『ワイルド・スピード』の20年、成功の歴史を辿る
『ワイルド・スピード』の20年、成功の歴史を辿る
シリーズ開幕も、一人また一人と去っていく
2000年に当時売り出し中だった俳優のポール・ウォーカーは『ザ・スカルズ/髑髏の誓い』で組んだロブ・コーエン監督との新作企画を進めます。
ウォーカーのイメージとしては、トム・クルーズのレース映画『デイズ・オブ・サンダー』とジョニー・デップ&アル・パチーノの潜入捜査モノ『フェイク』を掛け合わせたような映画がありました。
これに、アンダーグラウンドで流行してきた(違法の)ストリートレースの話を見つけてきて、企画に取り込むことになりました。その後、形としてはキアヌ・リーヴス&パトリック・スウェッジ主演の銀行強盗をするサーファーグループにFBI捜査官が潜入する『ハートブルー』の地上版的な映画へと方向性が固まりました。
潜入する捜査官ブライアンをポール・ウォーカーが演じる一方で、ストリートレースのキャラクター・ドミニクを演じるカリスマ性のある俳優を探していく中で、SFサスペンス『ピッチブック』のリディック役で輝きを見せていたヴィン・ディーゼルに声がかかります。
ヴィン・ディーゼルは自身のアイデアを「映画に反映させる」を条件に出演を決めます。
これにミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースターというその後“ファミリー”と劇中で評される面々が揃います。
そして、2001年に『The Fast and The Furious』として公開されます。
日本では『ワイルド・スピード』というタイトルで公開されましたが、キャストの知名度が低かったり、ストリートレースという文化が日本ではレアなものであったりというということもあって、実はあまりヒットしませんでした。
しかし、本国のアメリカではハッタリの利いた演出と迫力のあるカーレースシーンもあって、1億ドルを超える大ヒットを記録しました。
すぐさま、製作のユニバーサル・ピクチャーズ、続編企画に動き出します。
ところが、ヴィン・ディーゼルと監督のロブ・コーエンはエクストリームスポーツとスパイモノを合わせた新作映画『トリプルX』に移籍してしまい、2003年の『ワイルド・スピードX2』はポール・ウォーカー単独主演作となりました。
2作目にして早くもW主演の一角が欠けるという最初の問題が起きてしまいます。
ちなみに『トリプルX』は興行的には失敗作となり、その後、ラッパー兼俳優のアイス・キューブに主演を変えた『トリプルXネクスト・レベル』が規模を縮小して作られました。『ワイルド・スピード』がV字回復したころに思い出したように、3作目の『トリプルX:再起動』がヴィン・ディーゼル主演で作られています。
そんなわけで、主演を1人欠いた『ワイルド・スピードX2』ですが、アメリカでは前作より若干数字を落したものの1億ドルを超える興行収入を記録してみせました。
ユニバーサルは何とかシリーズを保つために、ヴィン・ディーゼルを再招聘しようとしますが、これが上手くいかず。さらにオリジナルキャストが揃わないことを理由に、ポール・ウォーカーも降板してしまいます。
そこでリブートに近い形で子役出身のルーカス・ブラックを主演に、日本を舞台にした『ワイルド・スピードX3TOKYO DRIFT』が2006年に製作されます。
ラストにヴィン・ディーゼルがカメオ出演するだけでシリーズとしての体裁を保てなくなったこの3作目は、アメリカでも不発に終わり『X2』の半分の興行収入に終わりました。
ちなみに日本人側のヒロインとして北川景子が抜擢されたほか妻夫木聡や千葉真一などが出演。このこともあってか、皮肉にも日本ではシリーズ初の興行収入10億円を突破するスマッシュヒットを記録しました。
時系列的にも、作品の立ち位置的にもちょっと特殊なものになってしまった『X3』ですが、ヴィン・ディーゼルのカメオ出演やその後シリーズを支えるジャスティン・リン監督が初登板したり、人気キャラクターのサン・カン演じるハンが登場するなど、後から見返すとこの特異点的な『X3』には実は“布石”が沢山あったことが分かります。
ちなみに時系列的に作品を並べなおすと、『ワイルド・スピード』『X2』『MAX』『MEGA MAX』『EURO MISSION』『X3TOKYO DRIFT』『SKY MISSION』以下順番どおりという形になり、2作目と3作目の間に4~6作目が入る形になります。サブスク系で一気見をするときには、この順番で見れば、原作のストーリーどおり視聴できます。
まさかのレギュラー復活と豪華キャスト参戦でシリーズV字回復
『ワイルド・スピード』の1作目で、ライジングスターとなったヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーですが、その後ヒット作に恵まれず若干行き詰まってしまいます。
それというわけではないのでしょうが、キャリア復活の起爆剤にするために『ワイルド・スピード』シリーズ復帰を決めます。
ミシェル・ロドリゲスやジョーダナ・ブリュースターも登場した2009年のシリーズ4作目『ワイルド・スピードMAX』は、メインキャストの復活効果もあったのか、全米興行収入は当時のシリーズ最高の数字を叩き出しました。
シリーズモノはよほどのテコ入れがない限り、大抵右肩下がりになっていくものです。しかし、『ワイルド・スピード』は4作目にして立ち上げメンバー復活という、物凄いテコ入れがあり、驚異的なV字回復を見せ、その後のモンスターヒットシリーズへの道を歩み始めました。
2011年のシリーズ5作目『ワイルド・スピードMEGA MAX』からはカーレースの要素を少なめにして、カーチェイスシーンもあるド派手なアクション映画路線に舵を切ります。
ヴィン・ディーゼル演じるドムやポール・ウォーカー演じるブライアンを追う者として、ドゥエイン・ジョンソン演じるホブスが初参加、その後、人気レギュラーキャラクターとなってスピンオフに主演するまでになります。
ただ、ヴィン・ディーゼルとドゥエイン・ジョンソンの間に確執があるようで、ドゥエイン・ジョンソンは“本筋のシリーズにはもう出ない”とも発言しています。
『MEGA MAX』は日米ともにヒット記録を更新、アメリカでは2億ドルを超える大ヒット作となりました。
2013年に公開されたシリーズ6作目『ワイルド・スピードEURO MISSION』は、さらにヒットの数字を伸ばし、日本でも興行収入20億円を突破しました。
敵役のオーウェン・ショウにルーク・エヴァンスがキャスティングされたほか、後に『ワンダーウーマン』で大ブレイクするガル・ガドットも出演しています。
さらにエンドロールでオーウェンの兄のデッカード・ショウとしてジェイソン・ステイサムが登場、ファンを驚かせました。
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