俳優・映画人コラム
<桜井ユキの魅力>表現の開拓者を名作と共に語る
<桜井ユキの魅力>表現の開拓者を名作と共に語る
地下アイドルにハマるオタク女子『だから私は推しました』
桜井ユキの初主演連続ドラマ『だから私は推しました』(2019/NHKよるドラ)。第46回放送文化基金賞・番組部門の演技賞を受賞している、知る人ぞ知る名作である。とあるきっかけで、地下アイドルグループ「サニーサイドアップ」のメンバー・ハナ(白石聖)の追っかけオタクになったOL・遠藤愛(桜井ユキ)。仕事も友人関係も恋愛も、なんとなく上手くいかない。人生このままでいいんだろうか……と漠然とした悩みと不安を抱える中で、通称「サニサイ」のハナは突如現れたオアシスのような存在だった。
この作品の妙は、全編を通してサスペンス風味になっている点だ。ファンとしてサニサイを応援する愛の様子と、警察の取調室で事情聴取を受ける愛の様子が、交互に描かれる。1話の冒頭から、愛は取調室にいるのだ。
「推しって知ってます?」と愛が刑事へ問いかける意味深なシーンから、誰かが病院へ緊急搬送されている様子が描き出される。ものものしい空気感と、愛がサニサイと出会い、オタク仲間たちと交流するハートフルな展開とのコントラストが、中毒的な魅力を醸し出す。
果たして、愛の身に何が起こったのか? 続きが気になりすぎて、ふと我に返ったら最終回までノンストップで見ているに違いない。
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桜井ユキの引き出しの深さを最短で知れる名作を紹介してきた。さらに桜井ユキの演技を見たい方には『G線上のあなたと私』(2019)そして『イチケイのカラス』(2021)をおすすめしたい。
前者では、中川大志演じる理人が好意を寄せる音楽教室の講師・眞於を。そして後者ではクールな書記官・浜谷澪を演じる。どちらもメインキャラクターではないものの、なくてはならないエッセンスを作品に加味しているため、必見のドラマだ。
これまでの桜井ユキと今後の桜井ユキ、果たして、どんな変化を見せてくれるのだろうか。
(文・北村有)
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