【夏の終わりに観たい映画】『座頭市』と2003年夏、映画業界で過ごした思い出
当時のチネチッタはすごかった
これは本当にアルバイトスタッフとして入ってから知ったのですが、普通にお客としてなじみがあるという理由だけでアルバイトに応募して採用された川崎のシネコン・チネチッタは当時、興行収入と観客動員数の両方で断トツで日本一の映画館でした。
確かに「いつ行っても混んでいるなぁ」という思いはあったのですが、よもや日本一とは思いませんでした。
が、たしかに「あれ以上混んでる映画館があったら大変だ」とも思ったものです。
今のチネチッタはラチッタデッラという商業施設の主幹店舗となっていますが、城砦と言いますか、小さなラピュタのような現在の外観になったのが2002年の冬のこと、お正月映画を前にしての大規模リニューアルでした。
私はそのタイミングで新規募集のスタッフに応募&採用され映画業界の片隅に身を置くことになりました。
最初は普通にチケットを販売したり、お客様を誘導したり、ポップコーンを売ったりしてたのですが、なぜか途中から部署が変わり番組編成・劇場宣伝のアシスタントになることになりました。
映画業界志望だったので、こうやって映画会社とやり取りをしたりすることもある内側に身を置くことは大変嬉しかった記憶があります。
ここで、リアルな数字を目にするようになって、やっとチネチッタが日本で一番混んでいる映画館だということを知るのでした。
このころはチネチッタだけで日本の映画シェアの1%以上を稼ぎ出しているというような状態でした。
川崎に日本一の映画館があるというのはちょっと意外かもしれませんが、商業圏の分布などを見ると川崎エリアは実はすさまじいレッドオーシャン。
今も3軒のシネコン(109川崎、TOHOシネマズ川崎、チネチッタ)が駅から徒歩5分圏内共存できているので、映画市場としての川崎の大きさはあまり変わりないと思われます。
そして、大本命公開
定番のポケモンや仮面ライダーに加えてジェット・リーの武侠映画『HERO』もスマッシュヒット。これは同じワーナーブラザーズの『マトリックス・リローデッド』に予告編が付いていたことと、「とにかくワイヤーアクションがまだまだ見たい!!」という観客の心を見事にとらえたヒットと言えます。
そしてそして、これらと前後する形で「絶対に凄いことになる!!」と誰もが思っていた映画が7月22日の夏休み合わせで公開されました。
それが『踊る大捜査線THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!』です。
最終的に173.5億円と言う破格の興行収入をたたき出したモンスター映画が、『マトリックス・リローデッド』『ターミネーター3』『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』などをかき分けて公開されました。
興行収入173.5億円という数字は邦画・洋画を問わず“最も日本で稼いだ実写映画”となる数字です。
当時のプロデューサーの亀山千広氏は『マトリックス・リローデッド』と『ターミネーター3』とぶつかると知って”死の組”に入ったと青くなったそうですが、結果として圧勝劇となりましたね。
もう、この頃になると、劇場では当日券はおろか、事前の販売分も混みあうようになり、「混みすぎだ」とお?りを受けることも一度や二度ではありませんでした。
当時はデスクワークになっていたはずですが、幾度となくヘルプで表の劇場であれやこれやと動き回った記憶があります。
具体的な数字は控えますが、とにかく記録ずくめの2003年の夏でした(特に8月の混み具合は忘れられません)。
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(C)2003「座頭市」製作委員会