(C)2021「聖地X」製作委員会
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2021年11月18日

『聖地X』岡田将生と川口春奈の兄妹の関係性に萌える!入江悠監督の新境地なエンタメホラーになった3つの理由

『聖地X』岡田将生と川口春奈の兄妹の関係性に萌える!入江悠監督の新境地なエンタメホラーになった3つの理由

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2021年11月19日より映画『聖地X』が劇場公開され、同時にauスマートパスプレミアムとTELASAでも配信が開始される。

公式サイトや予告編からは、おそらく「身の毛もよだつホラー」と印象を持つだろう。だが、実際の本編は「それだけではなかった」。事前に提示されている情報からはわからない「何か」があり、そのサプライズも含めて楽しめる内容だったのだ。



それでいて二転三転する展開の連続でエンターテインメント性が高く、入江悠監督作品の中では『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(17)にならんで万人におすすめできる映画になっていた。

そのような特徴を持つ作品なので、最大限に楽しみたいのであれば、予備知識なく観たほうがいい。個人的には良い意味で「騙されて」ほしいのだ。豪華キャストによるクセの強いキャラクターそれぞれの魅力も大きく、特に岡田将生と川口春奈のファンは「お互い文句を言ったりするけれど実は大切に想っている」という兄妹役の関係性に萌えられるので至福の時を過ごせるだろう。

以下からは決定的なネタバレはないように書いたつもりだが、「どのような作品か」という特徴は記している。それも知りたくないという方は、先に劇場へ駆けつけて(もしくは配信で観て)欲しい。

※本作は以下のまとめ記事でも紹介している↓
<ネタバレ厳禁>なるべく何も見ずに観たほうがいい映画「11」選 | cinemas PLUS 

※以下より、決定的なネタバレは含まないまでも、公式サイトや予告編では明言されていない「設定」については記しています。鑑賞時の面白さを大きく損なうものではありませんが、予備知識なく観たい方はご注意ください。

1:『パラサイト 半地下の家族』のようにジャンルを飛び越える面白さ

あらすじから紹介しよう。小説家志望の輝夫(岡田将生)は、韓国の別荘で悠悠自適の引きこもり生活をしていた。そんな輝夫の元へ、夫からひどい裏切りを受けたという妹の要(川口春奈)が転がり込んでくる。その後に要は商店街で、日本にいるはずの夫の滋(薬丸翔)を見かける。そのあとを追ってたどり着いたのは、巨大な木と不気味な井戸のある和食店だった……。

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もうはっきり言ってしまうと、本作は「ドッペルゲンガーもの」だ。「誰かと瓜二つの人物と出会う」というのはそれだけで不気味であるし、本作は「なぜドッペルゲンガーが現れるのか?」という理由を論理的に探る様がミステリー的な面白さにつながっている。同時に、個性豊かなキャラクターたちが予想外の事態に翻弄される様は、ほぼほぼブラックコメディの様相を呈していた。

基本的に家の中という限定空間で展開し、ホラーとコメディを掛け合わせたかのような作風、夫婦間の軋轢や家族の絆(?)も描かれている様は『パラサイト 半地下の家族』(19)にも近い(しかも後述する理由で舞台は韓国)。それ以外にも良い意味で「ジャンルが不明瞭」「どのジャンルかを決めるのは観る人次第」なところがあり、ドッペルゲンガーものという枠組みにさえ囚われない、いろんな映画のジャンルを混ぜ込んだような、もしくは飛び越えたような魅力があるのだ。

それでいて「なんでもあり」というわけではなく、むしろ脚本は統制されており、随所に伏線が込められた「計算され尽くした」内容にもなっている。何より、理解できるはずもない不条理なドッペルゲンガーという恐怖の対象に対して翻弄されるだけでなく、ロジックで解明し立ち向かおうとする様が「面白い」のだ。ジャンルを一言で表すのは難しいが、間違いなく「エンターテインメント」であることを改めて明言しておこう。

2:必然性のあるオール韓国ロケ

本作は『太陽』(2016)と同じく、劇団・イキウメの人気舞台を入江悠監督が映画化した作品でもある。舞台版では地理は明言されていなかったが、本作はオール韓国ロケを実施している。

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なぜ舞台が韓国?と思うだろうが、これは韓国と馴染みのあった小出真佐樹プロデューサーの大胆な試みのため。制作プロダクションのROBOTも韓国映画のリメイク『22年目の告白 -私が殺人犯です-』や『見えない目撃者』(19)を小出プロデューサーと共を手がけていたため、「縁」があったのだ。おかげで、韓国映画『犯罪都市』(17)や『悪人伝』(19)のB.A.エンタテインメントをむかえた日韓融合のチームが結成されたのである。

もちろん、短絡的に外国を舞台にしただけではない。このおかげで「日本にいるはず人物がこの韓国にいる」というドッペルゲンガーの不気味さが際立つし、(韓国という国を貶める意図はなく)異国の地だからこその不安感も劇中の恐怖につながっていたのだ。

さらに、日韓のタッグはアクションシーンにも生かされていたと言える。『神と共に』シリーズなどを手がけたアクション監督のジョン・ジョンソクが目指したのは、単にスタイリッシュな立ち回りではなく、「人間離れした得体の知れなさ」を出すことだったそうで、そのショットリストに記されたカット数は60以上に及んだという。

夫(ドッペルゲンガー)役の薬丸翔は、顔に布を被せられ、両手足を拘束された状態で床に投げ出されるようなくだりもあったが、「大きく動かないとコミカルに見えない」というジョン・ジョンソクの指示に全身全霊で応えたこともあったのだという。ホラー、ミステリー、コメディと来て、アクションまでもあるという大盤振る舞い。それはもう、面白いに決まっているではないか!

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