映画コラム

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2022年03月11日

千葉真一・田中邦衛・福本清三へ贈る「仁義なき」追悼文

千葉真一・田中邦衛・福本清三へ贈る「仁義なき」追悼文


千葉真一~ナチュラル・ボーン・武闘派~



5部作すべてに(違う役で)出ている福本清三、うち4作に出ている田中邦衛に比べ、千葉真一は2作目『広島死闘編』にしか出ていない。にも関わらず、シリーズ随一のインパクトを残してしまった。

千葉ちゃん演じるところの大友勝利というキャラは、日本のヤクザ映画史上、いや、海外のマフィア映画、ギャング映画、アウトロー映画、すべてひっくるめても、最強で最恐で最凶で最狂のキャラである。

この作品において、暴れ回るのは主に下っぱ、もしくはメインキャラの若手組員時代である。幹部以上のキャラは、どちらかというと政治的かけひきに忙しい。
しかしこの大友は、新興勢力とは言え大友組組長という立場でありながら、常に最前線で戦う。ただただ戦うこと、暴れることが好きでたまらない!という、ナチュラル・ボーン・武闘派である。

1作しか出ていないにも関わらず、この大友には名セリフが山のようにある。ただ、作中もっとも凶暴かつ下品なキャラなため、ほとんどのセリフが現在のコンプライアンスに照らし合わせると、放送禁止である。ここに書くことも憚られる。甚だ遺憾である。

仕方ないので、比較的やさしめのセリフを。

「わしら美味いもん喰うてよ、マブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃあないの」

これが「やさしめ」であるということからも、この大友勝利という人物像を想像できると思う。同時にこのセリフが、大友勝利というキャラをもっとも端的に言い表している。

食欲、性欲、それらを満たすための名誉欲や金銭欲、並びに破壊衝動。強烈な煩悩に突き動かされて、ひたすら暴走する。

千葉真一は『広島死闘編』にしか出ていないと書いたが、大友勝利自体は、5作目『完結編』(’74)にも登場する。ただ千葉真一のスケジュールが合わなかったため、代役として宍戸錠が演じている。

宍戸錠の大友も、決して悪くない。いやそれどころかとてもいいのだが、千葉真一バージョンも観てみたかったのが正直なところ。

「宍戸」大友のラストは、殺された兄弟分の仇を討つため、ズボンに差し込んだ二丁拳銃が丸見えの状態でタクシーを拾おうとして、警官隊に捕まる。

ツッコミどころは多々あるが、あえてそこには触れない。

ただ、これが千葉真一なら、警官隊ぐらい蹴散らしていたと思われる。

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(C)東映

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