映画コラム
『ジャネット』解説:ヘドバンする若きジャンヌ・ダルクから見えるもの
『ジャネット』解説:ヘドバンする若きジャンヌ・ダルクから見えるもの
『エクソシスト』との関係性
中盤でオーヴィエットがブリッジしながら大地を歩く場面がある。この場面からは『エクソシスト』(1973)におけるリーガン(リンダ・ブレア)が階段を駆け下りる場面を思い浮かべずにはいられない。『エクソシスト』は、悪霊に取り憑かれた女と神父が対峙する映画であるが、そこには思春期におけるコントロール不能となった者に対する大人の不安が隠されていると言われている。
オーヴィエットは社会に不安を抱えている一方で、黙って働くしかないと諦めている人物。彼女のブリッジ歩行を見たジャンヌは、王太子と会う決心をするとブリッジを始める。これは数年前にマダム・ジェルヴェーズから説教を受け、オーヴィエットからも嫌悪の言葉を向けられたことで心を閉ざしたジャンヌが再び、社会に対してアクションを起こすことを示している。
コントロールできない彼女と、彼女を恐れる大人との構図を『エクソシスト』からの引用を通じて表現しているといえよう。
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