「サ道2021」第4話レビュー:人生もサウナも同じ。「人それぞれ」が一番大事(※ストーリーネタバレあり)
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テレビ東京はドラマ25枠で、「サ道」の新シーズンを放映する。
出演は、前作に引き続き原田泰造・三宅弘城・磯村勇斗が決定。今回、“ディスタンスと継承”をテーマとし、様々な距離をこえて受け継がれていくものを描く。
本記事では、第4話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「サ道2021」第4話レビュー
サウナへは女性もたくさん通うようになったが、やっぱり“男の世界”という側面が強い。成人男性が集まれば、仕事の話が始まりがち。『サ道2021』第4話も、サラリーマンたちの仕事の話だった。そういえば、前シリーズの『サ道』にもサラリーマンの話があったっけ(第10話)。
第4話の主役は“ヘルパーさん”と呼ばれるサラリーマン(前野朋哉)。彼は社内のPCトラブルを解決するヘルプデスクの仕事をしている。趣味はサウナ。ホームサウナの「池袋 タイムズ スパ・レスタ」は絶品サウナとして知られている。
ヘルパーさんが勤める会社の業績は悪化していて、社内の空気も澱んでいる。そんな中、入社5年目の吉田くん(戸塚純貴)が退社して独立することになる。吉田くんはヘルパーさんをサウナに誘ってくれた男だった。
一方、入社10年目の小倉くん(前原滉)は、いまだに企画を通すこともできないでいた。吉田くんが「できる社員」なら、小倉くんは「できない社員」だ。2人を間近で見ていたヘルパーさんは、殻を破るきっかけになればと考えて、小倉くんをサウナへと誘う。小倉くんを演じる前原滉は、長瀬智也主演の『俺の家の話』で、長瀬演じる主人公の元妻の新しい夫を演じていた人。
しかし、それがヘルパーさんの失敗だった。彼はサウナが苦手な小倉くんをサウナ室にとどめ、水風呂にも入らせる。さらに酒を飲みながら、“ソフト説教”をかましてしまうのだ。翌日、小倉くんは欠勤。その後、ヘルパーさんを露骨に避けるようになる。
サウナには人それぞれのペースがある。なにせ100度近くもある空間にいるのだから、どれだけ耐えられるかはその人次第。冷たい水風呂に何分浸かるのかも、そう。他人に自分のペースを強制するのは、一番やっちゃいけないことだ。そもそも、裸でリラックスする空間に、サラリーマンの世界の上下関係を持ち込むなんて野暮すぎる。
「サウナに上下はない。あるのは温度が高めの上段と、温度が低めの下段だけ。人間だって同じじゃないか。偉そうに説教して、何様なんだ。僕がやったのはパワハラだ」
後悔の念にかられるヘルパーさん。月日が経ったある日、小倉くんがサウナに現れる。彼はヘルパーさんに誘われたのをきっかけに、サウナにハマるようになったのだ。さらにヘルパーさんの言葉にファイトを燃やし、素晴らしい企画書を通すこともできた。「できない社員」が「できる社員」へと変貌したのだ。
「人には、それぞれペースがある。きっかけとタイミングで人は変わっていく。自分に一番合うペースで進めばいい」
これもヘルパーさんの言葉。人生とサウナは同じなのかもしれない。脚本は『全裸監督』シリーズや、今クールの傑作深夜ドラマ『八月は夜のバッティングセンターで。』を手掛ける山田能龍。スッキリまとまっていながら、滋味もあるという、さすがの仕上がりだった。
(文:大山くまお)
「サ道2021」第4話ストーリー
雑貨メーカーに勤めるヘルパーさんは、同僚の吉田くんに誘われて以来サウナの魅力にハマってしまう。いつものようにサウナで蒸され水風呂に入っていた時、吉田くんから「会社を辞める」と告げられる…。
“デキる社員”として評判のいい吉田くんの退職に社内の雰囲気が悪くなっていた頃、社員から“デキない社員”と言われ自暴自棄気味の小倉くんを見かねたヘルパーさんはサウナに誘う事に。話を聞いて勇気づけるはずが事態は思わぬ方向に進んでいく…!
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(C)「サ道2021」製作委員会