続・朝ドライフ

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2022年12月05日

「舞いあがれ!」第46回:「いまは明日のプリソロチェックに集中しなよ」ほんとそれ

「舞いあがれ!」第46回:「いまは明日のプリソロチェックに集中しなよ」ほんとそれ

2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第46回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「ごめん、なんでもない」「何なん?」

「岩倉、俺、おまえのことを……」の続きを待って2日。週明け、最初はこれまでのあらすじ。着陸がうまくできない舞(福原遥)、空で迷子になって立ち直れなくなる柏木(目黒蓮)

舞は自分のことそっちのけで柏木を応援します。そんな舞に柏木が「おまえのことを……」と言い出しますが、「なんでもない」とはぐらかします。

「何なん?」とどきどきする舞。それまでは柏木が心揺れていましたが、今度は舞に移ります。

大事なプリソロチェックの前に眠れなくなる舞。へんな夢まで見てしまうほど「おまえのことを」パワーは強烈です。

こうなると、柏木も無責任といいますか……。学生の本分である勉強、それも大事な審査の前、そこでフェイルしたら学校を去らないといけないという大変な状況を前にして、余計なことを言いますかね?

余計なことを言って相手を動揺させたら悪いなと、思いとどまるべき。いえ、「おまえのことを」でぎり留まったということなのかもしれませんが。柏木の協調性のなさはこういうところにもあるようです。相手のことを慮らず、自分の思ったことを優先しがち。迷子は治っても、ここを直さないといいパイロットになれないと、大河内教官(吉川晃司)にぜひとも指導していただきたい。

「いまは明日のプリソロチェックに集中しなよ」
これは倫子(山崎紘菜)の台詞です。これがすべてを物語っています。が、この台詞は柏木と舞に放たれたものではありません。中澤(濱正悟)に対してのものでした。

中澤は、妻から離婚届けが送られてきて動揺します。以前からうまくいってなくてピリピリしていた中澤。“妻子がいて、役場づとめをしていたが、パイロットになる夢を諦められず、退職して航空学校に入った”(NHKドラマ・ガイドより)ということで、負担を強いている妻への思いやりにどうやら欠けているようで、耐えかねた妻が離婚届を送ってきたようです。

こちらもどっちもどっちという印象で、妻子を置いて夢を追っている夫と、夫が大事な局面にいるときに(状況を知らないとはいえ)離婚届けを送ってくる妻。この時点でこの夫婦はもうだめかもしれないという気もしないではありません。

目下「舞いあがれ!」はたくさんの人々の命を背負って空を飛ぶ重責のパイロットを目指す学生たちが、柏木にしても中澤にしても自分のことばかり考えているという皮肉を描いているように見えます。

ドラマを盛り上げるためには障害が必要なのはわかりますが、柏木も中澤ももうちょっと相手の身になってほしいものです。

第10週「別れと初恋」(脚本:佃良太 演出:野田雄介)で、3人めの脚本家の登板です。

目がランランとして眠れない舞に、ばらもん凧(さだまさし)が「舞ちゃん、せめて目をつむって!」と語りかけたり、舞たちが食堂で円陣組んで「全員合格するぞ! お〜〜」とやったり、ほのぼの感が増した印象です。でも、夢見て起きたときの舞は、ちょっと色っぽく、飛行のまえにドゥンドゥンと盛り上げる劇伴はエヴァのようで演出にはポップ感が増しています。


【朝ドラ辞典  脚本家交代(きゃくほんか・こうたい)】

朝ドラの脚本家は基本ひとり。時々、複数制になることがある。「君の名は」「てっぱん」「エール」などが複数で担当している。




(文:木俣冬)

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