「鎌倉殿の13人」第27話:実は13人もいらなかったのかもしれない。
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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。
本記事では、第27話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「鎌倉殿の13人」第27話レビュー
ほんのり地獄の幕開けを感じるのはなぜだろうか。
頼家(金子大地)が鎌倉殿として本格始動した。
気負っている。気負いすぎである。
訴えがあれば自分で聞く、と宣言するが、できるのか。
更に、どうにかして権力を握ろうとする比企能員(佐藤二朗)、北条時政(坂東彌十郎)を退ける。
そんな頼家にあれこれ囁くのは梶原景時(中村獅童)だ。
御家人を信用してはならない、頼朝も自分以外の御家人を信用していなかった、と言う。頼家が心から景時を信頼しているかどうかわからない。
しかし、とりあえずは景時がひとつの指針になっているように見える。
一方で頼家は義時(小栗旬)に若くて力のあるものを集めるように言う。
年寄りたちは信用ならない、できれば、自分と分かり合ってくれる若く優秀な人物がそばにいてほしい……と思うのは当然かもしれない。
やる気に満ちている頼家だが、訴えを全て自分で聞く、というのは、そんなあなた……無理でしょうよ……と思っていたら、わりと早めに挫折する。
そこで義時が提案したのが「4人の文官が訴訟に関する評議を行い、道筋をつけ、最終判断を頼家に委ねる」というもの。景時は頼家と文官たちの取次役となり、5人衆で頼家を支える案だ。
そこでサクッと5人衆で決まればよかったのだが、
「梶原がいるなら比企も入れろ」(by比企能員)
「梶原と比企がいるなら北条も入れろ」(by北条時政)
……と人数が増えていく。
さらに、自分の味方を増やそうと、北条と比企はそれぞれ勝手に人材を引きこむ。
「もうひとり、行っとく?」じゃないんですよ、時政殿……。
時政が声をかけたのは三浦義澄(佐藤B作)、和田義盛(横田栄司)。畠山重忠(中川大志)には断られる。あなたにはがっかりです、とりく(宮沢りえ)に言われて、目を閉じる重忠の表情に見とれてしまったが、そんな場合ではなかった。
時政がそのあとに名前を挙げる人物も高齢の方ばかり。
これは「じいさんはやめておきましょう」と義村(山本耕史)がぴしゃりと言ってくれたおかげで回避するが、本当に頭数を集めたいだけなのがわかってうんざりだ。
比企も同じように味方を集め、文官にもわざとらしく接待して勢力を拡大しようとする。
そして最後に義時が政子(小池栄子)の頼みで加わり、13人に。
「鎌倉殿の13人」というタイトルなのだから、もっとこう、重大な理由があるのかと思いきや、こんなことで増えていったとは。
義時から13人に増えたことを聞き、「私はそんなに頼りないか」と茫然とする。また、義時が加わっていることも頼家にショックを与えた。
頼家はきっと頭が切れる人なのだろう。上に立つ者としての片鱗もこれまでに見えた。
それが、じいさん……ではなかった、経験豊かで権力を握るのが大好きな高齢の方々に潰されていく様子は見ていてつらい。
頼朝の死は早すぎたのだと、景時が言った言葉が染みる。
物語冒頭では、京ではキレキレな後鳥羽上皇(尾上松也)も登場し、蹴鞠をしながら、頼朝の死因を推理し、「頼朝の跡目、さぞ重かろう」と一言。
結果、終盤では悔し涙を見せる頼家の姿が。今後の頼家の行く道が、不安でならない。
(文:ふくだりょうこ)
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