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「ナンバMG5」第9話:間宮祥太朗だからこそ表現できた、“二重生活”崩壊の苦しみ



間宮祥太朗が地上波ゴールデン・プライム帯ドラマ初主演を務める「ナンバMG5」が、4月13日より放送開始した。
本作は、小沢としおによる人気漫画『ナンバMG5』『ナンバデッドエンド』を実写化した“脱ヤンキー”物語で、本広克行監督がメガホンを取る。

本記事では、第9話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「ナンバMG5」第9話レビュー

高校3年の夏を前に、進路問題に揺れる剛(間宮祥太朗)。進学するなら二重生活を続けるのは無理という吟子(原菜乃華)の言葉はもっともだ。剛もそのことはわかっており、家族に本当のことを話そうとする。しかし、2年半もつき続けた嘘を、なかなか明かすことができない。

伍代(神尾楓珠)からも喝を入れられ、やっと話そうと決意した矢先、事態が動く。部屋に忘れてきた進路調査票を兄の猛(満島真之介)に見られてしまったのだ。

伍代のところへ行き、正直に話せと詰め寄る猛。そういえば吟子も、剛への疑念を抱いたときに、真っ先に伍代のところへやって来た。兄妹だなぁと思うと同時に、家族を信じたいからこそ本人ではなく伍代を1度経由する行動に胸が痛くなる。

伍代の顔を見てすべてを理解した猛は、剛に問いただす。殴られながらも、「本当に今夜話そうと思ってて……」という剛がいたたまれない。

伍代と大丸(森本慎太郎)もやって来るが、やはり猛には歯が立たない。「こいつは俺のツレだ」と剛を庇い、「難破の気持ち聞いてやれ」と正論を述べる伍代。そう、お願いだから、剛の話を聞いてあげてほしい。こんな悲しい殴り合いは見たくなかった。

家に帰ると、勝(宇梶剛士)とナオミ(鈴木紗理奈)はいつもの通りハイテンションで出迎える。それが今日ばかりは辛い。そして剛の口から、市松ではなく白百合に通っているという事実が明かされる。いつかくるとわかってはいたが、とうとうこのときが来てしまった。

勝とナオミの表情は、怒りよりもむしろ困惑と悲しみの色が濃いように感じた。「何で俺らに嘘ついた」「私は嘘と曲がったことが大嫌い」という言葉からも、それがひしひしと伝わってくる。

難破家は、毎晩一緒に食卓を囲むなど、ちょっと珍しいくらい仲のいい家族だ。それなのに、息子が嘘をついていた。しかも、2年半もの長きにわたって。この事実を突然突きつけられる親の心を思うと、胸が張り裂けそうになる。何で話してくれなかったんだろう、話してくれればよかったのに、そもそも何で気づかなかったんだろう……きっと2人の中にはそんな感情が渦巻いていたことだろう。

一方で、剛の言い分もまたよく理解できた。猛が関東を制覇し、明らかに自分にも期待がかかっている状況で、ヤンキーを辞めて普通の高校生活を送りたいと言い出すのは簡単なことではない。なまじ、剛は喧嘩も強かった。それはつまり、成績優秀な中学3年生が、親に「高校には行かない」と宣言するようなものだろう。真面目に取り合ってもらうことは、おそらく難しい。

そして何より切なかったのは、剛の「自分の行きてー高校に行っただけ」「そんなに悪いことかな」という発言だ。剛がどれだけ努力して白百合高校の受験をパスし、慣れない高校生活の中でクラスや部活に居場所を作って来たかを、私たちは断片的だが見てきている。この過程は、せめて肯定してあげてほしいと思ってしまう。

だが、最終的に剛は、「こんな家に生んでもらって迷惑なんだよ」と、顔を血と涙でぐちゃぐちゃにしながら叫ぶ。あまりにも痛々しい叫びだった。行きたい高校にも自由に行けないのかという理不尽さも感じてはいるだろうが、こんなのは本心じゃないはず。むしろこれこそ1番大きな嘘なんじゃないかと思うからこそ、さらに痛々しい。

言い争いの末、家を出ることになった剛は、伍代のところへ。そして、学費を工面するために、夏休みは昼夜を問わずアルバイトをしているようだった。

そのバイト先で、剛は以前猛がボコボコにしたグレ(東啓介)とグロ(鈴之助)に絡まれる。剛があっさりと勝利を収めたが、諦めの悪い2人は剛がバイト先に提出した履歴書を盗み、高校を突き止めて白百合に乗り込んでくる。

バットを振り回し窓ガラスを割ったり、美術部員の描いた絵をナイフで切り裂いたり。想像を超える最悪の展開だった。剛が時間をかけてたどり着いた大事な場所が、悪意に満ちたやり方でどんどん壊されていく。こんな奴ら、どうせ剛に敵わないくせに! という気持ちと、ここで喧嘩をしたらダメ、絶対に出てこないで、という気持ちが交錯する。

しかし、自分の大事なものを踏みにじられて、剛が黙っていられるわけはなかった。特攻服に身を包んで校内を堂々と歩く姿は、もちろんかっこいい。かっこいいのに、見ているのが苦しかった。時間をかけて確実に積み上げてきたものが、こんなにも一瞬で崩されてしまっていいのだろうか。

伍代と大丸もやって来てなんとか剛を逃がそうとするも、剛は「俺の大事な場所なんだ」と食い下がる。その様子を、藤田(森川葵)はただ黙って見つめていた。大きな瞳が、いつもより数段黒く沈む。これまでの高校生活を思い返し、剛の中に“特服”の片鱗を見出す。すべてを悟った目だった。

剛によって相手が全滅しただろうかというタイミングで、やっと警察がやって来る。そして、警官に両脇を抱えられる剛。雨に濡れ、血にまみれ、体をだらりとさせている。藤田は思わず歩み出て、「難破くん!」と声を掛ける。黙っていることなどできなかったのだろう。

パトカーに乗り込んだ剛は、目に涙を浮かべ「終わっちまったな……」とポツリと呟いた。剛が自ら望んで手にした高校生活が終わるかもしれない。苦しくて悲しくてやるせない空気が支配する。間宮祥太朗にしか出せない空気感だ。この人は、なぜ複雑ないくつもの感情を、こうも自然に同居させることができるのだろう。ドラマの展開と間宮の演技力、両方に鳥肌が立った瞬間だった。

今回つけられていたタイトルの「二重生活、崩壊」、筆者はてっきり家族にバレるという意味だけだと思っていた。それならば、このまま高校生活を送れる可能性もあるだろうと考えていた。しかし、実際にはヤンキーであることが友人や学校にも明らかになり、在籍すること自体も危ぶまれることになろうとは。

最終回を前にして、深く心に刺さる回だった。勝は仕事で、義理や人情では超えられない壁に直面していた。ナオミは剛の部屋で、受験勉強の努力の痕跡を見つけていた。これまでの難破家からは異質でも、自分の力で、自分なりの生き方を、剛は身につけている。できれば2人には、「剛、よくやった!」「それでこそ難破家!」と、思いっきり剛の頭を撫でてあげてほしい。そして、願わくば剛がみんなと一緒に卒業できますように。
 
(文:あまのさき)

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