インタビュー

2022年11月02日

白石和彌・西島秀俊『仮面ライダーBLACK SUN』対談|バイク秘話から変身への想い、お気に入り怪人までたっぷりと語る

白石和彌・西島秀俊『仮面ライダーBLACK SUN』対談|バイク秘話から変身への想い、お気に入り怪人までたっぷりと語る

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仮面ライダー生誕50周年記念プロジェクトのひとつとして制作された『仮面ライダーBLACK』(1987年)のリブート作『仮面ライダーBLACK SUN』が、プライム・ビデオにて配信中。監督は『凶悪』『孤狼の血』シリーズなどで知られる白石和彌氏、仮面ライダーBLACK SUN/南光太郎役は西島秀俊、仮面ライダーSHADOWMOON/秋月信彦役を中村倫也が演じ、日本中の仮面ライダーファンの注目を集めている。そこで、白石監督と主演の西島秀俊さんに撮影秘話や見どころを聞いた。

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——西島さんを光太郎役に起用した狙いは?

白石和彌監督(以下、白石):50周年企画ということで、物語も50年にわたる展開を考えました。その50年の時を刻んだ奥深さを感じさせてくれることと、寡黙な光太郎の内に秘めた思いを、西島さんならその立ち姿だけで表現できると思ったので、西島さんに南光太郎役をお願いしました。

西島秀俊(以下、西島):仮面ライダー作品自体はずっと見ていて、「いつか出たい」と思っていたんですね。その話をたまたま長谷川晴彦Pに話したところ、「えっ、西島さんあの企画の話、知ってるんですか⁉」みたいな偶然があって(笑)。もちろん全然知らなくて、お弁当食べながらの雑談レベルの会話だったんですが。その後に仮面ライダーBLACK SUN役でオファーをいただいたんです。『仮面ライダーBLACK』は歴代の仮面ライダーシリーズの中でも金字塔と呼ばれる作品であり、そのリブート作を主演でやるというのとは思った以上にハードルが高いことでした。ですが、「チャレンジしたい」という気持ちが勝り、オファーを受けさせていただきました。

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——本作は1972年の過去と、2022年の現代、50年の時を行き来する構成になっています。お二人は70年代前半のお生まれですが、その時代の印象と言えば?

白石:あさま山荘事件に象徴されるように、学生運動をやっている人たちが社会に向かってみんなでコミットして、日本がどこへ向かうべきかを議論している時代でしたよね。今はあんまりそういうことを考えなくなったんじゃないかなぁ。

西島:僕はそのころまだまだ子供で……自意識もまだないくらいでした。ただ、はっきり覚えているのは石ノ森章太郎先生の作品が原作となった映像作品のすばらしさです。ほとんど全部を見ています。『ロボット刑事』とか……。

白石:『人造人間キカイダー』とかね……!

西島:「石ノ森章太郎ふるさと記念館」を訪ねたときに改めて思ったのですが、「俺、ほとんど全部の作品を見てるんだな」って。それで先生の作品を通して描かれている価値観を改めて感じたんです。生きることの悲しみだったり、自分が何者なのかという問いだったり……。『サイボーグ009』で、「どこまでが人間で、どこからが機械なのか」という境界線に苦しむ姿を見て、子供ながらに「人間ってなんなんだろう」っていう本質的な疑問を感じていました。それは大人になった今でも、自分の中で繰り返し感じていることです。そう思うと、幼い頃から石ノ森先生に影響を受けて育ってきたんだなと思います。

——本作では、仮面ライダーとして戦う孤独や悲哀以外にも、怪人として生まれたマイノリティ側の苦しみも強く描かれていますね。

白石:立ち上げの段階から「大人の仮面ライダー」というテーマが掲げられていたんです。でも、先ほど西島さんの話にもあったように、仮面ライダーってもともと大人が見ていい作品なんですよね。じゃあ、何をもって大人向けとするのか。それをとらえるため、これまでの仮面ライダー作品を改めて全部見てみたんです。それで感じたことは、その時々の社会情勢が色濃く反映されているんだなということ。それで今、世界中で議論されている問題であり、日本でも意識が高まっている、社会的少数派・マイノリティ側の視点で描くということを考えました。

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——西島さん演じる南光太郎も仮面ライダーBLACK SUNに覚醒するまでは、黒バッタ怪人として描かれていますね。

西島:僕のイメージとしては怪人というよりは獣に近い。ほかの怪人たちは社会の中で生活を営んでいるわけですが、南光太郎はその中でも外れた印象。

——怪人の中でもマイノリティということでしょうか?

西島:マイノリティという意識もないと思います。そういう意味で、動物的というか獣っぽい感じで、声の出し方などはやりました。ほかの怪人たちがそれぞれの正義や戦う意味を掲げている中、南光太郎は戦うことに飽いてしまって、あらゆることに無関心になった。そういう男が、大義や社会のためではなく、個人的な感情でもう一度立ち上がる。そういう風にとらえて仮面ライダーを演じました。それはこの作品の中でもずっと大事にしていたことです。

『(C) 石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT
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