「エルピス」第8話:「本当に正しいことなら、道は開けていく」は真実か
長澤まさみ主演の“月10”ドラマ「エルピス—希望、あるいは災い—」が2022年10月24日放送スタート。
本作は長澤演じるスキャンダルで落ち目となったアナウンサーと若手ディレクターらが連続殺人事件の冤罪疑惑を追いながら、“自分の価値”を取り戻していく社会派エンターテイメント。共演は鈴木亮平、眞栄田郷敦ら。
本記事では、第8話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
▶︎「エルピス—希望、あるいは災い—」画像を全て見る
「エルピス—希望、あるいは災い—」第8話レビュー
真実とは、なんだろう。このドラマを見るたびに、考えさせられる。恵那(長澤まさみ)も岸本(眞栄田郷敦)も、松本(片岡正二郎)の冤罪事件を解決すべく、真犯人を見つけようと思っている。その気持ちは一緒のはずなのに、立場が違うだけで、真実に対する姿勢も異なるように見えるから不思議だ。片や報道番組の看板アナウンサー。片や経理に飛ばされ、後に解雇通告を受け退社に追い込まれた一社員である。
恵那としては、好きなように動きたくとも、あらゆる制約がそれを許さない。看板アナウンサーゆえに、番組の行く末を背負っている身だ。スタッフ全員の生活がかかっている。いくら特ダネがあっても、そうホイホイと扱うわけにはいかないだろう。
松本が逮捕された後、八頭尾山で行方不明となり、遺体となって見つかってしまった中村優香。彼女と仲が良かった(本人は「親友じゃない」と言い張るが)高岡ひかるに接触が叶った岸本は、さらに本城彰(永山瑛太)の存在に迫っていく。
どうやら、ひかると優香は、本城彰をめぐって関係が悪化したらしい。ふたりとも彼に思いを寄せていたことから、言い合いになった。優香はたびたび、ひかるの自宅に遊びに来ていたようだが、ひかるから「出ていけ!二度と来るな!」と言われた日から姿を消し、その10日後に遺体となって見つかった。
松本を取り調べしていた刑事が、優香の持っていたスマホから本城彰の写真のみ消していた事実も明らかに。やはり、警察側は本城彰が真犯人だと、確信を得ていたのだ。なのに、隠した。その事実は、重い。
加えて、優香が所持していたストール、そして過去の被害者のひとりである井川晴美(葉山さら)のスカート、双方に付着していたDNAが一致した。
岸本が、3軒もまわってDNA鑑定を依頼したため、結果は確実である。しかし、「ニュース8」は取り合ってくれない。「スクープじゃなく、後追いであれば扱える」の一点張りである。
恵那に一縷の望みをかける岸本だが、反応は変わらない。彼女としても苦しい立場ゆえに、相容れないふたりである。ここで思い出されるのは、回想シーンでも出てきた恵那のセリフだ。
「本当に正しいことなら、道は開けていく」
そして、味方も増えていくはずだ、と。
恵那が率先して動けていた時期は、この言葉も信じられた。しかし、今となっては、岸本だけじゃなく我々視聴者にとっても疑わしい言葉になってしまっている。
状況は八方塞がりで、まさに岸本の周りには敵だらけ。ここから打開できる道なんて、見出せるのだろうか。
すっかり姿を見せなくなったチェリー(三浦透子)も、今回は存在感を消していた斎藤(鈴木亮平)の存在も気になる。このドラマの行く末が、この国の“真実への向き合い方”を示唆している気さえするのに。果たしてあと数話で、納得のいく結末が見られるのだろうか。
(文:北村有)
「エルピス」インタビュー「CINEMAS+ MAGAZINE」にて掲載中!
「エルピス—希望、あるいは災い—」岸本拓朗役の眞栄田郷敦、脚本・渡辺あやらのインタビュー掲載の「CINEMAS+ MAGAZINE no.01」、現在絶賛発売中です。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)カンテレ