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俳優・野田洋次郎の魅力:“圧倒的表現者”としての姿を紐解く


(C)2021「キネマの神様」製作委員会

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RADWIMPSのすべてである、野田洋次郎。

「学生時代にハマったアーティストは?」と聞かれた際に真っ先に答えるのがRADWIMPS。我、今年30歳の代。高校生のときに付き合っていた彼にアルバム1st〜4ndまでを借り、​​iPodに入れてどれだけ聞いたことか。野田洋次郎が紡ぎ出す独特のメロディラインと理性を抑えられていない率直すぎる歌詞、そして、柔らかくも存在感がある、また、楽曲によって雰囲気が異なるカメレオンのような歌声に魅了されていたのだ。

2020年5月、RADWIMPSのストリーミング配信が解禁。夢中で聞いてあの頃のことを思い出した。懐かしさが込み上げてきつつも、大人になって改めて聞いてみると、野田洋次郎とは一体何者なのだろうと漠然と考えるようになった。

2021年8月、二度延期になるもようやく公開された『キネマの神様』にメインキャストで野田洋次郎が登場。「RADWIMPSの野田洋次郎」とはかけ離れた一面を魅せつけられた本作と野田洋次郎について語っていきたいと思う。

沼、注意。新たな魅力に溺れてしまう『キネマの神様』



正直、映画を観る前はそこまで野田洋次郎に期待はしていなかった。野田洋次郎の演技をしっかり見ることはほとんど初めてだったし(『リップヴァンウィンクルの花嫁』に出演していた記憶があまり残っておらず、久しぶりにまた観てみようと思う)、とにかく公開されたという喜びが大きく、野田洋次郎にあまり気を取られていなかったのだ。

それが、映画が終わる頃には完全に野田洋次郎の虜になってしまっていた。どう考えても「RADWIMPSの野田洋次郎」ではなかった。豪華俳優陣にも引けを取らない見事な演技力。わたしの知らない野田洋次郎がここにはいた。

本作品では、菅田将暉演じる明るくハツラツな若き日のゴウと、野田洋次郎演じる奥手で生真面目な若き日のテラシンという正反対なふたりが印象的だ。


(C)2021「キネマの神様」製作委員会

そう、”奥手で生真面目な”という印象が、野田洋次郎にはなかったのだ。一方的なイメージで恐縮だが、アーティスティックでどこか余裕のある、言ってしまえば3Bを実写化したような少し危険な匂いのする男。この期待を、良くも悪くも裏切られた。

冒頭での若き日のテラシンが登場するシーンは、数秒後に恋に落ちてしまう永野芽郁演じる若き日の淑子と映写室で出会うところからはじまる。一目惚れの瞬間の初々しさや、失恋がわかったときの悲しみを繊細に表現できている様はとても素晴らしかった。

テラシンを演じた小林稔侍氏は、「同じ役を演じた野田洋次郎さんとは、お会いした時に直感で同じ精神の持ち主なように感じ、過去と現在で同一人物を演じる上で、繋がっている部分を感じられたことが嬉しかったです。彼の演技は生っぽくて、思わず見入ってしまうほど良いお芝居。素敵な若い頃のテラシンの姿でした。」と語っている。本当にその通りで、おふたりが演じるテラシンは紛れもなくテラシンそのものだった。



本作の主題歌である「うたかた歌」は、RADWIMPSと菅田将暉の初コラボ曲となっている。映画製作側から楽曲作成のオファーがあったわけではなく、野田洋次郎が自発的に作ったものが主題歌になったそうだ。歌詞を見ながら聞いてみると、それはもう完全にゴウとテラシンと淑子の歌でしかない。映画のワンシーンが蘇る、そんな楽曲だ。

野田洋次郎の新たな魅力を知れる『キネマの神様』、同世代の方は特にぜひ劇場で観ていただきたい。



『キネマの神様』あらすじ

ギャンブル漬けで借金まみれのゴウ(沢田研二)は妻の淑子(宮本信子)と娘の歩(寺島しのぶ)にも見放されたダメ親父。そんな彼にも、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」———。行きつけの名画座の館主・テラシン(小林稔侍)とゴウは、かつて撮影所で働く仲間だった。

若き日のゴウ(菅田将暉)は助監督として撮影に明け暮れる傍ら、食堂の娘・淑子(永野芽郁)に恋をし、映写技師・テラシン(野田洋次郎)とともに夢を語らい、青春の日々を駆け抜けていた。しかしゴウは初監督作品「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまう。

半世紀後の2020 年。あの日の「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める。

これは“映画の神様”を信じ続けた男とその家族に起きる奇跡の物語。

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