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2021年10月24日

LiSAの底知れぬ魅力とは?鬼滅好きに限らず全人類が今こそ知るべし!

LiSAの底知れぬ魅力とは?鬼滅好きに限らず全人類が今こそ知るべし!




「強くなれる理由を知った」

その歌詞が、「鬼滅の刃」が回をかさねるごとに重みを増していった。

LiSA自身が作詞を手掛けており、「紅蓮華」がアニメオンエア時の既刊コミックを読んだ上での製作だったということは多くのインタビューで語られている。竈門兄妹の運命と炭治郎の覚悟を際立たせる歌詞はアニメを彩った。

正直、「紅蓮華」以前からLiSAの曲を聴いている人たちからすれば、「前からいい曲はたっっっくさん歌っているし!」とドヤ顔のひとつもしたくなるだろう。

ただ、鬼滅の刃の世界観があったからこそ「紅蓮華」が生まれたことは間違いなく、「紅蓮華」があったから「鬼滅の刃」の大ヒットにもつながった、というのは言いたい。
 

アーティスト・LiSAの表現力



この2年ほどでLiSAを知る人は飛躍的に増えた。当初、彼女が紹介される際によく目にしたのは「アニソン界の歌姫」「アニソンシンガー」という肩書だった。

確かに、数多くのアニメ主題歌を歌っている。テレビアニメ「Angel Beats!」の作中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌唱パートに抜擢され、LiSA名義でデビューを果たしたのが2010年のこと。そこから、多くのアニメの主題歌を歌っている。

 
シングル曲はほぼタイアップがついており、以下のような曲がある。

「Fate/Zero」(oath sign)
「Fate/Apocrypha」(ASH)
「ソード・アート・オンライン」(crossing field、シルシ、Catch the Moment、ADAMAS、unlasting)
「幻影ヲ駆ける太陽」(träumerei)
「魔法科高校の劣等生」(Rising Hope)
「ニセコイ:」(Rally Go Round)
「クオリディア・コード」(Brave Freak Out)
「僕のヒーローアカデミア」(だってアタシのヒーロー。)
「バック・アロウ」(dawn)

最近では、TBS系火曜ドラマ「プロミス・シンデレラ」の主題歌「HADASHi NO STEP」を担当していたことも記憶に新しい。



「鬼滅の刃」と「プロミス・シンデレラ」、両方視聴した人なら感じることかと思うが、カラーが全く違う。物語の内容が違うので当然なのだが「紅蓮華」では鋭さと力強さがメインに押し出され、「HADASHi NO STEP」ではポップとキュートさが印象的だ。

アーティストだから、曲それぞれの世界観が入り込んで歌いあげるのは表現者として当たり前かもしれない。ただ、LiSAの場合はその没入感が深い。歌に入り込み、その向こう側にある作品に入り込む。



例えば「僕のヒーローアカデミア」の2期エンディングテーマ「だってアタシのヒーロー。」はまさにそうだ。「アタシのヒーロー」というタイトル通り、歌っている「アタシ」はヒロアカの主人公ではない。ヒーローを見ている誰か。咄嗟に浮かぶキャラクターは誰か、思い浮かぶのはひとりではないはず。

そのキャラクターに投影してみて聴くと、より曲に深みが増す。そしてこの曲を歌っているLiSAの声がものすごくキュートなのだ。

アニメの本編のあとに、もうひとつ別の物語を見せてくれるような気がする。それがLiSAの魅力のひとつでもあるのではないか。

「紅蓮花」と「炎」:「鬼滅の刃」との親和性



「鬼滅の刃 無限列車編」(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

音源で聴くと、「紅蓮華」も「炎」も歌い出しにブレスが入っている。「炎」では短く、やわらかい。「紅蓮華」では少し強く吸い込み、長い。

TV版アニメの「鬼滅の刃」は始まりの物語だ。炭治郎が大切なものを失い、大切なものを取り返すために立ち上がり、戦いを決意する。迷いと弱さ、強くなっていくことを決めた心の強さを歌い、その疾走感のままTVシリーズを駆け抜けた。

そして「紅蓮花」の大ヒットからの「炎」。聴く側のハードルも上がっていたはずだ。「紅蓮花」のようにパワーではなく、包み込むようなバラード。



が、正直、映画館で本編よりもエンドロールで泣いた。しばらくの間、「炎」のイントロを聴くだけで泣いた。

というのも歌詞が完全に「残された者たち」の想いで「炭治郎の心」なのだ。大切な人を失っただけではなく、その人が灯してくれた炎を守り、戦い続けることを誓う。悲しみから立ち直る苦しみを歌う。

無限列車編は「鬼滅の刃」の物語の中でも重要なターニングポイントとなるストーリーだ。圧倒的強さを持つとされる柱たち。その中でも高い実力を誇るであろう煉獄杏寿郎の死が、鬼の強さ、先行きが明るいものではないことを示唆した。……と考えると、無限列車での戦いを乗り越えて、次の戦いにつなぐために、この曲は必要だったのではないか。

無限列車に再び新曲がつく贅沢さ


『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

「炎」は次の戦いにつなぐために必要な曲……と思っていたのだが、まさか! 映画版をオンエアしたあとに、アニメ版として無限列車をオンエアするなんて誰が思っただろうか。

思わず「どういうことやねん!」とツッコんだ。てっきりそのまま遊郭編に突入すると思いこんでいたので肩透かしを食らった形である。

おまけに、無限列車編に「炎」という名曲がついているにも関わらず、アニメ版のためにオープニング曲とエンディング曲が書き下ろされる贅沢さ!

さすが400億の男に対する待遇は格別……!

そして無意識のうちに上がった曲へのハードルを越えていく「明け星」と「白銀」。



「明け星」では無限列車の戦いと、変わらない悲しみ、炭治郎たちの背中を押すような曲となっている。

「思い出よ哀しみよ 僕らを明るい方へ送り出してよ」

混沌の中を進んでいく炭治郎たちに心を燃やせと煉獄杏寿郎が微笑んでいるのが見えるようだ。

エンディングの「白銀」は、タイトルから無限列車で炭治郎が見ていた夢を連想させる。



同時に、エンディング映像で幼いころの煉獄杏寿郎が弟に向ける笑顔が「美しい世界を 君の涙を守りたい」にどうしても重なってしまうのが涙を誘う。

「紅蓮華」「炎」「明け星」「白銀」の作詞には、LiSAと梶浦由記が携わっている(明け星と白銀は梶浦由記が作詞・作曲・編曲を担当している)。

それぞれの物語に沿うように作られているわけだが、完結している「鬼滅の刃」のさまざまなシーンとフィットする。聴けば聴くほど深みが増し、さまざまな解釈をしたくなる。

遊郭編ではAimerが務めることがすでに発表されている。オープニングテーマは「残響散歌」、エンディングテーマは「朝が来る」。

音柱・宇随天元と共にどのような音を奏でてくれるのか、楽しみだ。

(文:ふくだりょうこ)

→『鬼滅の刃 無限列車編』画像ギャラリーへ

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