インタビュー

インタビュー

2022年06月01日

TikTokクリエイター・しんのすけ:インターネットで「作り手と役者」に興味を持った

TikTokクリエイター・しんのすけ:インターネットで「作り手と役者」に興味を持った




映画感想TikTokクリエイターのしんのすけさんを迎えた短期連載の第1回。

今回は「映画を好きになったきっかけ」について幼少期から振り返って語っていただきました。映画に引き込まれたきっかけは、1991年に日本で公開された、あの超大作だそう。

映画を好きになったきっかけ『シザーハンズ』



映画を好きになったきっかけは、ティム・バートン監督の『シザーハンズ』。確か、小さい頃にテレビで放送されているのを観て「すごい綺麗な映像が流れてるな」という感想でした。

成長して小学生くらいになってから改めて『シザーハンズ』を観て「すげぇいい映画だな」と思ったのが、映画という媒体・メディアを意識する大きなきっかけになりました。

一方で僕の世代的に(現在33歳)、映画館の体験としては、いわゆる『平成ゴジラ』『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』が最強コンテンツだったんです。

『平成ゴジラ』『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』は公開のサイクルも多くて、親によく連れて行ってもらったというのが、小さい頃の映画館体験として一番覚えていますね。

洋画にハマっていったきっかけ


ちょうどインターネットが発達していく時期に、学校で“好きなものをインターネット調べよう”という授業で『シザーハンズ』について調べる機会があったんです。

そうしたら「主役がジョニー・デップっていう人なんだな」とか、「監督がティム・バートンなんだな」といったように、監督をはじめとする「作り手と役者」についてなんとなく意識していくようになりました。

小学生の頃、なんとなく『シザーハンズ』が好きだと言い出してから、「ジョニー・デップっていう俳優さんがいるよ」と家族から言われることも増えました。当時は家族も含めて、めちゃめちゃ映画が好きってわけではなくて。普通に映画を観るようなレベル。確か“ジョニー・デップ”という存在が、まだトム・クルーズのような超メジャー俳優ではなかった。

僕はその頃から監督や俳優という存在は意識してたんですけど……2003年に『パイレーツ・オブ・カリビアン』が公開されて、「ジョニー・デップってすげえな」って世間で話題になって。僕としては「いやいや前からからすごいよ」って思って(笑)

俳優や監督について、世間で話題になる前に調べられたので、インターネット様様みたいな感じですね。

それこそシュワちゃんとか、いわゆるスター俳優たちがいたじゃないですか。僕はトム・ハンクスがかなり好きだったので、“スター俳優”という位置づけの人たちはやっぱり、認識していました。

また「誰もが知ってるハリウッドスターがいた時代」を子どもの頃に経験していたのは、結構自分にとって大事だったんだろうなと思います。「ハリウッドスターが来日する」みたいなニュースがテレビを賑わせて、よく見ていた気がします。


(C) 2002 Warner Bros. All Rights Reserved. (C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited.

僕はとりあえず洋画がすごい好きで、ちょうど日本では世間的に「洋画が面白い」と盛り上がっている風潮がありました。『マトリックス』とか。中2の時に『マトリックス リローデッド』が確かあった気がするんですけど、常に「洋画がやべえ」みたいなテンションが世の中にもありました。

映画の情報はインターネットも活用しつつ、深夜のテレビ番組として放送されていた「SHOWBIZ COUNTDOWN」(テレビ東京系)という伝説の番組もすごく楽しみに見ていました。毎回先週のアメリカ映画のトップ10を発表してくれて、最新情報をテレビで毎週見られる喜びがありました。

「SHOWBIZ COUNTDOWN」を毎週見て、「この映画、いつ日本で公開するんだろうな」「日本では公開しない映画がこの世に存在するんだな」みたいな情報も、この番組で初めて知った気がします。

当たり前といえば当たり前だけど、面白い映画や限られた映画しか日本に来ないのを知って、まだテレビが強い時代だったので、テレビを通して映画の情報を必死に収集していました。

邦画に注目したきっかけ『ジュブナイル』



『シザーハンズ』で映画にハマってから、基本的に洋画大好き、ハリウッド大作大好きな人間でした。そんな感じのときに、中学生頃に山崎貴監督の第1作目『ジュブナイル』を観て邦画への印象が覆された思い出があります。

その頃は、「邦画はちょっと暗い映画が多い」という印象を勝手に抱いていたんですけど……。『ジュブナイル』を観て、本当にもうびっくりして。「スッゴイ映画あるやん日本に、とんでもねぇ映画あるやん」と思って。

ハリウッドのような、CGもあって宇宙人がいてロボットがいて、さらにアクションもあって劇中に遊び心もあって……。

そんな作品を作ってる人がいることに、すごく感動しました。ある意味、山崎貴監督は僕が日本の映画業界を目指すきっかけになった存在ですね。映画を作りたいとは思いつつも、ハリウッドが好きだったので「日本では自分の思う作品は作れないんじゃないか」と考えていたんです。

『ジュブナイル』は、「日本で映画を作っても楽しいんだろうな」というイメージが湧いた作品でした。



山崎貴監督は他にも、第2作の『リターナー』もすごく面白くて。『リターナー』も明らかな『マトリックス』意識がありつつも、パクリで終わらせない、日本だからこそできる作品だなと思ってます。「日本でガチのSFをちゃんと撮れるんだ」って思わせてくれました。

何年か経って、いわゆるCGの第一人者、“VFX”を使える監督という独自路線でメジャーになっていった中で、あんまりおもろい作品ないなってずっと思ってたんですけど、『寄生獣』がめっちゃ面白かった。


(C)映画「寄生獣」製作委員会

『寄生獣』はCGの使い方がとにかく凄すぎて。あんなに、「(日本は)CGがショボい」みたいに言われてる中でも、「VFXも使い方なんだ、やっぱり山崎監督はやれる人なんだな」と改めて思いました。他にも僕は『アルキメデスの大戦』がめっちゃ好きです。

山崎監督はポイントポイントで、監督の作家性が結構ゴリゴリに出る作品を出してくるんです。「山崎貴監督はきっと、もう少しで大変な傑作をまた生み出すんだろうな」って、ずっと待ってます。小学生くらいから待ってます(笑)

あとは子どもたちが観たときに、「映画ってやべえな」と思ってくれる作品って、意外と少ないと思うので。そういう作品をもうずっと待ってます。

次の“噂のゴジラ”がちょっと楽しみです。

(語:しんのすけ/取材・構成:シネマズ編集部)

しんのすけ(映画感想TikTokクリエイター)プロフィール



1988年生まれ。京都芸術大学映画学科卒業後、「水戸黄門」や『HiGH & LOW』シリーズで助監督を務める。2019年より映画感想TikTokerとして活動。

TikTokでは主にエンタメや社会問題の情報発信を行い、人気を集める。現在は情報発信の他にもドラマ・映画の監督業をはじめとして幅広く活動。

初めての著書「シネマ・ライフハック」がKADOKAWAより好評発売中。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!