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2021年07月22日

「ただ離婚してないだけ」第3話レビュー:あの時どうすればよかったのか? 不幸の連鎖が止まらない…(※ストーリーネタバレあり)

「ただ離婚してないだけ」第3話レビュー:あの時どうすればよかったのか? 不幸の連鎖が止まらない…(※ストーリーネタバレあり)



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Kis-My-Ft2の北山宏光が主演をつとめるドラマ「ただ離婚してないだけ」が、2021年7月7日に放映スタートした。

本田優貴による人気コミックを原作としたこのドラマは、夫の不倫をきっかけに巻き起こる、いつ自分の身に起こっても不思議ではない戦慄の展開で話題沸騰の、未だかつてない不倫サスペンス作品。

本記事ではその第3話をcinemas PLUSドラマライターが紐解いていく。

「ただ離婚してないだけ」第3話レビュー

中絶手術を終えた後、正隆(北山宏光)に「私、がんばったよ」と無理やりに笑顔を作って言う萌(萩原みのり)が、何度見ても痛々しい。でも、これはまだ入り口に過ぎなかった。

萌とあんなことがあったにもかかわらず、正隆は平然と暮らしていた。ソファに寝転んで電動歯ブラシなんて、いいご身分ですね、という気持ちになる。挙句、萌からの「今日は会える?」という連絡に、あからさまに面倒くさそうな表情。もしかして、もう女遊びは懲りたんだろうか。だったらいいのに、と思った矢先、正隆が見ていたのはマッチングアプリ。どこまでもクズ…! と思うと同時に、なんだか自ら不幸の奥深くへ潜り込んでいっているように見えた。

それは雪映(中村ゆり)も感じていたらしい。正隆が出張と称して鎌倉の高級旅館に泊まったり、口座から一気に20万円を引き出したり、度を過ぎた行動の数々に、我慢は限界に達していた。

萌からは自分を責め立てるような大量のLINEが届き、新しく引っかけた女の子はホテルに連れ込むも逃げられ、おそらくは散々な気分で帰宅した正隆。真っ暗な部屋の電気をつけると、今日も今日とてしっかりと準備された食卓を前に、雪映が静かに座っている。ある意味、恐怖映像だ。でも、暗闇に突如現れたことで、食卓の彩りがより鮮明に見えた気がした。この人は、いつも不機嫌で会話もままならない夫のためにここまで…と改めて気付く。

正隆が「なんとか言えよ!」と怒鳴ると、「これ以上自暴自棄にならないでよ! もっと自分を大切にして」と泣き出す雪映。生き生きと仕事をしていた姿を見てきて、いつか必ず立ち直るはずと信じてきたからこそ、ここまでやってこられたんだろう。「生き直してよ」「あなたを見捨てない」…初めて雪映が感情を言葉にしたんじゃないか。もしかしたらその裏側には、雪映の自己満足や執着も含まれているかもしれない。でも、今この状況で正隆に向き合ってくれるのは、たぶん雪映だけだろう。この叫びを無下にしたらだめだよ、がんばれ、と知らず知らず正隆を応援してしまっていた。

正隆は、萌に「別れよう」とLINEを送る。もうちょっとしっかり話をしなきゃ…と思ったのも束の間、LINEを受け取った萌は放心状態のまま、ほとんど躊躇いもなく手首を切る。なんでなんで、と泣く萌はやつれ果てていて、その迫力に息を呑んだ。萩原みのり、すごい演技だ…。

1人の若い女の子を地獄に落としておいて、おそらくはそのことに無自覚だろう正隆は、仕事にもやる気を見せる。今まで嫌味しか言ってこなかった編集者とは違う人と打ち合わせをしていた。そうそう、そうやって関わる人もある程度は選んだ方がいい。

雪映との間にも会話があるし、なんだか自然に夫婦になっていてほっとした。コーヒーを淹れようとしてフラついた雪映をすっと支える仕草もまったく白々しくないし、見ていて気まずい感じもない。ここまでの鬼気迫る正隆もかなり見応えがあったが、過不足のないこの微妙な塩梅をうまくやってのける北山宏光に脱帽してしまった。(え、あのシーン、すごくなかったですか…?)

何もかもうまくいきそう。光明が見えてきたとき、雪映が待望の妊娠。しかし、婦人科には萌も居合わせていて、雪映の妊娠をしってしまう。もうずいぶん人相が変わってしまっている。「おめでとうございます」の笑顔が怖い。

妊娠を知り、喜びから笑顔を隠せていない雪映、めちゃくちゃ可愛い。この笑顔、ずっと守りたい…が、現実はそんなに甘くなかった。突如正隆らの家を訪ね、ずかずかと上がり込んでくる萌。表情、言葉、行動、すべてから、精神的に壊れてしまっていることが分かる。萌は包丁を手に雪映に襲い掛かろうとするも、正隆が止めに入る。この状況で逃げずに雪映を守ったことで、また少し見直した。いや、これ全部正隆が蒔いた種なんだけど。

もみ合いの末、不可抗力で萌を刺してしまった。床には大量の血液。開ききった瞳孔に、もう息絶えていることが分かる。

こんなことってあるだろうか。せっかく前を向き、少しずつ歩み始めたところだったのに。あぁ、でも全部正隆が悪い。

こうならないためには、どうすればよかったんだろう。中絶をする前に、正隆が萌の話をもっとしっかり聞いていたらよかったのか? 別れ話を、納得がいくまで重ねておけばよかったのか?
なんだかどれも違う気がする。どんな選択をしても、同じところにたどり着いてしまっていたんじゃないか。

ジェットコースターのように物語が進んだ3話。この先、どんな未来が待っていても、見届ける覚悟を持っておこうと思う。

「ただ離婚してないだけ」第3話ストーリー



正隆(北山宏光)との子供を堕胎した萌(萩原みのり)。手術の日以来、正隆から連絡を無視され、不安を募らせていた。妻の雪映(中村ゆり)もまた正隆が銀行口座から引き出した20万円を不審に思っていた…。
そんな折、萌は術後の不正出血で産婦人科へ行くと、雪映に出くわし、衝撃の事実を告げられる。それを聞いた萌は、子供を堕ろした深い悲しみと積み重なり、徐々に正気を失っていく。物語はスピードを上げて転がり落ち、衝撃の展開へ…!

(文:あまのさき)

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