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『最後の決闘裁判』レビュー:リドリー・スコット監督版『羅生門』!そして“決闘者”こそは彼がこだわり続ける世界である



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

もう見出し通りの映画です。

まさにリドリー・スコット監督版『羅生門』!

もっともこの作品、犯された妻、犯した友人、犯された妻の夫、単にそれぞれの証言が食い違うといった次元のものではなく、あくまでもそれぞれの目線で事件を捉えていくもので、そうなると誰が嘘をついている?といったミステリ要素もさながら、全く同じシチュエーションでも3人の目線によって微妙にニュアンスが異なってくることなどの面白味が湧き上がっていくのです!



夫の目線、友人の目線、そして妻の目線と、この3人の目線によってそれぞれのキャラクターも徐々に明確になっていき、同時に14世紀末フランスの因習がもたらすさまざまな悪癖も露になっていきます。

この悪癖であったり、当時の女性の位置づけなども現代社会と照らし合わせて見据えていくと、これが非常に「今」の映画として作られていることも容易に理解できるでしょう。



あくまでもミステリアスな情緒を大事にしている作品なので、内容的にこれ以上言及するのも野暮ですが、マット・デイモン、アダム・ドライバーの上手さはいつもながらとして、今回は妻に扮したジョディ・カマーが徐々に存在感を際立たせていくあたりも舌を巻きました。



一方で、この邦題の“決闘”にピンときた方の多くはリドリー・スコット監督の大ファンでしょう。

彼のデビュー作は『デュエリスト/決闘者』(77:原題“THE DUELLISTS”)。

ふたりの男(キース・キャラダイン&ハーヴェイ・カイテル)が延々と、幾度も決闘し続けていくという、実に粘っこく、しつこく、そして格調高い闘いのドラマであり、このセンスこそが続く『エイリアン』(79)『ブレードランナー』(82)など後々のリドリー・スコット監督作品の基調になっている感があります。

そして本作の原題が“THE LAST DUEL”となっていることから、もしかしたらリドリー・スコットはこれを最後の作品にしようとしているのでは? と一瞬不安をよぎらせてしまったのですが、既にレディー・ガガ主演で次作『ハウス・オブ・グッチ』(21)も公開間近(米:2021年11月24日 / 日:2022年1月14日)を完成させている事実を知るに、現在83歳(誕生日の11月30日で84歳を迎えます)、リドリー・スコットのあくなき創作姿勢に感服してしまった次第なのでした。

(この人、まだまだ映画作り続けるな……!)

(文:増當竜也)

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