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2022年08月04日

「テッパチ!」5話:女性自衛官が迫られる人生の選択&人を助ける喜びに気づいた宙(町田啓太)

「テッパチ!」5話:女性自衛官が迫られる人生の選択&人を助ける喜びに気づいた宙(町田啓太)



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町田啓太主演フジテレビ系ドラマ「テッパチ!」が2022年7月6日より放送スタート。

陸上自衛隊を舞台にした本作は、町田啓太演じる主人公・国生宙を含めた自衛隊候補生たちの熱き青春と成長を描いた物語。佐野勇斗や佐藤寛太など次世代を背負う若手役者が多数出演することでも話題を呼んでいる。

本記事では、第5話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「テッパチ!」第5話レビュー

女性のキャリア問題について考えるとき、どうしても切り離せないのは「結婚」「出産」「育児」の3セットだろう。男女平等が叫ばれ続けて久しいが、まだまだ女性と男性のステージは違うと痛感させられてしまうことが多い。

今話のテーマは「女性自衛官」のキャリア。

立派な自衛官になることを夢見て候補生になるも、入寮前に関係のあった相手との子を妊娠していることがわかった女性訓練生(石崎)が登場する。

現在は育児休暇制度も整っており、駐屯地によっては託児所もあるという。少し前の環境に比べれば、女性自衛官も”子育てをしながら仕事”がしやすくなっているわけだ。

しかし、だからといって、誰もが仕事と育児の両立を望むわけではない

実際、石崎は悩んだ末に、自衛隊を辞めることを決めた。「今の私に、命懸けで誰かを守れるわけがない。だけど、この子を守れるのは私だけ」と口にする様は、人生における大事な覚悟を決めた強さに満ちていた。

選択肢は広く在ってほしい。女性だから、男性だからと性別を理由にして、選ぶ余地が限られる世の中であってほしくない

育児をしながら訓練を続け、自衛官を目指す道もある。けれど、”自分”は違う道を選ぶ。本来、人生における選択とは、そういった多様性を帯びたもののはずだ。

複数の選択肢と、それらを(性別による制限などなく)自分の意思で選べる余地を描いたことが、確実のこのドラマに厚みを持たせている。

石崎が退寮を決めたのは、もしかしたら宙(町田啓太)や冬美(白石麻衣)をはじめとする、他の訓練生たちに心配をかけないように、といった理由もあるかもしれない。

妊娠によって体調が不安定になりつつあった石崎。立ちくらみで階段から落ちそうになった彼女を助けた冬美だが、バランスを崩し階段下へ転倒しかけてしまう。とっさに体が動いた宙が、下敷きになる形で身を挺して守った

頭を打ち、しばらく寝込んでしまった宙。しかし、彼はこの件をきっかけにして”人を助ける喜びとはどんなものか”を体感することになった。

「落っこちながら思ったんだよ。俺、いま本物の自衛官みてえ……って。(中略)誰かを助けるために、この体、張ってんだなって」

「自分のことなんか何も考えてなかった。ただ”助けてえ”ってこと以外には」

考えずとも体が動く。それは何を置いても、自衛官としての資質として挙げられるに違いない。これまでも無意識に訓練生の救いになってきて宙だが、ようやく”人を助けること”に自覚的になったのかもしれない。

母になる覚悟を決めた石崎と、そんな彼女を助けた宙。5話の物語は、そこから宙と母親の関係性にシフトしていく。

訓練が休みの日に、馬場(佐野勇斗)の実家へ訪れた宙。馬場の両親に良くしてもらったことで、否が応でも自身の母親が脳裏に浮かぶ。

久々に姿を見に向かうが、再婚した母は新たな家庭で幸せそうにしていた。自身に向けられた怪訝そうな目線にひるんだ宙は、逃げるようにその場を後にする。

人を助ける喜びを知った宙は、自衛官になる未来をより強く感じているに違いない。しかし、この先、たくさんの人を支えながら”まだ救われていない自分の存在”がチラつくようになるだろう。

そんな宙を気遣ってくれるのは、きっと同じ夢を共にし、つらい訓練に耐え抜く候補生の仲間たちなのだ。

次回は第一部の閉幕。どのように閉じられ、そしてどのように第二部へと繋がっていくのだろうか。

(文:北村有)


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