「スナック キズツキ」第4話:泣きながら出汁巻き卵を食べる小関裕太が愛おしい(※ストーリーネタバレあり)
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「僕の姉ちゃん」のドラマ化でも話題になった漫画家・益田ミリの人気漫画「スナック キズツキ」が連続ドラマ化!2021年10月7日より放送スタート。
原田知世が、傷ついた人がたどり着くちょっと変わったお店“スナックキズツキ”の店主トウコを演じる。「深夜にくすっと笑って、心が少しだけ軽くなるような、胸の奥がじんわり温かくなるような、これまでありそうでなかったユニークなドラマ」と原田が言うように、観た人の心をほっとさせてくれる物語だ。
本記事では、第4話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「スナック キズツキ」第4話レビュー
ずっと気になっていた、中田さん(成海璃子)の彼氏で、サトちゃん(塚地武雅)の会社で働く瀧井くん(小関裕太)。彼女には素っ気なく、いつもマイペースで、サトちゃんにもちょっと生意気な態度を取る。イケメンだし、リア充感満載な彼が「スナック キズツキ」第4話のお客さんだ。
でも、そんな瀧井くんを演じているのは最近ドラマに引っ張りだこの小関裕太。「来世ではちゃんとします」や「ラブコメの掟〜こじらせ女子と年下男子〜」をはじめ、多くのドラマで小悪魔系男子を演じているが、過去にあった何かしらの出来事で傷を抱えている設定が多い。
小関裕太はイケメンで何も悩みなんてなさそうなのに、どこか影があり、「この人何かあるな」と想像させるのが上手いのだ。
だからこそ、瀧井くんも気になる。コンビニで奨学金返済をしている時に見せる、憂いを帯びた表情。友人に運転手を頼まれ、駆り出されたお金持ちばかりが集まるBBQで、場違いな感じがして気まずそうに時間を持て余したり。どんどん第一印象が覆され、モテるのに女友達から「家に上がってく?」と誘われても「それはダメでしょ」ときっぱり断る真面目さに全女子の心が射抜かれる音がした。
瀧井くんがBBQでキラキラ系男女の洗礼を受けている時、トウコ(原田知世)はこぐま屋さん(浜野謙太)がお金持ちのお客さんからもらった立派なメロンを嬉しそうに抱える。
どうやら今回は、お金にまつわる話題のようだ。スナックの看板を壊してしまい、お店に入ってきた瀧井くんにトウコは村上春樹の小説『ノルウェイの森』の一節について話す。
「(お金持ちであることの最大の利点は)お金がないって言えることなのよ。たとえば私がクラスの友だちに何かしましょうよって言うでしょ、すると相手はこう言うの、『私いまお金ないから駄目』って。逆の立場だったになったら私とてもそんなこと言えないわ。私がもし『いまお金ない』って言ったら、それは本当にお金がないっていうことなんだもの」
その言葉を聞いて、瀧井くんは友達に美大進学をやめた理由を聞かれ、ごまかしたことや、BBQで高いワインの名前を知ったかぶりしたことを思い出す。彼は本当のことを言えなかった。周りに「かわいそう」と思われて、惨めな思いをしたくなかったから。
瀧井くんは女手一つで育てられ、お金には苦労してきた。ずっと言えなかったこと、それを引き出したのはトウコとの“朗読”。画面のアスペクト比が変わり、まるで映画のような世界観に変わる。
「ウミウシは知らなかった。誰も教えてはくれなかった。選択できることが富を持つものの最大の利点なんだって。彼は知らなかったんだ。何が選択できたかさえも」
だけど、瀧井くんは知っている。人脈づくりという名の場で緊張しながら食べるA5ランクのお肉よりも、今は亡きお母さんが愛情を込めて作ってくれた出汁巻き卵の方が、お兄ちゃん(八嶋智人)と思い出話に花を咲かせながら食べる赤ウインナーの方が、何倍も何十倍も美味しいことを。トウコが作った出汁巻き卵が心の氷を溶かしたように、泣きながら味わう瀧井くんが愛おしい。
寒くなってきた金曜の夜。放送された第4話はいつになくシリアスで、だけど心がポカポカするようなストーリーだった。
「スナック キズツキ」第4話のストーリー
今回スナック キズツキを訪れる客はイケメンの瀧井潤(小関裕太)。彼女の中田(成海璃子)にはそっけなく、上司の佐藤(塚地武雅)にもちょっと生意気なリア充男子…かと思ったら彼もまた傷ついていた。お金持ちばかりのBBQ。初めて見る世界で、自分を小さく感じてしまう。今回、店主トウコ(原田知世)のおもてなしは、なんと“詩の朗読”!?そして温かいだし巻き玉子が彼の心を解きほぐしていく。
(文:苫とり子)
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