(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

<徹底解説>『キングスマン:ファースト・エージェント』超過激と断言できる3つの理由


2:ありがとうPG12指定!一触即発のバトルを堪能せよ!

もちろんアクションはラスプーチンとのバトルだけではない。序盤は当時の戦況や各国の緊張の解説が多いので、ともすると退屈にも思えてしまいそうなところだが、そこにも「いつ重要人物が暗殺されるのかがわからない」というハラハラが打ち出されているし、各国の戦況もリアルな映像で提示されているので、わかりやすく飽きさせない。

クライマックスの「ギミック」が満載かつ、位置関係がわかりやすく、一瞬判断を誤ったほうが負ける、高所を舞台にしたからこそハラハラドキドキがある。なぜ勝てるかのロジックもしっかり積み立てられていたアクションは、まるでスティーブン・スピルバーグ監督の『インディー・ジョーンズ』シリーズのようでもあった。同時にどれとも似つかないようなオリジナリティも担保されていていて、アクションそのもののキレ味とケレン味のダブルパンチは、さすがは『キック・アス』(10)のマシュー・ヴォーン監督だ!と心からの喝采を浴びせたくなった。



さらに嬉しいことがもう1つある。それは本作の日本でのレーティングがPG12指定(12歳未満の鑑賞には保護者の指導や助言が適当)止まりになったこと。映倫の審査基準では「銃器・刀剣による殺傷・出血の描写がみられる」が挙げられており、その過激さは決してただ残虐なだけでなく、後述する反戦へのメッセージにもつながっており、間違いなく作品に必要なものだった。

それでいて『キングスマン』(R15+)の「流れる音楽を二度とまともに聴けなくなる不謹慎な大殺戮」や、『キングスマン ゴールデン・サークル』(PG12)の「美味しいハンバーガー」までの露悪さはない(筆者はそれはそれで好きだが)。今回の残酷描写そのものは、だいたい『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(20)と同じくらいの、しつこいものではないと答えられるので、過度にグロいのが苦手という方にもおすすめだ(ついでに言えば、悪人たちの会議シーンは、どこか『鬼滅の刃』の「パワハラ会議」に似ている)。

何より、これまで語ってきた通り、本作の無邪気さや楽しさに加えて、歴史をもっと勉強したくなる内容を思えば中学生にこそ観てほしいと思える内容であったので、このレーティングの判断に「ありがとう!」と感謝を告げたくなるのだ。それでいて、「始まりも、超過激」というキャッチコピーは伊達ではなく、全年齢指定ではできない、良い意味でショッキングで鮮烈なアクションもたっぷりあるのもたまらない。

しかもクセが強いのは、ラスプーチンを筆頭とした実在の人物だけじゃない。フィクションである主人公チームも、ものすごく魅力的な人物ばかりだ。簡単に紹介していこう。

(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.


オックスフォード公(レイフ・ファインズ): 自らのネットーワークのみならず洗練された戦闘力を駆使して、人知れず闇の狂団と戦う最強の英国紳士。その一方で平和主義者であり、愛する息子コンラッドが戦地へ赴くことを強く反対する。


コンラッド(ハリス・ディキンソン):オックスフォード公の息子で、父と執事たちに愛情をこめて育てられた、正義感に溢れた青年。戦地に赴くことを許さない父に反発するが、やがて極秘のスパイ活動へと参加する。


ポリー(ジェマ・アータートン):スパイ組織を支える女執事。表向きは使用コンラッドの世話役だが、実質的に主人とほぼ変わらない発言力と存在感を持つ。射撃の腕は抜群。


ショーラ(ジャイモン・フンスー) :かつてアフリカの戦士だった執事。オックスフォード公とは主従の関係にありながらも、厚い友情関係にもある。


味方となる実質的なメンバーはたったのこの4人。彼らがどのような行動を取り、カリスマ性だけでなく戦闘力も抜群なラスプーチンと強固な関係を結んだ悪党ども(実在の人物)にどう立ち向かっていくか? それを楽しみにしてほしい。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

RANKING

SPONSORD

PICK UP!