『スーパーヒーロー戦記』がヒーロー映画史に名を残す3つの理由を解説



3:原作者・石ノ森章太郎へのリスペクト

過去の劇場版シリーズ史上、原作者・石ノ森章太郎先生へのリスペクトをもっとも感じる物語も本作の魅力でしょう。

昭和13年(1938年)に生まれ、病弱な姉のために漫画を描き始めたという作家・石ノ森章太郎。仮面ライダーとスーパー戦隊の原作のみならず、『サイボーグ009』、『人造人間キカイダー』といった名作を手掛けたことでも有名な彼ですが、その作品のほとんどには単なる勧善懲悪にとどまらない深いテーマが描かれています。

人造人間にされた男の苦悩や、サイボーグへ変えられた人々の孤独、悪と正義に悩むロボットの葛藤など、影のあるヒーロー像によって主人公の人間らしさを強調し、読者の人生に影響を与えるような重厚なドラマを生み出してきたのです。



「スーパーヒーロー戦記」製作委員会?石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映©2021 テレビ朝日・東映AG・東映

劇中では、石ノ森章太郎の精神を受け継ぎ、スーパー戦隊とは何か、仮面ライダーとは何か、そして、ヒーローとは何かという問いに、一つの解答が与えられます。

ヒーロー映画が台頭する現代だからこそ、より浮き彫りになる日本の特撮ヒーロー独自の「ヒーロー哲学」には、映画ファンにこそ見てほしいシリーズの集大成があるのです。

仮面ライダー50周年の始まりの末、たどり着いた一つの到達点



マーベル・シネマティック・ユニバ―スの大成功を皮切りに、DCコミックスの映画シリーズも高く評価されるなど、現代では世界的なヒーローブームが巻き起こっていると言えるでしょう。そんな時代に改めて見つめ直してほしい国産ヒーローの魅力が本作には凝縮されています。

幼少期に熱い思い入れを持ったかつての少年少女も、子育てをするうちに自然とハマってしまった親世代の方々も興奮すること間違いなしの本作。

2021年春には、『孤狼の血』で知られる白石和彌監督が指揮を執った『仮面ライダーBLACK SUN』の始動がアナウンスされているほか、2023年には、50周年企画のトリを飾る庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』の公開が企画されるなど、今後、東映特撮のヒーローたちは、より盛り上がっていくことでしょう。

その予習も兼ねて、少しでも多くの映画ファンに見てほしいのが本作なのです。

仮面ライダー50周年の始まりとして、そして、スーパー戦隊45作品記念の一作として、シリーズがたどり着いた一つの到達点を、ぜひ、あなたの目にも焼きつけていただきたいです。

(文:大矢哲紀)

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「スーパーヒーロー戦記」製作委員会?石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映©2021 テレビ朝日・東映AG・東映

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