『愛なのに』『猫は逃げた』城定秀夫×今泉力哉両監督のユニークなコラボ2作品!


城定脚本&今泉監督の『猫は逃げた』



『愛なのに』からおよそ1か月後の3月18日からは、“L/R15”第2弾として城定秀夫・脚本、今泉力哉監督(共同脚本も)の『猫は逃げた』が公開されます。

主人公の週刊誌記者・広重(毎熊克哉)と漫画家・亜子(山本奈衣瑠)には、それぞれ後輩記者の真実子(手島実優)と編集者・松山(井之脇海)といった不倫関係の相手がいます。

やがて夫婦は別れることを決めるのですが、ではふたりが溺愛している飼猫カンタ(本当はオセロという名前の猫ちゃんです)は、一体どちらが引き取るのか?で揉め始めていく中、カンタが家からいなくなってしまいます……。



ここでは三角関係どころではない男女のグチャグチャ&ドタバタを「家政婦は見ていた」ならぬ「飼い猫は見ていた(もしくはほったらかした?)」といった雰囲気で描いていきます。

これぞどのキャラクターにも慈愛を隠すことのない城定作品ならではのオモシロ・モードなのですが、やはり今泉監督の演出はそれよりもドライな方向へベクトルを向けていきます。

それが如実に表れるのが、クライマックスの4人が勢揃いしての一大長回しシーンでしょう(一体どういうシチュエーションなのかは見てのお楽しみ! ただひとつ言えることは、スゴイ!)

毎熊克哉をはじめとする4人のキャストが奏でるアンサンブルも、実に良い響きとなって映画を盛り上げてくれています。

ちなみに猫のカンタは『愛なのに』にも同役らしき風情で出演しており、双方を結びつける役割を果たしつつ、あたかも猫のように気まぐれで行く先が見当つかない今回の2作品を象徴してくれていました。



そしてこういった監督同士のコラボレーションは、他者の視線が介入していくことでその作家の資質が見えやすくなるという面白さもあります。

かつては黒澤明が脚本を書き、木下惠介が監督した『肖像』(48)であるとか、佐藤純彌脚本&深作欣二監督『狼と豚と人間』(64)、森田芳光脚本&根岸吉太郎監督『ウホッホ探検隊』(86)などなど、個性の似た者同士も入れば正反対の者もいれば、しかしながらそうした魅力的なコラボによって、その後の作品にまでユニークに反映されていくこともままあるように思われます。

今回の“L/R15”プロジェクトも、必ずや両監督にとっての今後の糧になることは間違いでしょう!

(文:増當竜也)

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