映画コラム

REGULAR

2021年11月12日

映画館で「小さい女の子に近い席」の購入を求められることは「よくある事」なのか?

映画館で「小さい女の子に近い席」の購入を求められることは「よくある事」なのか?


そもそも「よくある事」なのか

この漫画では、ハッシュタグをつけて「よくある事」として、女の子の周りに座りたいと、対面販売の窓口で聞いてくる男性を描写していますが、これは本当に「よくある事」なのか、伺ってみました。



Bさんは、とあるシネコンチェーンで全国トップレベルの動員だった劇場で勤務ある人物ですが、「こういうお客様には遭遇したことがない」とのことです。

Aさんも、こういう対応はしたことがないようで、あったとしてもレアケースではないかと考えられます。

「よくある事」というのは主観的な印象と言ってしまえばそれまでなのかもしれません。ただ、客観的にその文言を見た人は、どこの映画館でも日常的に起こっていることだと思うかもしれません。

しかし、お二人とも、覚えがないということなので、少なくとも何処の劇場でも頻繁に起きているとは限らないと言えそうです。

Bさんいわく、こういう方が来た時の統一的なマニュアルはなかったようです。頻繁に来るなら、むしろ統一的なルールがあると思いますが、Bさん自身、一度も遭遇の経験がないので、必要性は感じなかったということでしょう。

少なくとも、「#映画館ではよくある事」とハッシュタグがつけられるほどに常識的なことではない、と考えていいのではないかと思います(漫画を描いた方が勤務していた劇場では、よくある事だった可能性はあります)。


しかし、これが「よくある事」じゃなかったとしても、不特定多数のお客様が集まるのが映画館ですから、お客様同士のトラブルというのは起こるものです。そういう時に、シネコンはどのシアターにも「結構いい席」というのを売らずにキープしていることが多いそうです。

この「結構いい席」は隣席トラブルの他、椅子が壊れていたり、汚れていたりした時のために案内するための代わりの席とのことです。映画館のウェブ予約で、不人気映画なのに3日前くらいからすでに2〜3席埋まっているのを見かけたことがありますけど、ああいうのが「結構いい席」なんでしょうね。


件の漫画を見て、「映画館ではこういう対応をよくしているのか」と思われた方もいるかもしれません。こうした対応はあったとしてもかなりのレアケースだと考えてよさそうです。

そして、レアケースでそういう方が来られた場合、そもそもどこに誰が座っているかわからないのでこういう案内はそもそもやりようがないということのようです。

(文・杉本穂高)

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