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2022年06月09日

「悪女(わる)」第9話:コメディの皮を被ったホラー。麻理鈴を待ち受けるJK5改革後の悲惨な現実

「悪女(わる)」第9話:コメディの皮を被ったホラー。麻理鈴を待ち受けるJK5改革後の悲惨な現実



深見じゅん原作の人気コミック「悪女(わる)」が、30年の時を経て再びドラマ化。
今作がドラマ初主演となる今田美桜が三流の大学を四流の成績で卒業した、ポンコツだけどポジティブな新入社員・田中麻理鈴を演じる。共演に江口のりこほか。

本記事では、第9話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。


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「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」第9話レビュー

「上に行く気のない人間はあなたが切り捨てるのよ、田中さん」

島田(小木茂光)が新社長に就任し、オウミが新たなスタートを切った「悪女(わる)」第9話。

峰岸(江口のりこ)も「女性の管理職五割計画」(通称:JK5)の推進室室長に就任。「JK5計画」も本格的に始動し、麻理鈴(今田美桜)は、管理職を目指す20人の女性のための育成プログラムを担当することになった。

参加者の中には、ワーキングマザーのマミコ(桜井ユキ)やエンジニア部に所属する川端(近藤春菜)の姿も。マミコは母親としての視点を活かせるプロジェクトリーダーを任され、最初は乗り気じゃなかった川端も、峰岸と麻理鈴に背中を押される形で管理職を目指すことになった。

さらに、T・Oさん(向井理)がシリコンバレーから引き抜いてきた笹沼(ソニン)が企画開発部の課長に就任。第8話で謎の女性として登場した彼女は、T・Oさんの元恋人だった。企画能力にも優れ、判断も迅速で取引先との付き合い方も上手い。まさに峰岸が理想とする女性リーダーのロールモデルだ。

女性社員たちが仕事で必要とされる喜びを手に入れ、今よりもっと輝けるように。そんな理想を抱えた「JK5計画」は順調に思えたが、彼女たちを待ち構えていたのは、あまりに現実的で暗澹たる未来だった。

子育てより仕事を優先することに葛藤を抱えながらも、前向きに頑張っていたマミコは夫から離婚を突きつけられる。川端は管理職になったらエンジニア職を離れなきゃいけないことに悩み続け、ついには「上を目指さない自分のような人間はオウミに必要ない」と退職を決意。笹沼も周りの男性社員たちから反感を買い、“お飾り”のような扱いを受けるようになってしまう。

がむしゃらに頑張ってきた彼女たちに向けられる数々の冷たい視線。それは「3年以内に社内の女性管理職の割合を5割に上げる」という目標を達成するため、大勢の社員を切り捨てる独裁的な改革を進めてきた結果だった。

麻理鈴は山瀬(高橋文哉)から、T・Oさんが女性管理職を増やすため、男性管理職を早期退職に追い込んでいることを聞かされる。夏目(石田ひかり)が人事部の新課長に選ばれたのも、江上課長(林泰文)の不倫や経費の不正利用をT・Oさんがリークしたから。他にも、備品管理課課長の竹内(佐戸井けん太)やマーケティング部部長の清水(おかやまはじめ)など、多くの男性社員が早期退職を促されていた。

大きな改革には多少なりとも犠牲がつきまとう。そう言ってしまえば、簡単だ。しかし、彼らにもこれまで頑張ってきた経歴と生活がある。峰岸とT・Oさんがやっていることは、女性社員と男性社員との間に対立構造を生みかねない。

一方で、強引にでも計画を進めなければ、女性管理職の割合を増やすことなんてできないという気持ちも理解できる。実際、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という政府が出した計画「202030」は未達成に終わった。

女性が活躍できる社会的環境を整えた上で、女性も男性も個々の能力によって対等に評価される世の中に。ただそれだけのことが、如何に困難かを本作は真正面から突きつけてくる。不条理な世の中をまざまざと映し出す、コメディの皮を被ったホラーだ。

今回の癒しは、ミラー効果を狙って麻理鈴の言動を必死に真似た山瀬くんだけ。そんな彼もついに麻理鈴に告白して、玉砕してしまった。どうか彼に運命の相手が現れますように……。次週は最終回。JK5改革を巡り、対立してしまった麻理鈴と峰岸の関係が修復されるかどうかはもちろんのこと、麻理鈴が最終的に誰と結ばれるのかも気になるところ。

T・Oさんの裏の顔が明らかになってきたことで、今のところオウミの現状を客観的に見つめている小野(鈴木伸之)が優勢。だけど、T・Oさんのことを信じたい気持ちも正直ある。とにかく願わくば、最後に麻理鈴の満面の笑みが見られますように。そこにいるだけで周りを照らす麻理鈴のパワーがオウミを良い方向に導いてくれることを期待する。

(文:苫とり子)


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