インタビュー
TikTokクリエイター・しんのすけ:「作品との予期せぬ出会い」の大切さを語る
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TikTokクリエイター・しんのすけ:「作品との予期せぬ出会い」の大切さを語る
映画感想TikTokクリエイターのしんのすけさんを迎えた短期連載の第5回。
洋画が現在置かれている状況を受けて、映画業界に関わる立場から考えることを語っていただきました。
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「おすすめ映画○選」の弊害
僕は洋画で育ったからこそ、余計に「僕ができることはやらなきゃいけない」という意識はあります。邦画の動画が伸びるからこそ、邦画と邦画の間に洋画の動画を挟む“サンドイッチ大作戦”をさりげなくやってみる、地道な作戦をやってみたり。
また公開中以外にも、過去の作品をもっときちんと紹介した方がいいなと思っています。
InstagramやYouTube、TikTokでバズりやすい定番の「おすすめの泣ける映画5選」みたいなコンテンツって、実は全部同じような、似た内容なんです。
もはや紹介というより共感を集めてるだけなんですよ。だから伸びる。「これ面白いよね」って言いたい人が多い作品ばかりを載せてるから。
「おすすめ映画◯選」という形は、新しい情報を◯選で与えるからこそ機能する。もう皆観てるような、間違いなく伸びるコンテンツのような扱いで過去作を紹介する人が多すぎるんです。
「SNSで伸ばすために人気作品を優先させる」ことを意識しすぎた結果、過去作を掬い上げる機能が本当はあるのに、機会損失になってしまっている。
レンタルショップ衰退の影響
あとは「レンタルショップに行かなくなったこと」が、かなり影響しているんじゃないかと思います。映画の内容よりも、誰かとレンタルショップに行って帰ってくる……といった行動の方を映画の内容より覚えていることもあるじゃないですか。
あの頃当たり前にやっていたことが、今の世代から体験として失われているっていうのは、邦画・洋画関係ないとは思いつつ、やはり洋画には影響が特にあると思っています。
だからこそ「作品との予期せぬ出会い」いかに作るか、レンタルショップが担っていた役割を僕らが再現できるかどうかは大事だと考えています。
偶発的な出会いをデジタル上で再現することを考えた時に、「おすすめ◯選」というコンテンツは、ある意味デタラメにやった方がいいと思う。
好きな映画を見つけるには“ハズレ”も必要
映画を紹介する人間はもっと大勢いた方がいい。僕のような人間が、あと100人くらいいた方がいい。他にも、“ハズレの映画”をもっと観た方がいいと考えています。
Netflixをはじめとするサービスのレコメンド方式は、いかに外させないようにするかを重視しています。
好みを外させないように機能で選択肢を絞ると、逆に自分の好きなものが分からなくなりやすいんです。嫌いな作品を認識することで、好きな作品が見えてくるようになる。
一方で、好きな作品ばかり観ると「自分って結局何が好きだったんだっけ」と迷いやすくなる気がするんです。
レコメンド方式の特徴は一長一短なので、やはり人間が調整しなきゃいけない。そうなると、僕のような人間が伝えていかないといけない、と考えています。
(語:しんのすけ/取材・構成:シネマズ編集部)
しんのすけ(映画感想TikTokクリエイター)プロフィール
1988年生まれ。京都芸術大学映画学科卒業後、「水戸黄門」や『HiGH & LOW』シリーズで助監督を務める。2019年より映画感想TikTokerとして活動。
TikTokでは主にエンタメや社会問題の情報発信を行い、人気を集める。現在は情報発信の他にもドラマ・映画の監督業をはじめとして幅広く活動。
初めての著書「シネマ・ライフハック」がKADOKAWAより好評発売中。
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