2022年08月18日

『サバカン SABAKAN』金沢監督|特別ではない一日を切り取った、特別な作品 

『サバカン SABAKAN』金沢監督|特別ではない一日を切り取った、特別な作品 


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少年たちのひと夏の冒険を描く映画『サバカンSABAKAN』が8月19日(金)に公開される。

監督・脚本を務めたのは数々のバラエティ番組の構成作家として活躍し、人気ドラマ「半沢直樹」(2020年)などの脚本も担当した金沢知樹だ。

cinemasPLUSでは、金沢へのインタビューを実施。出身地である長崎を舞台にした本作に込めた思いを聞いた。

映画化にあたって背中を押された言葉



――今作はもともとラジオドラマだったものが流れてしまい、映画化に至ったと伺っております。どういった経緯があったのでしょうか?

金沢知樹(以下、金沢):ラジオが流れて、数年のちに、飯島(三智)さんから「映画にしよう」と声を掛けていただいたんです。その際、「長崎の話だから、金沢くん、監督もやれば?」と言われ、お引き受けさせていただきました。飯島さんの「コロナ禍で大事な人に会えないときだからこそやるべき作品」という言葉に、背中を押されました。



――草彅剛さんが演じた久田は、ラジオドラマには存在しなかったとのこと。映画化にあたり、どういった意図で追加したのでしょうか?

金沢:僕も書き手で、主人公のようにうまくいってない時期がありました。自分を物語に投影して、より自伝感を強めるために、草彅さん演じる“大人の久田”を追加しました。

演技経験の少ない子役を抜擢した理由



――今作の主演である番家一路さんと原田琥之佑さんは、ともに演技経験が多い子役ではないかと思います。彼らを抜擢した理由を教えてください。また、そんな彼らだったからこそ出た“味”があれば教えてください。

金沢:彼らを選んだ理由はたったひとつ、「一緒に長崎に行きたいか」だけです。そこで選びました。演技をしてもらうときに何度も言ったのは、「役でやらずに自分でやってくれ」ということ。例えば一路は背中を丸める癖があります。それを自分でやめようとしていたのですが、「背中を丸めて歩くのは一路の癖だから、やめないでくれ」とあえて伝えました。琥之佑はとあるシーンで泣く予定でしたが、話をしてみたら「俺、このとき、泣く気持ちにどうしてもならない」と言ったので、「じゃあ泣かなくていいよ」と。とにかくいつもの自分で、と伝え続けたので、それが味につながったと思います。



――作品を拝見し、夏休みのすばらしさ、あの経験をもう1度できれば、と強く思いました。今、こういった世の中において、子どもを主役に「ひと夏の大冒険」をテーマに作品を作った理由を教えてください。

金沢:とくに夏休みの冒険を作ろう、とは意識していませんでした。ただ、僕が幼い頃は、ああいう冒険じみたことを毎日にしていたんですね。その一日を切り取った感じです。特別ではない日。でも今振り返ると、特別だったんだなぁ、と思います。

現地の人も舌を巻くレベルの長崎弁を披露したのは……?



――80年代の長崎、小学生が見ていた風景がリアルに再現されているかと思います。何かご苦労された点はありましたか?

金沢:久田の家を見つけるのは、すごく難航しました。たくさんの候補の家を見て、ようやく決まったんです。そして、竹本の家。美術チームに「パッと見、人の顔に見える家にしてください」とリスクエストしたら、最高の家が出来上がっていました! ぜひスクリーンでご覧ください。

――今回の作品において、もっとも印象に残っている俳優はどなたですか? また、その理由を教えてください。

金沢:一人といわれると非常に難しいのですが……(笑)。草彅さんはじめ、皆さん素晴らしい役者さんです。でもしいて、長崎の物語ということで、名前を挙げるとしたら、久田の母を演じた尾野真千子さんです。お芝居もそうですが、長崎弁のイントネーションが完璧でした。おそらく長崎の人が見ても舌を巻くレベル。必見です!



――金沢監督は今作が映画初監督ですね。今後撮ってみたいテーマや、ご一緒した俳優がいれば教えてください。

金沢:テーマではないですが、また長崎を舞台に作品を撮りたいです。大好きな街なので。また、いつか大好きなチエ・ミンシクと草彅さんの作品も作りたいですね。というか、必ず作ります!



(取材・文=シネマズプラス編集部)

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