「アトムの童(こ)」7話:目には目を、歯には歯を!落ちたSAGAS、これぞ日曜劇場の真骨頂
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山﨑賢人主演、岸井ゆきのや松下洸平が出演する日曜劇場「アトムの童(こ)」が、2022年10月16日より放送を開始。
山﨑賢人演じる安積那由他(あづみ・なゆた)は、凄腕の若きゲームクリエイター。とある事件をきっかけに開発から離れているが、企業や販売元を通さずに個人で制作していたスタイルは「ゲーム業界のバンクシー」「インディー」と呼ばれ、知る人ぞ知る存在だった。そんな彼を探しているのが、経営崖っぷちの老舗おもちゃメーカー・アトム。ゲーム業界の覇権争いを描くドラマが、始まる。
本記事では、第7話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「アトムの童(こ)」第7話レビュー
目には目を、歯には歯を。因果応報や自業自得、といった言葉があるが、自分がやったことは確実に返ってくるのが世の中というもの。興津社長(オダギリジョー)の姿を見て、そんなことを考えてしまった。新会社「アトムの童」も軌道に乗り、那由他(山﨑賢人)や隼人(松下洸平)を筆頭にシリアスゲームも好調。海(岸井ゆきの)率いる一同は、新しい社員も増え、まさに順風満帆と言えた。
そんななか、那由他と隼人はイベントにて、シアトルからやってきた技術者・ティムに出会う。
人の表情から感情を読み取り数値化できる技術をプレゼンしていたティム。この技術を使えば、また新しいゲームが作れるかもしれない。「シアトルで一緒に会社をやらないか」とティムに誘われ、那由他と隼人は新しいステージに進むことを決めた。
海たちも、惜しい気持ちはあれど、「ワクワクを大事にする」アトムのポリシーにのっとって、二人の選択を応援。
しかし、ここでまたもや、興津が場を引っ掻きまわす。
投資会社・宮沢ファミリーオフィスが、SAGASの株を5%買い占めたことが報道された。これはつまり、宮沢ファミリーオフィスがSAGASを買収しようとしている事実を示す。
元はアトム玩具が保有していた特許技術「アトムロイド」をはじめ、SAGASが保有している技術を市場開放させることが目的だ。
宮沢ファミリーオフィスの言い分は、もっともなようにも聞こえる。使いこなせない技術を持っていても、宝の持ち腐れではあるだろう。
しかし、誰でもフリーに技術を使えるようにしてしまったら、意図しない方面で悪用される恐れもある。興津は興津で、彼の正義にしたがって動いているのだ。
「正義の逆には、また別の正義がある」とはよく言ったもの。このドラマでの分かりやすい悪役は興津だが、彼の言動だって見方を変えれば正論なのである。
このままではSAGASは買収され、アトムロイドもフリー技術になってしまう。
それを阻止するためには、株主総会までに「e-sports」用の新しいゲームデモ映像を作成し、株主たちにアピールしなければならない。SAGASのゲーム事業がいかに凄いかを、見せつけねばならないのだ。
そのためには、那由他たちの助けが必要だ。土下座こそしなかったものの、「助けてほしい」と率直な物言いでヘルプを求めにきた興津。那由他以外の面々は、もちろん拒否の一択だが……。
3日後にシアトル行きが決まっている那由他と隼人。なんと、那由他は「アトムのファンだから」「最高の形でおもちゃ(作り)を再開してほしい」といった理由で、SAGASに手を貸すことを決めてしまった。
契約書もなしに興津が仄めかした「上手くいったらアトムロイドの技術は返す」の口約束を、信じてしまった那由他。まさか、公哉(柳俊太郎)の件を忘れたわけではないだろうが、新しい技術を前にして、これまでにないゲームの可能性に衝動がおさえられなかったのだろう。
隼人も言っていたように、やっていることは、過去の隼人と同じである。
自分を犠牲にして、アトムを助けようとしている那由他。
次のステージへ足を進める隼人。
またもや、ジョン・ドゥが決裂しようとしている。
次回から最終章。前後編にて、今後の展開が描かれる。
毎回、なんとも日曜劇場らしい盛り上がりを見せてくれる「アトムの童」。このまま最終回まで突っ走っていくのだろう。
ひっそりと胸を撫で下ろしているのは、鵜飼(林泰文)が投資コンサル会社を立ち上げていたことだ。しれっと存在がなかったことにされている……と心配していたが、彼は彼で新しいステージに進んでいた。
またもや行く先を分かちそうになっている那由他と隼人。ここまで見守ってきた視聴者としては、その道がまた合流してくれる展開を待ち侘びている。
(文:北村有)
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