「ちむどんどん」第7回レビュー:比嘉家の不幸はアババの呪いなのか(※ストーリーネタバレあり)
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第7回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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黒島結菜さんにも走ってほしい
生前、賢三(大森南朋)が借金をして家とさとうきび畑を手に入れたため、亡くなった後、返済が困難になり、優子(仲間由紀恵)が働きに出ています。工事現場のまかないでは収入が少なく、現場に出て働き出します。
それを目撃する暢子(稲垣来泉)……。
優子が体に鞭打って頑張る理由は、子どもたちの運動会が近づいていて、新しい運動靴と体操着が必要だから。学校で「ぼろぼろきょうだい」といじめられているのです。
現場の親方(肥後克広)の情けによって多めに給金をもらえたおかげで購入できた体操着と運動靴。まっさらのきれいなそれらを賢秀(浅川大治)がアベベの豚小屋の柵に置きっぱなしにしてしまいます。
どうなるかは目に見えるよう……案の定、翌朝、ボロボロにされてしまいました。
こんなときこそ「アキサミヨー」でしょう。でも今週の賢秀は「ガチョーン」ばかり使っています。
前の古いもののほうがマシに見えるくらいに、見るも無残な姿になった体操着と運動靴。
優子は懸命に洗いますが、良子(土屋希乃)は運動会には出ないとすねてしまいます。
優子の徒労感はどれほどか……。それでもキレない優子は立派です。
運動会当日、暢子はシークワーサーをかじって、ものすごい勢いで先頭を走りますが運動靴が破れてーー。
このあと暢子がどうするか目に見えるようですが、それは明日のつづきです。
「おかえりモネ」「カムカムエヴリバディ」とひねった朝ドラが続いたため、これほど、わかりやすい貧乏や徒労描写や、先が見える展開にやや物足りなさやストレスを感じます。
そこへ「あさイチ」で悪いことばかり続くのは「アババの呪い」と博多華丸さんが朝ドラ受けして、それが一番おもしろくてホッとしました。
朝ドラと朝ドラ受けがセットで完結するときは、それはそれで面白いのですが、ドラマの内容が弱いともいえるときなので要注意です。
アババの呪い。あるいは残ったアベベが復讐で体操着と運動靴をぼろぼろにしたのかもしれません。華丸さんはペットは洗ったばかりの衣類をぐちゃぐちゃにしがちというようなことも言ってましたが。
アババを食べてしまってから比嘉家にはいいことがない。
はたしてそうでしょうか。
確かに、家は貧しくなり、苦労が絶えません。学校ではイジワルな子がいます。
でも、親方も、雑貨屋の前田善一(山路和弘)も、砂川智(宮下柚百)、青柳和彦(田中奏生)も、みんな比嘉家に親切です。智が歌子(布施愛織)にやさしいところはとても良かったし、善一に体操服をプレゼントと言われて泣いて受け取らない良子の矜持も好ましかった。
昔のドラマだとただただ哀しい出来事が続くこともありましたが、「ちむどんどん」ではいやなことといいことがバランスよく起こっています。
ところで。暢子が走るシーンを見て、本役の黒島結菜さんが「アシガール」でぐんぐん走る姿を思い出しました。大河ドラマ「いだてん」でも走っていました。しゅっと細くのびた手足の彼女の走りは爽快、痛快でした。黒島さんになっても走るシーンがあるといいなあ。
(文:木俣冬)
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