<中川大志の魅力>真面目で面倒くさくて、愛らしい姿
「オールドルーキー」(c)TBS
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「そうですか、やはり見た目が……」
鎌倉時代でも見た目がいいと言われてしまう畠山重忠こと、中川大志。(いや実際に当時、見た目をあれこれ言っていたかは分からないが)
令和で考えると、中川大志はとても美しい人だ。イケメン好青年役がよく似合う。が、真骨頂はイケメンで好青年、真面目だけどちょっとめんどくさい役ではないか。
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大河ドラマ出演4回目の実力
そして、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。演じるのは畠山重忠。冷静沈着で武士の鑑と言われている人物だ。鎌倉武士の模範であり、御家人たちの信望も集めていたという。
北条義時(小栗旬)が信頼を置く人物で、北条家の娘婿となったことで、その関係を強固なものにしていく。義時が重要な決断をするとき、秘密裏に行動する際には側に重忠の姿がある。
重忠が出演しているシーンで印象的なのは、壇ノ浦の戦いだ。義経(菅田将暉)が兵ではない、船の漕ぎ手を弓で射るよう命じたときに、重忠が顔色を変えて止める。
「末代までの笑い者になります!」
命令には従う。しかし、人の道を外れることを許さない。自分の正義に背くものも、きっと許さない。
この戦いで、安徳天皇は女官に抱かれ、海へと沈んでいく。そのシーンを目の当たりにした重忠はサッと手を合わせ、目を閉じた。この行動ができる人はきっと少ない。壇ノ浦の戦いの回は源義経の回だったが、同時に、畠山重忠の魅力も分かる回だったように思う。
頭の回転も速く、機転も利く重忠は、義時にとっては重要な人物だったに違いない。それを証明するかのように、物語の要所では必ず重忠の姿がある。(もちろん、北条家の一員になったからでもあるが)
同時に「見た目」が理由で起用されたり、されなかったり、ということがある。
「そうですか、やはり見た目が……」と重忠が悔し気にもらすシーンがあり、ユーモアに富んでいるようにも見えるが、本当に悔しかったのではないか。重忠にとって、見目の良さは武器でもあり、弱みでもあったのかもしれない。
一方で静御前の舞の伴奏をするシーンで、「適当に叩いていればいいんだろ」という義村(山本耕史)を叱り飛ばす重忠も印象的だった。音曲に精通している重忠は、義村のこの言葉が聞き捨てならなかったのだろう。こんなところがちょっと面倒くさくてまたいい。
美しさを超える“面倒くささ”を魅せる表現力
(c)TBS
2019年に放送された「G線上のあなたと私」。主人公の小暮也英子(波瑠)は寿退社直前に婚約者から婚約破棄される。そんなときに立ち寄ったショッピングモールで「G線上のアリア」の生演奏を聴き、大人のバイオリン教室に通い始める。そこで出会ったのが大学生の加瀬理人と、川北幸恵(松下由樹)。この加瀬を中川が演じているのだ。
加瀬は兄の元婚約者でバイオリン教室の講師・眞於に片想いをしている。兄との破局後、眞於と再会し、想いが再燃して、少し積極的になった。
ちょっと不愛想で不器用、素直になれず、空回り。不器用なせいで、恋愛もうまくいかない。本当は也映子のことが気になり始めているのに、そのことをなかなか自覚できない。余計なことを考えて前に進めなくなってしまう。
絶対にモテるだろうに、面倒くさい性格のせいでうまくいかない様子がなんとも萌えてしまう。そしてその面倒くささもあり、ちょっといけ好かない大学生にしか見えなくなるのは中川の演技力ゆえだろう。
真面目でまっすぐな姿が似合う“愛らしさ”
(c)日本テレビ
2020年に放送された「親バカ青春白書」では永野芽衣演じる小比賀さくらと恋仲になる畠山雅治を演じている。親バカな小比賀太郎(ムロツヨシ)に邪魔をされつつも、仲を深めていく。
本作でもやはり好青年であることには違いないが、自分が「普通」であることに悩み、変えたい、と思っている。普通……?いやいやそんな馬鹿な……と思ってしまうが、本当に「普通」に見えてくるのが中川マジック。なんでだ?
おろおろして、周りの人の言葉を鵜呑みにしてトラブルに巻き込まれそうにもなる。でも、誰かのことを好きになると一筋で……。一生懸命に悩むのは相手のことを心から愛している証拠。でも、悩みを解決する方法が分からないから考えて、考えて、ときどき間違える。そんな姿も愛らしく演じてしまう。
「オールドルーキー」(c)TBS
今年の夏に放送されたドラマ「オールドルーキー」では仕事を楽しみながらも、悩みにぶつかり右往左往する城拓也役を演じている。ここでも素直さを発揮しながらも、主人公・新町(綾野剛)に影響され、少しずつ仕事人としての成長していく姿が微笑ましい。
ちなみに、城拓也の人物紹介文には「ピュアでフレッシュなムードメーカー。育ちがよい」とあり、まさに中川大志のイメージだな……と個人的には思ってしまう。
“好青年”というのは、素敵でもちょっと面白みがない。その好青年という役柄にさまざまな魅力をプラスして、唯一無二の役柄を作り上げる。その朗らかな笑顔に癒されるが、悪い笑みに顔が歪むような役柄ももっと見てみたい。
(文:ふくだりょうこ)
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