「ファイトソング」第9話レビュー:ついに思いを伝えた慎吾に、今思うこと(※ストーリーネタバレあり)
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清原果耶主演のTBSの火曜ドラマ「ファイトソング」が2022年1月11日(火)より放送スタート。
岡田惠和オリジナル脚本で送る本作は、夢破れたスポ根ヒロインを演じる清原と、一発屋ミュージシャン、万年片想いの一途な幼馴染の不器用な3人の恋と成長を描く。
本記事では、第9話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「ファイトソング」第9話レビュー
第9話は、手術の2年後からスタート。花枝(清原果耶)の耳は、聞こえていないようだ。
でも掃除の仕事は続けていて、お客さんたちとのコミュニケーションも問題なく取れている。優しいお客さんばかりなのは、社長である慎吾(菊池風磨)の人徳だろうか。
一方、芦田(間宮祥太朗)は花枝との“取り組み”の末に作った「ファイトソング」の成功により、音楽活動を続けていた。安定して楽曲制作の依頼も入ってきており、前より表情も明るく見える。
だが、約束通り、お別れをした日以降、2人が会うことはなかった。
花枝は、直美(稲森いずみ)に「まだ芦田くんのことが好きなの?」と尋ねられる。嫌いじゃない、と言葉を濁しながらも、改めて芦田に会うのは違うと思っているらしい。たしかに、2年ぶりに再会して、耳のことを話したらどんな反応をされるのか、きっと傷つけてしまうだろう、と想像して怖くなる気持ちは分かる。
そんな花枝を見た慎吾は、凛(藤原さくら)らに“見守り地蔵”と言われたことも手伝って、ついに思いを伝える決心をする。子どもの頃に花枝が描いた絵を大事に保管し、「(可能性は)ゼロじゃねーだろ」と独り言で自分に言い聞かせる、相変わらず健気な慎吾。
髪色がオレンジなのも、花枝の絵の中の慎吾の頭がたまたまオレンジで塗られたからだった。本当に、どこまでまっすぐに、花枝に一途なんだろう。
2人は思い出の神社へ。慎吾は花枝にも伝わりやすいように、すでにスケッチブックに気持ちを書いてきていた。1ページ1ページ、しっかりと音読しながら伝えていく。
「ずっと花枝に恋してる」
慎吾の一世一代のラブレターであり、告白。
いつもとは違う慎吾の空気に、花枝にも真剣さが伝わる。そして、だからこそ花枝は動揺していた。これまで家族や兄妹を超えた“何か”だったものが、少し違う形をしていたことに。
清原果耶の瞳の大きな揺らぎは、見ているこちら側まで揺さぶってくるようだった。
「世界で1番好きな人なのに、ごめんなさいって言うしかない」
切なくて愛情を感じる「ごめんなさい」だった。涙を流す花枝に、慎吾は感謝を伝える。
そして、用意してきたスケッチブックをさらにめくる。書いてあったのは「恋人になってください」だったが、さらにページをめくり、「これからも変わらずよろしくな」と伝える。
この人たちって、結構似た者同士だ。
耳を手術することになり、最悪のケースを想定して準備していた花枝。「可能性はゼロじゃない」と自分に言い聞かせながら、フラれる想定もした上でこの場に臨んでいた慎吾。
しかも慎吾は、そのときに花枝を困らせないように、フォローの言葉まで用意していた。いつだって、花枝が笑顔になること、苦しまないことを先回りして考えている。この愛情に、きっと敵う人はいない。
花枝を道で見かけ声を掛けたが、気付いてもらえなかったことが引っかかっていた芦田は、花枝の名前を検索。すると、葉子と花枝が一緒にインタビューを受ける動画を見つけてしまう。その中で花枝は、2年前から耳が聞こえなくなったことを話していた。
2人で過ごした期限付きの時間の中で、花枝が言っていた言葉を思い出し、色んなことが繋がっていく芦田。いてもたってもいられず、花枝に会った道で、花枝のことを待っていた。芦田と会うつもりのなかった花枝は、その姿を見て、逃げ出してしまう。
花枝の帰りを待っていた慎吾は、それを見て「走ったら危ねぇよ」と花枝を追いかける。
街中での追いかけっこの末、なぜか3人は雑居ビルのエレベーターに閉じ込められてしまった……。ちょっとだけ、ナンダコレ展開にびっくり。
今回、慎吾が母親と暮らしていた頃の回想が流れた。そのときも慎吾はお母さんを「守る」と頑なだった。慎吾にとってはきっと“大事な人=守るべき人”なんだろう。
そしてそれは、親戚と思しき人に「お前は捨てられたんだ、お荷物だったんだ」と吐き捨てるように言われてもなお、揺るがない。むしろ一層強固になっているのではないかとさえ感じた。
そんな慎吾の思いが、“恋人になる”という形では成就しなかったけれど、とにかく花枝に届いてよかった。ちゃんと慎吾のためだけの時間が与えられ、告白できてよかった。叶わなくても、十二分に思いは伝わっただろうから。
ところで、相変わらず筆者は慎吾の幸せを願っているのだけど、「守らなきゃ」という思いの強い慎吾を、さらに大きく包み込んで守ってくれる人がいいんじゃないかなと思った。やっぱり、それができるのは凜だけだと思うんだけど……。
最終回、こっちの関係性の変化もまだ少し期待して、楽しみに待ちたい。
(文:あまのさき)
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