「吉祥寺ルーザーズ」:増田貴久、迫真の演技が胸に迫る第10話。桜&舞&翠は聡を守る“三銃士”!?
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秋元康が企画・原作を務める増田貴久主演ドラマ「吉祥寺ルーザーズ」が2022年4月11日にスタートした。
共演に田中みな実、片桐仁らを迎え、“人生の負け組=ルーザー”6人がシェアハウスで一緒に暮らす日々を描いたシチュエーションコメディドラマ。
本記事では、第10話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「吉祥寺ルーザーズ」第10話レビュー
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会ついに、シェアハウスに聡(増田貴久)のママ(筒井真理子)がやってくる。
聡は住人たちに、本当は非常勤講師ですらなく、半年前に生徒とトラブルを起こし懲戒解雇になったことを告白する。これが、聡が2話で書いた自身の秘密だろう。
そして、聡はこのことを当然ながらママにも隠していた。小学校の校長先生をしていて落ちこぼれを嫌うママに、本当のことを話せなかったのだ。必要以上に慌て怯える聡の様子から、彼女がどれほど厄介な“モンスター”なのかが伝わる。
そんなママに過保護に育てられた聡は、波風を立てぬよう、逆らわず、生きてきた。「気持ち悪いですよね」と自嘲したが、驚きこそすれ、気持ち悪いわけではないと思う。少なくとも、彼はママの愛情が異質であることを理解し、自ら距離を置こうとしていたのだから。
見兼ねた住人たちは、嘘をついたまま今回のママ来訪を切り抜けようと画策する。しかし、同じタイミングで、今度は間宮リコ(岩本蓮加)もシェアハウスへやってこようとしていた。
2人の“モンスター”が迫り来るシェアハウス。リコのほうは、幡多が対応して時間稼ぎをすることに。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
家に入ってくるなり、「アイラービュー」「アイニージュー」と聡をハグし、首元にキスまでぶっかますママ。初っ端から強烈だ。苦戦を強いられる予感……。
だが、こちらには桜がいる。忘れていたが、彼女もまたある意味“モンスター”。おほほ、うふふ、と笑い合う様子に恐怖を感じつつ、これは面白くなるぞ、と期待が高まる。
自己紹介の場面では、桜は女性ファッション誌の編集長、舞(田島芽瑠)は精神科のドクター、翠(濱田マリ)は武蔵野市の市議会議員だと、事実を織り交ぜながら嘘をつく。
編集長なのにお肌が陶器のようで、「本当は暇なんじゃない?」と言われた桜よりも、意外にも精神科医を名乗る舞のほうが互角に渡り合っているように見えた。舞、お仕事は適当にこなすタイプかと思いきや、熱心にコンセプトカフェのマニュアルを読み込んでいたとは。見えないところでの努力が垣間見えて、個人的に舞の株が上がった。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
ママは今回の来訪の目的を切り出す。聡からのメールの内容が毎日ハッピーすぎることに違和感を覚え(シェアハウスの住人たちのこと全員を留学生として報告していた)、本当は悩みがあったのではないかという。こうと思ったら止まらないママは、今の勤務先を辞めて実家に戻り、ママの知り合いの学校で働くことを勧める。勧める、というか、強引に進めようとしていた。
早口でまくし立てるママに、遠慮がちに手を上げる聡。発言の許可を得ようとしていたのだ。これではそのまま教師と生徒のような関係ではないか。
そして、「ママはずっと喋り続けてきた」という言葉を皮切りに、タガが外れたようにこれまで抑え込んでいたものを吐き出す。「喋ると否定されるから、何もしゃべらないほうが楽なんだって、ある日そう決めたの」「いつも笑顔でいて、なるべく素直でいようってそう決めた」。その頃のままの自分を解放してあげたい、という。
ぽろぽろと涙を流し、時々声を荒げ、増田貴久による迫真の演技だった。これまで殺してきたたくさんの感情を思い出すような苦い表情、理解しようとすらしてもらえなかった苛立ち、そうはいっても大事であることにはかわらないママを傷つけてしまう少しの迷いが感じられた。でも、これを言わなければ、事態は変わらない。自分と闘う人間の葛藤が、画面から伝わってきて痛いくらいだった。
しかし、それでもママは本質を理解していない。そこで、教師を懲戒解雇になったことも自ら暴露する。
そんなタイミングで幡多を振り切ったリコがシェアハウスへ。ママはこの問題にも首を突っ込もうとするが、「僕の正念場なんだ」とママをキッチンに押し込む。
手を震わせながら、玄関の扉を開けようとする聡。その手は、可哀想なくらいに震えていた。
だけど、聡は1人じゃない。キャッチ&フォロー&リリースしてくれる、「失敗しても生きてる」と力強い言葉をかけてくれる桜&舞&翠がいた。3人が、聡を守る三銃士みたいに見えた。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
リコと対面した聡。聞けば、聡は好意を抱いていたリコを否定も肯定もできず、勘違いさせてしまっていたようだ。そして、上手くいなせないまま、最終的に階段で突き飛ばし、怪我をさせることになってしまった。
教師が自らの手で生徒を怪我させるなんて言語道断だ。しかし、聡にも同情の余地があった。これで職を失い、精神的にも大きな傷を負ってしまったのかと思うとやるせない。それでも、「君を好きだと思ったことは1度もない」ときっぱり言う聡は、過去を断ち切ろうとする勇ましさが感じられ、かっこよかった。
この様子を壁越しに聞いていたママは、「聡はいい仲間に恵まれました」と笑顔で帰って行った。せめて、このことだけでも伝わってよかったと思う。
だって普通に考えたら、厄介なママと、トラブルの原因となった元教え子も訪ねて来るなんて修羅場、ただの住人なら知らん顔をすることだってできたはずなのだ。なのに全員、聡のために協力を惜しまなかった。それはこれまで聡がみんなのためにしてきたことがあったからだし、聡が言うように、「ルーザーだからこそ、人の痛みがわかる」人たちだからこそ。なんだか誇らしい気持ちになった。
このルーザーたちの奮闘を、まだまだこれからもずっと見ていたいのだが……次週はルーザーが解散に……? 観たいような、観たくないような。そんな思いで1週間を過ごそうと思う。
(文:あまのさき)
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