【映画VS原作】『バトル・ロワイアル』原作と映画で異なる、魅せたかった“モノ”とは
実写版のメインキャストは最高だった
個人的にがっかりした部分はあるが、映画版のメインキャストはじつに素晴らしかった。現在も俳優として活躍している人も多く、豪華な顔ぶれだ。ビジュアルやキャラクターもぴったりな人が多かった。
主人公の七原秋也は藤原竜也、ヒロインの中川典子に前田亜季。転校生にして過去の同イベントの優勝者、川田章吾に山本太郎。秋也たちより3個上の設定の山本太郎がずっと上にしか見えないが(当時25歳だったのだから無理もない)、3人とも役柄はハマっていた。
今回観返す前は、当時の藤原竜也はまだアクが強くなかった……と思っていたのだが、叫ぶシーンはすでに今の藤原竜也に通ずるものがあった。また久しぶりに観たが、山本太郎の演技が良くて、俳優をやめてしまったことが残念だと思った。
個人的に非常に良かったのは千草貴子役を栗山千明、相馬光子役を柴咲コウが演じたことだ。
千草貴子はきつめの顔立ちの美人で、「誰にも媚びず美しくある」がモットーという設定。個人的に見た目的にも人格的にも、栗山千明にすごくハマっていたと思う。以前から貴子を好きだった新井田に「どうせ死ぬんだから」と身体の関係を迫られ、顔に傷をつけられて怒り「私の全存在をかけて、あんたを否定してあげる!」と全力で戦うさまが素晴らしかった。
映画の「カッチーン」というセリフとか、やたら神様に話しかけてる感じはちょっと気になったものの、極限状態にあっても最後まで自分らしさを貫いた、かっこいい女の子だった。
ちなみにこの作品での栗山千明の姿を見たクエンティン・タランティーノ監督が映画『キル・ビル』で彼女を起用。GOGO夕張という制服を着て鉄球を武器にした敵として登場しているので興味がある方はぜひ(流血多めなので苦手な方はご注意を)。
柴咲コウの相馬光子も最高だった。鎌を武器に(途中で殺した相手の武器も持つが)次々と同級生を殺していく美しい殺人鬼。光子が獲物を見つけたとき、目が合ったときのニヤッという恐ろしくて美しい笑顔が忘れられない。ショートパンツから長い脚が出ていて、プログラム中でも化粧を欠かさないところに美意識を感じる。
柴咲コウの目が良かった。最後は同じくノリノリで殺人に参加した桐山に殺されちゃうのだが、撃たれて倒れたり回転しながらも最期まで桐山のほうを見、やり返そうとしていて生への執着・執念がすさまじかった。このシーンはぜひ映像で観てほしい。
貴子は光子に殺されてしまうんだけど、ここもまた二人が一瞬対峙するシーンが美しかった……。ただ光子の不意打ちで、持ってる武器的にも圧倒的に貴子が不利だったので、互角の条件の場合の戦いも観てみたかったくらいだ。
ちなみに当初は二人の役柄は逆だったが、監督の意向でチェンジされたという。個人的には監督グッジョブすぎると思う。ただ原作の設定では貴子が茶髪にハイライト、クールな美人(切れ長という点は合っている)、光子が黒髪でアイドルのような愛らしい容姿だったため、「逆では?」という意見の人もいるようだ。
他にも、ファンクラブがあるほどの美形でコンピューターに詳しい三村信史を塚本高史が、幼馴染の千草貴子と想い人の琴弾加代子を探して行動する杉村弘樹を高岡蒼佑が、自分の意志でこのゲームに参加した桐山和雄を安藤政信が演じた。
桐山はプログラムに積極的に参加し、同級生を殺しまくる点以外、見た目を含めさまざまな設定が原作と映画で異なった登場人物だった。演じた安藤政信は当初、山本太郎が演じた川田役でオファーをもらったが、台本を読み桐山役を希望した。彼のアイデアによりセリフのない役となり、桐山の不気味な感じをさらに強めていた。
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