋心と、奔放な登場人物たちに思うこと
木俣冬
2022-07-30
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』4DXとの相性が最高である「5つ」の理由
ヒナタカ
2022-06-30
地上波連続ドラマ初主演!与田祐希が語る俳優業「アイドルだからこそもっと頑張らなきゃいけない」
川崎龍也
2022-08-06
まさに新時代!『ONE PIECE FILM RED』は“音楽映画”だった
前野真岐
PR | 2022-07-15
「バーチャルシネマ」とは?仮想空間で楽しむ映画エンタメを体験してみた!
シネマズ 編集部
2022-08-07
<独占>「鎌倉殿の13人」新納慎也インタビュー「初登場シーンは最期へ向けた壮大な前フリだった」
木俣冬
2022-07-04
「ちむどんどん」前田公輝インタビュー:暢子への恋心と、奔放な登場人物たちに思うこと
木俣冬
2022-07-30
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』4DXとの相性が最高である「5つ」の理由
ヒナタカ
2022-06-30
地上波連続ドラマ初主演!与田祐希が語る俳優業「アイドルだからこそもっと頑張らなきゃいけない」
川崎龍也
2022-08-06
まさに新時代!『ONE PIECE FILM RED』は“音楽映画”だった
前野真岐