『劇場版 ルパンの娘』栗原類インタビュー「渡部篤郎さんが本当の息子のようにかわいがってくれた」
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本シリーズは、代々泥棒一家である”Lの一族”に生まれ育った三雲華(演:深田恭子)が主人公。泥棒一家の娘でありながら、警察官の桜庭和馬(演:瀬戸康史)と恋に落ちる華だが、和馬との幸せな生活と、泥棒一家である出自をともに捨てることができない。現代版ロミジュリとして好評を博した恋愛コメディだ。
本作ではシーズン1から、モデル・役者として活動する栗原類が華の兄で天才ハッカーの三雲渉を演じている。引きこもりではあるが、情報収集や道具開発を得意としており、彼の機転のおかげで三雲家はたびたび窮地を脱してきた。
ドラマシリーズから渉役を続投する、栗原類に話を聞いた。
引きこもり天才ハッカー・渉としての美学
——これまでのドラマシリーズとは違い、劇場版では肉声で話すシーンが多かったですね。栗原類(以下、栗原):シーズン1・2では、引きこもりという役柄からキーボードに言葉を打ちこんで機械音声で話すシーンが圧倒的に多かったです。そのため、渉の話し方を決めるところから役作りをしました。
撮影前に武内監督と読み合わせをしたときに、ロボットのような話し方をしてしまったのを指摘されたんです。「自分の声で話すことを意識して、もう少し違う形でお願いしたい」と言われたことを覚えています。少しずつ”渉の声”を探るところからのスタートでしたね。
——監督と話し合いながら、最終的にはどういった着地点になったのでしょうか?
栗原:僕が思った渉の話し方や表現の仕方はなんだろうな……と結構考えました。渉はずっと部屋に引きこもっている設定のキャラクターですけど、もういい歳をした大人です。社会から距離を置いてはいるけれど自分の軸はあるし、考えていることもある。
そういった点を踏まえながら監督と話し合って、最終的には「声を高くしすぎないこと」「落ち着いているイメージを出すこと」を意識しました。監督が最も大事にしているのは「わざとらしくない芝居」なので、演技が作り物っぽくならないように心掛けました。
——父である三雲尊(演:渡部篤郎)に対し声を荒げるなど、普段は温厚な渉が怒りを露わにするシーンもありましたね。
栗原:渉には無表情のイメージが強いですよね。だからこそ、発する言葉と表情の間に違和感がないように気をつけました。例えば、口では怒っているのに顔が無表情、といったミスマッチが起こらないように、ということですね。
渡部篤郎さんや、名探偵一家の娘・北条美雲役の橋本環奈さんなど、他のキャストと絡むシーンでも、一人の人間として対等に接することも意識しました。渉はずっと引きこもりでしたけど、普通の大人としての意見や美学をちゃんと持っている人です。そこをブレさせないよう「三雲渉はどういう人間なのか」を改めて振り返りながら演じました。
——栗原さんが考える、渉の美学とは?
栗原:誰よりも家族を大事にすることですね。渉の泥棒としての才能は、残念ながら妹の華には及びません。現場では非力だけれど、家族を助けるためなら、自分の得意分野である後方支援で家族の役に立ちたいと思っているタイプです。
だからこそ、家族のピンチには誰よりも敏感で、誰よりも早く助けに行こうとするのだと思います。
ドラマから劇場版、長く時間を過ごした仲間とのチームワークを実感
——ドラマ『ルパンの娘』が放送されていた当時の栗原さんのインタビューで、「演技についてのアイデアがあったらすべて監督に伝えるようにしている」と仰っています。劇場版でも、監督とそういったやりとりはありましたか?栗原:僕が思う渉としての表現をいったん見てもらって、それに対する監督の要望を受けたうえで、本番で答えを提示する……。そういったやりとりが多かったように思います。
渉を演じた感覚はまだ僕の中に残っていたので、思い出しながら近づけていく、といったイメージでした。
僕にも監督にも「渉ってこんな人だよね」っていう共通認識があったのが良かったと思います。監督の言葉のおかげで、僕の中でいつの間にかズレていた渉に対する認識を正せる瞬間もありましたから。監督に限らず他のキャストやスタッフさんにも、それぞれのキャラクターに対する共通認識があったおかげで、撮影がスムーズに進んだんだと思います。
——他のキャストの方との、演技に対するやりとりはありましたか?
栗原:お互いの演技について、俳優同士のディスカッションは少なかったかもしれません。監督とのディスカッションの方が多かったですね。
橋本環奈さんとは、もちろんドラマシリーズでもご一緒していましたし、映画『シグナル100』での共演経験もあったので、お互いの演技のテイストがわかっていたので、やりやすかったですね。
あとは渡部篤郎さん。僕が投げたボールをしっかり受け取って投げ返してくれる安心感がありました。渡部さんとは撮影の合間もとても仲良くさせてもらっていたんです。まるで僕のことを本当の息子のようにかわいがってくれたことを今でも思い出します。
——とても雰囲気の良い現場だったんですね。
栗原:連続ドラマ2回と劇場版で同じ役を演じられたことがとてもうれしいです。明るくてチームワークのある環境でした。コロナ禍となっても、チームで面白い映画を作って観客に届ける意識が強かったので、同じゴールに向かって突き進んでこられたんだと思います。
——最後に、これから『劇場版 ルパンの娘』をご覧になる方へ向けて、アピールポイントを教えてください。
栗原:『劇場版 ルパンの娘』は、笑いあり、涙あり、ミュージカルありの超大作になっています。華麗なアクションも魅力のひとつ。劇場版ではよりスケールが上がっていますので、ぜひ注目してください。また、舞台を海外に移したことで、よりグローバルに広がった『ルパンの娘』の世界観を楽しんでもらえるはずです。
ドラマ未視聴の方でも十分楽しめる構成になっていますが、お時間があれば、ぜひドラマを観てから、劇場に足を運んでもらえるとうれしいです。
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(C)横関大/講談社 (C)2021「劇場版 ルパンの娘」製作委員会